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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784003313893
感想・レビュー・書評
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孤猿随筆
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犬、猫だけでなく、狐、狸、猿、狼など、比較的人間と深く関わりあっていたはずの生き物達と人間との関係の変化に関する考察。動物学的なことではなく、言い伝えや民話からそれを解き明かしていく過程が面白い。
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書名に「随筆」とあるとおり、やや軽い読み物といった趣だが、さすが柳田國男、いつものように博識ぶりを発揮し、民俗学的な思考にいざなってくれる。
狐や犬のような動物を巡る民間伝承や文献をさぐり、彼らのイメージが人間にとってどのようにあらわれてきたかを記述しようとする。
柳田國男の文章はいつも、どこか随筆のような飄々とした雰囲気があり、「民俗学」という学問上のいかめしい論文というより、きまぐれな道草や方向転換をもふくんだ、文体自体が味わい深い文学作品という印象がある。
レヴィナスの哲学書が一種の文学として読めるように、柳田民俗学もすっぽりと柳田文学というパースペクティヴで捉え直すことができるだろう。
この文章はじっくり読めば読むほど味が出てくる。それは既に失われた、昭和初期以前の民俗的風景の匂いに似ている。
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