十二支考〈上〉 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003313916

作品紹介・あらすじ

柳田国男を驚嘆させた巨人熊楠が、干支の動物を俎上に古今東西の説話をふまえて語る。その知識のパノラマも壮観なら、天衣無縫の文体もまた類を見ない。上巻には虎、兎、竜、蛇、馬の各篇を収めた。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。下巻を先に再読したのだけれど、下巻あとがきによると、1914年(大正3年)の寅年から雑誌『太陽』で連載が開始されて、毎年その年の干支について書かれていたのに、1923年(大正12年)亥年に関東大震災があったので猪までで中断、その後書きかけの鼠については後日まとめられたが、のこりの一つ「丑(牛)」については書かれることがなかったようです。なので十二支考なのに実は十一支しかない。

    そんなわけで上巻は虎、兎、竜、蛇、馬の五支分。虎はもともと日本にはいないから、昔話や伝説にも虎ほぼ登場せず、ゆえに中国やインドのエピソード中心。相変わらず熊楠先生の話は脱線しがちで、いつのまにか得意の藻の話とかになってるし(笑)

    竜だけはタイトルが「田原藤太竜宮入りの話」となっているのだけど、これはつまり竜だけは十二支の中で架空の動物だからだろうか。比較的身近な動物の多い十二支の中に、突然「竜」が入ってるのってふと思うとなんでだろうね。蛇と共通の話題も多いし、元ネタというかもともと竜に間違えられた生き物は何だったのか、西洋でも東洋でも同時多発的に「竜」という動物が存在すると思われたのも不思議だし、これは興味が尽きない。

    馬についてはとくに脱線が多く、どこでそうなったのか気づくとシモの毛の話になっており、熊楠先生いわく、

    「婦女不毛の事など長々書き立つるを変に思う人も多かろうが、南洋の諸島に婦女秘処の毛を抜き去り三角形を黥するとあり。諸方の回教徒は皆毛を抜く。その由来すこぶる古く衛生上の効果著しいところもあるらしいから、日本人も海外に発展するに随いこの風を採るべき場合もあろう」

    というわけで、つまりこれは「国家に貢献しよう」という志の表明であり、断じて単なる下ネタではないと主張(苦笑)しかし実際に100年後の日本でブラジリアンワックスなるものが流行したことを思えば、熊楠先生の慧眼、達見は敬服に値するかも(笑)

    アプレイウスの『金驢篇』(※黄金の驢馬)と日本の小栗判官に共通点が多いというのも気になるのでいつか比較してみたい。あと動物とは全く関係ないのだけれど「拙妻は左手のみ蝮指だから、亭主勝りの左利じゃなかろうかと案じたが、実は一滴も戴けませんから安心しやした。」等という文章から、酒飲み、酒好きのことを「左利き」と昔は表現したのだろうなと思われ、今も真偽が問われる新選組の斉藤一の左利き説、あれ言った篠原泰之進は実際の利き腕の話ではなく酒飲みだったというつもりだったのではなかろうかと考えたりする。

    ※収録
    虎に関する史話と伝説民俗/兔に関する民俗と伝説/田原藤太竜宮入りの話/蛇に関する民俗と伝説/馬に関する民俗と伝説

  • とらうーたつみーうま編。
     虎に関するなんとかのジャッカルの目が何となく良い。
     ウサギが良い。實吉達郎先生によると、南米ではネコ科の野生生物は、何でも「ティグレ」ださうであるが、南米の土人Aがいはゆるプロメテウス的な存在として見るウサギに纏はるそれで、「虎王」が出てきた。

  • 十二支の動物たちを章立てて、古今東西の伝説や民話を綴った説話集。上巻には虎、兎、竜、蛇、馬の各篇が収録。

    濃密な知識量と自由な語り口に、一行一行噛み締めるように読み進めた。一章を読み終えるのに集中力を要するけど、気持ちの良い疲れです。
    上下巻一気に読むのは南方熊楠氏の幅広い知識の海に溺れそうになるので、年の瀬に来年の干支にあたる章をじっくり読んで年越しに備える、という楽しみ方も良いかもしれません。

  • 卒論資料です。

  • 虎に関する史話と伝説民俗
    兎に関する民俗と伝説
    田原藤太竜宮入りの話
    蛇に関する民俗と伝説
    馬に関する民俗と伝説
    (目次より)

  • 2009.2.21

  • 105

  • この人は博学として有名ですが、これは博学ではなく、知っていることを片端から羅列しているだけです。
    この人の知識は底が浅い。

  • 知識の深さに感嘆する。南方さんは蜘蛛の巣みたいな頭をしているのだと思った。

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著者プロフィール

南方 熊楠(みなかた くまぐす)
1867年5月18日 - 1941年12月29日
在野の民俗学者、博物学者、生物学者として知られる。
著書に、『南方閑話』(坂本書店、1926)、『南方随筆』(岡書院、1926)、『続南方随筆』(岡書院、1926)などのほか、全集や選集、書簡集など多くの文業が刊行されている。

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