茶の本 (岩波文庫)

著者 : 岡倉覚三
制作 : 村岡 博 
  • 岩波書店 (1961年6月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003311516

茶の本 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 宗教にまで高められた、美意識と調和の感覚。この本で学ばねばならないほど、少なくとも僕は西洋化された環境に生きている。よほど意識的にならないと著者の説く世界観を東京でみつけるのは難しい。しかしだからこそ、茶道は生きるのかもしれない。時代に翻弄された茶人たちとおなじように。

  • 1906年に岡倉覚三(天心)氏が書いた『The Book of Tea』を、

    1929年に村岡博氏が和訳したもの。



    難しい言葉が多すぎて、調べ調べ読み進めていったが、

    内容が理解できるようになったのは、「第四章 茶室」から。

    (新訳読めばよかったと少し後悔)



    茶道は日本文化の一つ、くらいにしか思っていなかったのですが、

    本著に書かれているのは、茶道を通して現れる芸術観だと感じました。



    <一部抜粋>

    ・茶道のいっさいの理想は、人生の些事の中にでも偉大を考えるというこの禅の考えから出たもの

    ・この動作は、身の貴きも卑しきも同様にすべての客に負わされる義務であって、人に謙譲を教え込むためのものであった。

    ・傑作を理解しようとするには、その前に身を低うして息を殺し、一言一句も聞きもらさじと待っていなければならない。

    ・芸術は宗教に近づいて人間をけだかくするものである。

    ・人はおのれを美しくして始めて美に近づく権利が生まれるのであるから。かようにして宗匠たちはただの芸術家以上のものすなわち芸術そのものとなろうと努めた。

    ・美を友として世を送った人のみが麗しい往生をすることができる。

    ・天心は、一椀の茶を前にしてこれこそ人生に美と調和と和楽とを授ける秘法であるという。

  • 日本の美意識を再定義した本。

  • 2017/09/15

  • 茶道を知りたいと思った。そんな動機から購入したが暫し積読。読み始めた途端に茶の講義。しかし、それは茶道の歴史的背景から入った。宗教に例える内容に思わず頷く。禅宗に端を発していることを知り、それもまた肯ける。「もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう。」明治のコスモポリタンが放つ言葉は平成になっても通用する! ああ願わくば原文で読みたいものだ。

  • 不完全であるところに美を見出す日本人の感性を、文字で文章にして説明したらそういうことなのか!と納得できた内容。
    自分の中ではわかっていてもはっきり書いてあると「そう!それ!」と思わず言いたくなる。

  • 岡倉覚三の令弟・岡倉由三郎がはしがきで兄の人となりを紹介している。博学才穎ながらも、偉大なる兄の変人振りは、身内でなければ書けない。弟の兄への愛情、岡倉覚三の一番弟子である翻訳者・村岡博の師匠への敬意が溢れる。村岡訳では、千利休の絶唱が文字通り紹介されている。人生七十 力囲希咄 吾這宝剣 祖仏共殺。やはり博学才穎は博覧強記であることよ。

  • 序盤から大東亜的文体がとても鼻につくが、私は酷く茶道を誤解していたようだ。茶道がかくもアヴァンギャルドであったとは!
    以前から、茶道の高尚性の裏に垣間見える俗物的背徳感のような雰囲気があまり好きではなかったが、茶道の手法論には純粋に非常に感銘した。

    ただ一点、拝火教の連関から花をちぎる行為を正当化することは禅の哲学からかけ離れているのではないか。それは「動物が殺されるのは可哀想だと言うが、では、植物も可哀想ではないのか」とベジタリアンに言いきかせながらも結局、動物も植物も食す論理と相違ない。
    せいぜい生花の起源の伝説にあるとする、仏教徒による「暴風に散らされた花を集めて、それを水おけに入れた」という按配が閾であると思う。人が生きる以上植物を育て利用し食さねばならないが、人間の単なる美の追究のための植物の破壊/殺生は、弔いの精神が宿っていようと無駄であり、慎むべきであるとするのが根底的ではないかと私は感じた。

  • 岡倉天心の美術観を論じた名著

    「お茶」を切り口に日本文化の美意識を見事に論じている点が素晴らしい。

    これを読む事で、岡倉天心が自身が生きた時代にふさわしい新しい芸術を創り出すことを使命として考えていた事もよくわかる。

    それが窮乏に耐えながらの日本美術院の創設、そしてそこから生まれた大観、春草、観山等の新しい日本画の創出に結実した事が分かり感慨深いものがある。

  • 【中村博雄先生】
    本書は、岡倉覚三(岡倉天心)が英文で書いた著書The Book of Teeの和訳です。明治時代に、岡倉天心が、日本文化の本質を欧米に向けて発信した本で、イギリス人やアメリカ人が、その内容もさることながら、英文そのものに感心した名著です。機会があれば、英文の方も読んでみるといいでしょう。この本の中に次のような言葉があります。皆さんは、どう思いますか?「おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである。一般の西洋人は、茶の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているであろう。西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる。」 (『茶の本』岡倉覚三著/村岡博訳 岩波文庫、21頁)

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