- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003311813
感想・レビュー・書評
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1899年、新渡戸稲造が日本人の道徳感を形成する根幹にあるものとして、海外に英語で提示した書。
文明開化からまだそう経たない時期であるが、すでに義理という言葉は本来の道義の理屈という意味から放れて使われていたというような逸話がある。著者は、明治となり西洋化する日本社会において過去の日本人が持っていた良いものが徐々に失われていくことを嘆いている。現代においても同様な事例は事を欠かないことを考えれば、こうした変化はまた歴史において必然ということなのかもしれない。
また、切腹についての章は現代に生きる我々にはかなり衝撃的である。「名誉の失われし時は死こそ救いなれ、死は恥辱よりの確実な避け所」というガースの詩を引用している。この西洋の詩人の言葉は期せずして、それが切腹の本質的な意味を現している。本章では2件の切腹の様が生々しく描写されているが共に壮絶である。その内の一件は、父の仇を討つために、徳川家康の命を狙い捕らえられた兄弟であり、その煽りを受けて一族の男子皆が刑に処される定めを受け、若干8歳の末弟も連坐の上で腹を切るのである。衝撃のあまり、読んだ当日よく眠れなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーん。これを知ったところで、実生活で役に立つだろうか。。。
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外国人のために日本人の礼儀正しさはどこからくるものなのか解説された世界的ベストセラーです。
本当は子どもの頃、親から教えられて根付いていた筈なのに、歳をとる毎に葛藤しながら摘み取ってきた事を改めて取り戻せたような再確認とその先を深く考える一冊でした。
外国の政治家や軍人がこの本を読み周りに広め、日本と大東亜戦争で戦い、どのような心の動きがあったのか、外国人からみた日本人はこの本のとおり今も出来ているか?想像しながら読むのもこの本の楽しみ方のひとつになります。
チェスターミニッツ米海軍元帥はこの本を読み、東郷平八郎元帥を師と仰ぎ、戦後、戦艦三笠の修復、東郷神社の修復に米国を動かし、私財を投じて、尽力されたそうです。
ミニッツさんがどんな事を学んだか触れることが出来る貴重な書物です。(ハワイ真珠湾の軍事施設ツアーの日本人ガイドさんがミニッツさんと東郷さん、ミニッツさんが新渡戸稲造の武士道を読んだことなど、丁寧に説明してくれました)
しかし本文中の例え話を理解する知識が足りないと痛感しました。
左派的意見と戦うための精神的武装の役に立ちます。
昔の言葉で翻訳されているので、この後現代語訳と原作の英文を読んで理解を深めたいところです。 -
世界を舞台に活躍したい日本人なら読んでおくべし
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あらゆる情報の嵐とそれに伴う明文律の氾濫。明文律は、えてして書いてないことは守らなくても良いという考えとセットになっている。そして不文律はいつしか守らなくてもいいものの如く扱われている。今、忘れ去られつつある不文律の原則を当時、それら日本の規範の基礎を知らない外国へ向けて新渡戸稲造が英語で明文化したものの翻訳。ここには原則があるのみで、なにがどうとは書いていない。それがもっとも高度でもっとも厳しい、道徳の規範だったのだと思う。法治国家を否定するわけではないんだけど様々な法律が増え続けていくことを恥ずかしく思う気持ちがあってもいいと思う。法律がなければ徳目を実現できないような卑しい人間でいたくない。という意味で。武士の時代のエッセンスにふれられる素晴らしい本だと思う。日本精神の教科書。忘れてはいけない感覚だと思う。
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武士道=昔の日本人の精神性。と一口に言い切れないところが難しい。昔の日本人の一割も武士はいなかったからである。そこが宗教とは違うのかな。でもたまに日本人らしさが顔を出す。
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武士道は、日本独自の道徳体系として、1900年に新渡戸稲造によってアメリカで刊行された名著。
武士がその職業において、また日常生活において守るべき道、道徳的原理の掟を武士道として体系化された。
武士道は、古代中国の思想家である孔子、孟子、また仏教等の影響を受けたとされ、以下の徳の重要性
について説かれた。
義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、克己
中でも、孔子の教えでもある克己復礼(こっきふくれい)、つまり自分勝手なわがままを抑え(=克己、こっき)、「仁」の心持ちを行動として外に表す「礼」の考え方は、現代の日本人にも受け継がれている、または受け継ぐべき考え方であり、また前記と若干重複するが、
己よりも他を重んじるという思想は、大事にしたい考え方であり心に留めておきたい。
武士道の教えは、封建社会を前提とした教えであるが故に全てにおいて受け入れられる訳ではないが、ビジネスマンとして、地域の一員として、そして子供と持つ父親として持つべき心構えや考え方について多くの学びが得られたことは収穫であった。 -
こういう考え方もあると知っておくといい。
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原著は英語で書かれており、訳文も美文調のところがあって、難解な箇所がありますが、興味深い日本文化論でした。比較対象が古今の古典、文学、哲学で、ニーチェへの言及などなど、博覧強記ぶりはすごいものがあります。