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Amazon.co.jp ・本 (302ページ) / ISBN・EAN: 9784003311196
作品紹介・あらすじ
大日本帝国憲法および皇室典範の逐条説明書.法制局長官・井上毅が原案を起草し,憲法制定を主導した伊藤博文の名前で一八八九年に公刊された.明治政府の準公式的な憲法解説書であり,明治日本が西欧立憲主義と遭遇した跡が刻み込まれた重要な資料である.旧版を読みやすく組みなおし,解説を新たに付した.(解説=坂本一登)
みんなの感想まとめ
憲法の成り立ちやその意義を深く理解するための重要な資料として位置づけられています。大日本帝国憲法の逐条解説を通じて、天皇の統治権や政府の役割、さらには枢密院の重要性など、日本の憲法制度の歴史的背景が豊...
感想・レビュー・書評
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「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」の「統治する」は「しらす」の意味。「しらす」とは天皇が民の気持ちをよく知ること。それにより国がまとまる。▼11条天皇は陸海軍を統帥す。神武天皇は自身で兵を率い、これおにより兵馬の権は朝廷にあり、将軍が統率するようになった。その後、兵権は朝廷から武家政権に移った。▼"天皇がもっている権力は、大臣が行使するため、責任は天皇ではなく大臣が負う。天皇は大臣たちと相談しながら政治を行うことが日本の伝統。▼枢密院(1888-1947)。政府(内閣)と議会が対立して天皇が裁決せざるを得ないとき、天皇にアドバイスする機関が必要。政府(内閣)の暴走を抑える。枢密院の建物は現在の皇宮警察本部庁舎(皇居内)。※若槻礼次郎の台湾銀行救済案1927を否決。浜口雄幸がロンドン海軍軍縮条約1930への調印を断行、枢密院は海軍の兵力量を内閣が独断で決めるのは天皇がもつ陸海軍の最高指揮権(統帥権)を侵害するものとして非難。▼予算が成立しないことは、よくて政府機能の麻痺、悪ければ国家の崩壊につながる。▼私権は外国人にも適用されるが、公権たる選挙権は臣民だけがもつ。伊藤博文『憲法義解』1889
※井上毅こわし・金子堅太郎・伊東巳代治みよじ。伊藤と共に明治憲法の起草にあたる。
明治憲法を前提に民主制を強化したい。統治権は法人である国家にある。君主・議会・裁判所などは国家という法人の機関。天皇はその最高機関。天皇機関説。美濃部達吉『憲法講和』1912"詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
明治時代に我が国初の憲法「大日本帝国憲法」が発布されたが、その作成に深く関わった伊藤博文による帝国憲法の解説書だ。つまり、書いた人による「この憲法はこういう意味だよ」な本である。
…とは言え、明治初期に書かれた文章は今見ると完全なる「古典・古文」であり、読んで理解するには非常に難しい。
私はこの本の存在を知ることで、ひとまず自分に合格点としておく。。。 -
本書は伊藤博文の名義になってはいるが、実質的な執筆者は起草者の一人井上毅で、明治憲法の最初の逐条解説である。元々政府の有権解釈として官報で公表することを念頭に作成されたものだが、政府内での解釈の対立もあって伊藤の個人名で公表された。宮沢俊儀による校注と解題は戦前のものだが、2019年に新たに坂本一登の解説を付して再版された。この解説が頗る興味深く、旧版を持ってる人にも是非一読を勧めたい。
政府内の対立とは、井上とともに憲法起草者トリオの一人であった伊東巳代治と井上の熾烈な闘争である。立憲主義に忠実な井上が天皇大権=行政権の制限を重視したのに対し、伊東は議会に対する行政権の優位を守ろうとした。まさに憲法理念の核心を巡るものだ。両者の対立が最も先鋭に表れたのが、議会は政府の同意なくして歳出を削減することを不可とする67条である。最終的には、ここでの歳出は既定の歳出と所謂義務的経費に限るべきとする井上の意見が通ったが、「義解」は井上が執筆した原案「義解稿本」のトーンがかなり薄められ、官報での公表や井上が希望した井上個人名での公表には伊東が強く反対し、伊藤博文もそれを許さなかった。
50頁を越える解説では、憲法の条文及びその解釈、附属法たる会計法や行政命令の位置付けを巡る攻防を追い、それを当時の政治力学の変化の文脈に位置付けて解明している。即ち、条約改正問題の再燃に端を発し、藩閥勢力と大隈ら民権派の対立が先鋭化したことを契機に、超然内閣を前提とした当初の融和的な政治理念が後退し、政府内に民権派への警戒感が強まったが、この結果、議会に対する行政権の優位を説く伊東の憲法観が主導権を握ることになったと坂本はみる。それが後々の明治憲法の運用にも影を落とすことになる。
欽定憲法である明治憲法は立憲主義が不徹底であるという通念は必ずしも正しくない。井上はもとより、井上を含む起草者を統括した伊藤博文自身が立憲主義をかなり正確に理解していたし、当時としては立憲君主制を採用する各国の憲法に決してひけを取るものではなかった。それはこの「義解」本文を読めばわかる筈だ。ただ佐々木惣一が喝破したように、憲法を守っても立憲主義が守られない、つまり合憲でも「非立憲」になり得る。したがって、憲法の条文を守りさえすればよいのではなく、立憲主義の精神に即して運用しなければ意味がない。ともあれ明治憲法の「光と影」を理解する上で、本書はその解説とともに必読文献と言えるだろう。 -
大日本帝国憲法の注釈書として、第一に参照すべき基本書。各条の解説をしっかり読むことは大切だが、改版に新たに付された解説が、大変参考になる。予算審議権の範囲に関する解釈問題が、実は井上毅と伊東巳代治、それぞれの憲法観、国家観の違いに起因するものであったことなどが良く理解できた。
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学生時代に卒業論文を書くために参照して以来の再読。
本書は、伊藤博文の私著として公刊(井上毅が主に執筆)されたものだが、その実質においては大日本帝国憲法(明治憲法)と皇室典範についての半官的な逐条説明書であるとされている。また、明治憲法と皇室典範の草案が完成し、枢密院に諮詢された際、審議の参考のために各顧問官へ配布された説明書をもとに作成された。
今日、明治憲法の評価は甚だしく低い。すなわち、「明治憲法は、立憲主義憲法とは言うものの、神権主義的な君主制の色彩がきわめて強い憲法であった」、「権力分立制はとられていたが、それぞれの機関は天皇の大権を翼賛する機関にすぎなかった」、「各権利が『法律の留保』をともなうもの、すなわち、『法律の範囲内において』保障されたにすぎず法律によれば制限が可能なもの、であった」(以上、芦部『憲法』より)といった、天皇制絶対主義の非民主的なものだったと一般に考えられている。
しかし、本書を読むと、このような評価は明治憲法の実像とは異なるものであることがよくわかる。まず、第五五条では、天皇の大権行使は国務大臣の副署がない場合は無効とされ、天皇の恣意的・個人的な意思行使は排除されていた。この第五五条の趣旨を前提としたうえで、第三条の「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」は、天皇の神格性をあらわすものではなく、立憲君主としての天皇の無答責、つまり政治的・法的無責任を示すものとして規定された。
また、第四条では、「主権の体」と「主権の用」の区別がされ、主権の「体」として天皇が統治権を総攬するが、その統治権を主権の「用」として個々の国家機関に委任することが示された。つまり、行政権は各国務大臣に預けられ、立法権は帝国議会に、司法権は裁判所に、軍の統帥は輔翼機関にそれぞれ委任されていた。
「法律の留保」については、これは権利を保障する趣旨のもので、権利を制限するためのものではなかった。すなわち、憲法が保障する国民の権利を制限するには、帝国議会の協賛を伴う法律の根拠を必要とするという意味で、「法律ノ範囲内ニ於テ」という文言が使用された。
のちの時代に、明治憲法の起草の経緯や思想が忘れ去られ、その立憲主義の精神を歪曲した解釈、運用がされることとなるが、そのことと明治憲法自体の評価とは区別してされるべきだと思った。
改版では、坂本一登氏による50ページを超える、優れた「解説」が追加されており、その中で伊藤や井上、伊東巳代治といった憲法起草者のそれぞれの憲法観、その相違による対立が述べられている。そして、井上独特の「シラス」論の説明が特に興味深い。
井上にとって「シラス(治す)」とは「ウシハク(領く)」と対になる統治理念で、「ウシハク」が西欧や中国の歴史にみられる国土国民を支配者の私有物とみなす支配様式であるのに対して、天皇の支配様式である「シラス」は、土地人民を私有せず、しかも力によるのではなく君徳に基づいて行う統治を意味したという。井上は、冒頭第一条で敢えて「シラス」の理念を掲げることで、天皇による国家統治は天皇個人やその一族のためになされるのではなく、国家全体のためになされるのだということ、すなわち家産国家思想によるのではなく、公共的な性格を帯びたものなのだということを示したかったのではないだろうか。また、日本が近代国家の統治理念を採用するにあたり、それが日本の伝統によっても裏付けられるということを述べようとしたのではないだろうか(しかし、検討段階で第一条に存在した「治す」の文言は、公布までに「統治す」に変更されることとなった)。
本書では、海外の憲法条文や研究からの引用に加え、日本書紀や古事記、万葉集といった日本の古典からの引用が多数なされているのが印象的だ。これは、明治9(1876)年に「朕爰ニ我建国ノ体ニ基キ広ク海外各国ノ成法ヲ斟酌シ以テ国憲ヲ定メントス汝等ソレ宜シク之ガ草按ヲ起創シ以テ聞セヨ朕将ニ撰ハントス」という国憲起草の勅語が下され、その後の憲法起草の指針とされたことによるのだろう。すなわち、憲法はあくまで日本の国柄に基づいたものでなければならず、その上で海外の法律や制度に学ぶべきところは学ぶ、いわば伝統と近代を両立するという基本的方針の下に、明治憲法は起草された。この難題を具体化しようと格闘した、明治の先達の苦労に心を致しながら本書を読んだ。 -
323.13||It
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【書誌情報】
伊藤博文 著
宮沢俊義 校註
坂本一登 解説
価格:本体840円+税
通し番号:青111-1
刊行日:2019/06/14
ISBN:9784003311196
版型:文庫 並製 288ページ
大日本帝国憲法および皇室典範の逐条説明書.法制局長官・井上毅が原案を起草し,憲法制定を主導した伊藤博文の名前で一八八九年に公刊された.明治政府の準公式的な憲法解説書であり,明治日本が西欧立憲主義と遭遇した跡が刻み込まれた重要な資料である.旧版を読みやすく組みなおし,解説を新たに付した.
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b454617.html〉
【目次】
凡例
校註者はしがき
憲法義解
大日本帝国憲法義解
第一章 天 皇
第二章 臣民権利義務
第三章 帝国議会
第四章 国務大臣及枢密顧問
第五章 司 法
第六章 会 計
第七章 補 則
皇室典範義解
第一章 皇位継承
第二章 践祚即位
第三章 成年立后立太子
第四章 敬 称
第五章 摂 政
第六章 太 傅
第七章 皇 族
第八章 世伝御料
第九章 皇室経費
第十章 皇族訴訟及懲戒
第十一章 皇族会議
第十二章 補 則
附録
皇室典範および帝国憲法制定に関する御告文
憲法発布勅語
帝国憲法上諭
皇室典範上諭
皇室典範増補(明治四〇年)
皇室典範増補(大正七年)
解題…………宮沢俊義
解説 井上毅と明治憲法――『憲法義解』成立前後……………坂本一登
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