大杉栄評論集 (岩波文庫 青 134-2)

著者 :
  • 岩波書店
3.53
  • (3)
  • (2)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 172
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003313428

作品紹介・あらすじ

関東大震災の時、憲兵隊によって虐殺された大杉栄(1885‐1923)は、百年近く前すでに現代の問題を鋭く予感し、自らの身体と感性で格闘していた先見的思想家である。自由な徹底した個人主義者にして社会主義者たる大杉の炸裂する精神の動き、流れを再構成できるよう、1912年から1923年までの評論39篇を年代順に配列、収録した。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • われわれが自分の自我ーー自分の思想、感情、もしくは本能ーーだと思っている大部分は、実に飛んでもない他人の自我である。他人が無意識的にもしくは意識的に、われわれの上に強制した他人の自我である。
     百合の皮をむく。むいてもむいても皮がある。ついに最後の皮をむくと百合そのものは何にもなくなる。
     われわれもまた、われわれの自我の皮を、棄脱して行かなくてはならぬ。ついにわれわれの自我そのものの何にもなくなるまで、その皮を一枚一枚棄脱して行かなくてはならぬ。このゼロに達した時に、そしてそこからさらに新しく出発した時に、はじめてわれわれの自我は、皮でない実ばかりの本当の生長を遂げていく。

  • 理解するのはなかなか難儀でしたが、アナキスト大杉栄の評論集。
    アナキストもよくわかってないレベルで読んで、理解したことは、
    ・個人主義は自己を確立させて自分の意志を持つ
    ・個人が基礎となるので政府はいらない

    自我の拡張が人間の義務というのは、確かに現代にも通じる。
    大杉栄は労働者側が無感情で何も考えない姿勢も改善せよと言っている。
    おかしいと思うことは声を上げる、自己の人権を自分の手で作ってあげるというのは大事。

    征服者と非征服者の二分化した理由の分析は面白かった。
    征服者→非征服者
    人類は、各所で組織を作り交わらずに生活していたが人口が増え活動領域が増えると、別のコミューンと交わる→戦争、戦い→武器の強いものが勝つ→勝った方が征服者になる→非征服者は人の下に立つことになれる→征服者は教育を施し征服者が非征服者よりも偉いと刷り込む→非征服者の中でも上に上がれる仕組みを作る↑中間層ができる


    今の時代に資本主義からまた個人主義になるメリットがさっぱりわからないのと具体的に無政府になってどうするの?ということはよくわからなかった。

    最後はロシア革命についての批判を長いこと論じていたけど、この章で社会主義と個人主義の違いがよくわかったし、社会主義が結局資本主義に近づくしかなくなったことがわかったのはなかなかの発見。

    次はロシア革命やマルクス主義を学ぼうかな。

  • 大杉栄評論集
    (和書)2011年03月07日 19:32
    1996 岩波書店 大杉 栄, 飛鳥井 雅道


    大杉栄さんのことはよく知らず、アナーキストということもどういうものか理解しがたいものがあったが、この本を読んでかなりスッキリした。

    とても面白い。共感する部分が多いので他の著書の読んでみたい。

    かなりの面白さだった。

全3件中 1 - 3件を表示

大杉栄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トルーマン カポ...
M.バルガス=リ...
遠藤 周作
M.バルガス=リ...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×