史記を語る (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1996年4月16日発売)
3.70
  • (12)
  • (11)
  • (18)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 209
感想 : 21
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784003313329

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

歴史を学ぶことの楽しさと深さを感じさせる一冊で、著者のユーモアと鋭い視点が光ります。『史記』の解説を通じて、司馬遷の価値判断や社会的地位による区分について掘り下げられており、ただの歴史書ではなく、現代...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「史記を語る」という固い書名だが、宮崎市定先生の本だから面白ろかろうと思って手に取ったところ、やはり分かりやすく解説されており想像以上に面白かった。例えば史記の本紀・世家・列伝について、現実の社会的地位による区分だけでなく、司馬遷の価値判断も十分に取り入れられている事など事例を挙げて解説されている。構成としては2章までは全体像を解説し、本紀、世家、表、列伝の順番で書かれている。
    また、著者が周の東遷を否定する説は有名だが、本書でもサラリと述べられている。今は明確に否定されている説だが、もう少し詳しく読んでみたい。晋が周の一族と唱え出したのは文公の頃からではないかという説には頷ける。
    文化大革命や学生運動への批判や自由とは何かなどについて述べているが、歴史を歴史としてだけ扱うのではなく、歴史の学びをもって現在へ提言するスタイル、また「司馬遷という男は、何か書いたものを見せれば、すぐ騙されやすい性質の学者であった」というようなユーモアのある記述が宮崎市定先生の魅力である。

  • 司馬遷が生きた時代も、気が遠くなるくらい遥かな昔であるのに、『史記』に登場する人物の行動が、現代の我々にも、多く共感できるというのが非常に不思議ではある。

  • 岩波文庫『史記列伝(全五巻)』および『史記世家(上中下巻)』を読む前に、本書を読了。本『史記を語る』で概略を知った後に『史記列伝』を読み始めた方が、頭に入りやすいと思ったため。宮崎市定さんの語り口が面白い。また普段あまり使わない表現にも多く遭遇した。

  • さすが宮崎市定である。相手が司馬遷であろうが、書いたものをなんでもうのみにする男であるなど評価に容赦がない。ただそれでも嫌味にならないのは、宮崎自身が司馬遷と同じく自由を信条とする歴史家であることが随所から伝わるからか。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00224343

  • 宮崎市定らしい史記の紹介と解説・解釈。平易な文で読みやすいが、内容は含蓄に富み、流石碩学の書く本は違うと思わされる。司馬遷に対して若干当たりが強いように感じるのはご愛敬か。

  • 1996年(底本1979年)刊行。中国の歴史書のテンプレートともなった司馬遷著「史記」。それを、本記、世家、表、列伝に分けて簡明に解説。個人的な見解も付与しているが、その記述された内容の説明に重点を置いているのが特徴か。個人的には、①各種制度の実情(封建制度と郡県制度との違い、秦漢の差異。さらには租税制度の実態と運用など)、②民衆の生活実態、農商工業の実情に興味があったが、あまり書いていない。本記・世家は英雄伝に近く、また、列伝も剣豪や義侠伝といった、庶民英雄伝に近いテーマだからである。

  • p.20
    自分自身を先達視するのは烏滸がましいが、この場合、やはりそこまで言わないと、意味が通じない。私には六十年かかった経験を、読者が一晩で卒業できるならば、それは全く無益な時間にはならないだろうと信ずる。

    そりゃもうドエライ方が、こんな風にしておもしろい本を書いてくれて、それが読めるなんて、本当にありがたいことです。

  • ミーハー的にキングダム(マンガ)の影響で手に取った本だったがかなりの良書。史記の解説を通じて、2000年前の中国が実に活き活きと歯切れ良く語られている。一読しただけでは初心者にはわからない部分がかなりあったけれども、もう一度読み返したくなる、あるいは関連書籍をさらに深堀したくなる類の書籍。学問に生涯を捧げた人間の文章はやはり一味違うな、と改めて思った。

  • 史記を全部読んだつもりになれる。伍子胥や趙高の馬鹿の話、刺客列伝は当時の舞台も影響しているのではないかという考え方にはなるほどと思える。

  • 史記にある個別の様々なエピソードが、儒教の思想の下に構成されていることを知った。礼を重んじるエピソードを再度読むときに違った思いで読むことになる。
    司馬遷は書かれた歴史を信じるタイプだったというが、我々は歴史において何を信じているだろうか。教科書だろうか、ネット上の情報だろうか。信じるとか信じないとかいう思いすらなく、盲目的に受け入れている時があるのではないだろうか。
    決して司馬遷を笑えないだろう。

  •  司馬遷の「史記」は本紀12巻、表10巻、書8巻、世家30巻、列伝70巻、合わせて130巻から成っているという。本書はそれらの翻訳でもなければ単なる注釈本でもない。タイトルが言うように著者が「史記」を語っている。

     著者の宮崎市定先生は既に鬼籍に入っておられるが、もし仮にご存命であるならば、ぜひ講義を受けてみたいと思うファンは少なからずいるだろうと思う。どの著作をとってみても単なる歴史書ではなく、説得力があり読者を惹き付ける魅力があり飽きさせない。

     本書で先生が最も語っている部分は第5章「年表」のところであると思う。サブタイトルに「どこまで歴史は遡れるか」とし、ここで先生は「禹貢」を批判して、司馬遷の時代観を問題視している。司馬遷は「禹」を中国史における有力な出発点とみなしているが、宮崎先生は秦漢時代に創作されたのではないかと疑問を呈している。

     また、著者が司馬遷に感謝の意を示すページがある。それは、よくぞこれだけの史料をまとめて保存してくれたという歴史学の功績に対してである。「史記」がなければどれほど多くの史実が散逸してしまったかわからないという。

     意外ではあるが、明らかに後人が加筆した跡があり、「史記」の各所に何の断りもなく改竄の加えられたことがあるについては、疑うべからざる証拠があるという。宮崎先生のこの行間を読み取る能力は、本家の中国の歴史学者も凌いでいるのではあるまいか。

     巻末に「史記の中の女性」と題して数ページを割いているが、当時の女性のあり様が少しだけわかり興味をひいた。則天武后や西太后だけでなく、無数の宮廷内外の女性についての研究が発表されることを期待したい。

  • 宮崎市定キャンペーンをはじめてみる。
    冒頭の数十ページを読んだだけで分かるのだけど、この人は別格だ。
    司馬遷をも相対的に記述する歴史家。そして、マルクス的な進歩史観も、ヨーロッパの歴史も、十分に理解しつつ、徹底的に「私はこう思う」を貫き通す。
    これは、学問の権化だ。
    宮本常一と同じような人だ。

  • これを買って読む前に『史記』翻訳を先に読んでおくべきだったかなと思う気持ち10%に対し、前もってこれに目を通しておいたほうが『史記』を読む時のポイントが分かっていいじゃないかと思う気持ち90%。
     
    博識が詰まっていながらも読みやすいこの著作のなかでツボに入った一文。
     
    「司馬遷は何でも断るのが好きな男であった」
    「司馬遷という男は、何か書いたものを見せれば、すぐ騙されやすい性質の学者であった」
     
    二千年も前の歴史的文人が四~五年前まで生きてたその辺のオッサンにでもなったかのような身も蓋もない人物評に噴いた。

  • 史記の入門
    基礎知識をつけるのに良い

  • 学芸随筆の名手でもある

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003313321
    ── 宮崎 市定《史記を語る 19960416 岩波文庫》
     

  • 中国史、特に史記に興味ある人は読まなければならない一冊。
    入門とあるが中級者以上向け。
    宮崎氏の鋭い指摘は肯かされる。

全18件中 1 - 18件を表示

著者プロフィール

1901-95年。長野県生まれ。京都帝国大学文学部史学科卒業。京都大学名誉教授。文学博士(京都大学)。文化功労者。専門は,東洋史学。主な著書に『東洋に於ける素朴主義の民族と文明主義の社会』(1940年)、『アジア史概説』全2巻(1947-48年)、『雍正帝』(1950年)、『九品官人法の研究』(1956年、日本学士院賞)、『科挙』(1963年)、『水滸伝』(1972年)、『論語の新研究』(1974年)、『中国史』全2巻(1983年)ほか多数。『宮崎市定全集』全24巻+別巻1(1991-94年)がある。

「2021年 『素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮崎市定の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×