reinouさんの感想
2016年12月28日
1966年刊行。底本明治42年刊行。 戦前のいわゆる皇国史観では常に逆臣・逆賊とされてきたと思われがちな足利尊氏。 しかし、誰も彼もが、あるいは常にそのような見識であったわけではない。一定時期までは、現代から見て公正と思える論評も存在した。本書がその好例である。 しかし、これより事後、尊氏を公平に評価する書は、気骨ある一部の研究者のみに限られていく。 本書は、明治年間における、在野からの英雄に対する公正な目線を感得できる唯一の書に近く、そういう意味で意義深いものと思われる。