十二支考 下 (岩波文庫 青 139-2)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003313923

作品紹介・あらすじ

犬と猫はなぜ仲が悪いのか。人や他の動物の寿命はどのように決まったか。猪と蝮の関係は?…それからそれへと興味つきない話の数々。下巻には羊、猴、鶏、犬、猪、鼠の各篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 最近『羊の木』という映画を観たのだけれど、映画のタイトルの由来になったのは「スキタイの羊(タタールの羊、バロメッツとも)」という架空の、羊そっくりの実がなる木のこと。パンフレットに澁澤龍彦の「スキタイの羊」に詳しいよとあったので本棚から探しだして(『幻想博物館』)拾い読みしたところ、ボルヘスの『幻獣辞典』や熊楠の『十二支考』にも出てくると書いてあったのでそちらも引っ張り出し、ついでに熊楠は感想書いてなかったので再読することに。ゆえに羊の載ってる下巻から。

    羊についてはあまり伝説の類は少ないのかページ数は少ない。そういえば昔話や民話などでも羊の活躍する話はあまり聞いたことがないような。日本には昔はいなかったからだろうけど、キリスト教圏では迷える子羊、犠牲の仔羊など、かよわいもの、搾取される側のものとしての、宗教的な象徴としての側面が強すぎるのかなあ。羊の木=バロメツについては熊楠は羊歯の一種(植物羔) と断定している。

    下巻収録は、羊、猿、鶏、犬、猪、鼠の6種ですが、他の動物に比べるとやはり犬だけ圧倒的に「良い話」が多い。日本だけでなく洋の東西問わず、犬は飼い主に忠義を尽くして、飼い主自身やその家族を守って死んだとかその手のエピソードばかりでなんかすごい。例外的に西洋で黒犬・黒猫は悪魔のしもべみたいに言われる程度。花咲か爺さんや桃太郎など、日本昔話も犬は人間の味方ですもんね。

    全体的に熊楠の文章は中国の文献からの引用等も含めちょっと古い言葉使いなので読むのに時間がかかりますが、熊楠自身はいたってお茶目で、ちょいちょい自画自賛やユーモアもあり。猪のところでなぜか聖アントニウスの話から自分の童貞話になり最終的にはそんな自分と結婚してくれた奥さんがいかに素晴らしい女性かというノロケになるなど(笑)脱線もまた面白い。同窓生だった秋山真之 正岡子規らの名前がふいに出てきたりすると「坂の上の雲!」ってテンションあがる(漱石は出てこなかった)

    「男装女子」「女装男子」(※原文ママ)なんて言葉が出てきて、それに関するエピソード色々も興味深かった。あとトルーフル(トリュフ)とか、ハムステル(ハムスター)とか英語のカタカナ表記の仕方が時代の所為か独特なのがなんか可愛い。

    ※収録
    羊に関する民俗と伝説/猴に関する伝説/鶏に関する伝説/犬に関する伝説/猪に関する民俗と伝説/鼠に関する民俗と信念

  • 数年おきに読んでをる。
    『鶏に関するなんとか』に出てくる「ヨルバ人の」神様のサンゴってその辺の資料に「シャンゴ」とあるやつの筈で、どつき棒でなくて「手斧」持ってるとされる。

  • 歴史

  • 十二支の動物たちを章立てて、古今東西の伝説や民話を綴った説話集。下巻には羊、猴(さる)、鶏、犬、猪、鼠の各篇が収録。

  • 羊に関する民俗と伝説
    猴に関する伝説
    鶏に関する伝説
    犬に関する伝説
    猪に関する民俗と伝説
    鼠に関する民俗と伝説
    解説(宮田登)
    (目次より)

  • 2009.2.21

  • 知識の深さに感嘆する。南方さんは蜘蛛の巣みたいな頭をしているのだと思った。

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著者プロフィール

1867年、紀伊国(現在の和歌山県)に生まれ、1941年に同地にて没する。在野の民俗学者、博物学者、生物学者として知られる。
著書に、『南方閑話』(坂本書店、1926)、『南方随筆』(岡書院、1926)、『続南方随筆』(岡書院、1926)などのほか、全集や選集、書簡集など多くの文業が刊行されている。

「2018年 『熊楠と猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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