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Amazon.co.jp ・本 (435ページ) / ISBN・EAN: 9784003314128
みんなの感想まとめ
テーマは、明治時代の日本が欧米を視察し、その経験が国の発展にどのように寄与したかに焦点を当てています。記録係の久米邦武が描く西洋と東洋の価値観の違いや、訪問先での圧倒的な技術力や文化に対する感動が伝わ...
感想・レビュー・書評
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記録係の久米邦武は「西洋は形あるものを大重んじ、東洋は形のないものを重んじる」としその貧富の差について看破している。一行はボストンを後に一路ロンドンに向かう。ロンドンではテムズ川の下に地下道が走り、地下鉄が通っていた。町は工場の煤煙で覆われていたという。その工業力に圧倒される。次に向かったのはフランス。エリゼ宮、凱旋門、ヴェルサイユ宮殿とオペラ座、その華美に目を奪われる。ベルギーではガラス工場をドイツでは大学や兵器工場、オランダでは王宮や風車を視察する。
また、イタリアにも足を向けている。私も一度だけイタリアに行ったことがある。ヴェローナの闘技場、ピサの斜塔、ヴェネチアのサン・マルコ聖堂、コロッセオ、ヴァチカン、奇しくも使節団が足を運んだ場所に自分もいたのだと思うと感慨もひとしおだった。
その後もオーストリアではウィーン万博をスウェーデンで製鉄所をスイスでは登山鉄道を観て小国においても文明というものが根を下ろしていることを知る。
ヨーロッパからの帰路、エジプト、アラビア、香港などに立ち寄り列強の収奪の苛烈さを目撃する。
1年3ヶ月に及ぶ視察は当時の日本のトップをして目を開かせるのに十二分であった。
ここに新政府の方針が決まる。「和魂洋才」日本の魂は失わず米欧の才智を取り入れるというものだ。
まさに「ここに地終わり海始まる。」ポルトガルのロカ岬の碑の言葉が思い浮かんだ。
ここに富国強兵、殖産工業が始まる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第二編はイギリス、巻末の解説によると「米欧」の順で回ったのには意味があり、東洋対西洋の比較において「自由」を求めて独立したアメリカとその開拓の歴史はインパクトが大きかっただろう。しかしイギリス編を読んでいるとアメリカ編以上に明治の日本に取り入れるべき物を漏らさず記録しようと言う意思が垣間見える。既にアメリカでは肥沃な土地を生かした大規模な農業が始まっていたが、日本がまねをしたのはイギリス式の輸出作業の強化だったのではないか。ちなみに全権大使といいながらアメリカ到着後すぐに委任状がないという形式的な手落ちがあり条約改正の下交渉はそうそうにストップし目的はほぼ視察に置き換わってしまった様だ。
当時のイギリスはGDPはアメリカに追いつかれかけていたが一人当たりではダントツの世界一、そのイギリス人が日本のことを東洋のイギリスと呼んでいた。海外にカナダ、インド、オーストラリア、ニュージーランドという広大な土地をもち、香港、シンガポール、ジブラルタル、マルタ、パナマ、南アフリカなど交通の要所を押さえている。当時のイギリスの競争力の源泉は当時世界一の生産量を誇った鉄と石炭にあり、機械を利用して海外植民地から輸入した綿や生糸を負って輸出している。輸入総額3億3千万ポンド(16.6億$)で綿花、穀物、蔗糖、羊毛、絹、茶の6品でほぼ半分を占める。輸出は2億2千万ポンド(11億$強)綿布、毛布、銑鉄、麻布、石炭、機械。鉄は317万t、1.3億$、機械は3千万$などだ。
「英国の富は、石炭と鉄とをもって、機械を動かし、綿毛麻を紡織するのが眼目である」そして「英国の富強を世界に鳴らすは、その民の性、自力に逞しく、篤く法を守り、勉強するによる」1日6時間仕事をさせればアメリカ人は4時間で終わって遊びにいき、フランス人は同じく飲んで踊る。イギリス人は5時間で終わって残りの1時間別の仕事をする、そしてドイツ人は6時間では足らず夜までかかりさらに余った時間に勉強する。
ロンドンでは貿易を支えるしくみすなわち会社、銀行、交易所、集会所や上院、下院からなる議会制度と裁判所を見学しまた物流についても鉄道、駅、市場に加え滑車を利用したクレーンなどどうやって機械を利用するかを見ている。細かいところでは日本では米を俵につめて人力で運んでいるのにイギリスでは小麦はサイロにバラ積みでこれまた機械をうまく使ってまとめて運んでいることや、雨が多いイギリスでさえ小麦をきちんと感想させてるのに日本ではそれがわかってないだとか、イギリスの穀物価格は小麦、米、トウモロコシの順で日本では雑穀扱いの小麦を欧州に輸出すれば儲かるに違いないとか、生糸の輸出の際に日本からの荷の中に鉛で重さを増してるのを見てこれではダメだと思ったりとか、西洋に売るために必要なやりかたを学び始めている。
「東洋人は実験巧者で西洋人は術理に長けている。東洋の巧みなるは手技にあり、西洋の巧みは機械にある」東洋の方が手先が器用で実験的なのに対し、西洋はもっとロジカルで手先の技ではなく物理、化学を基礎として機械にやらせ、しかも分業が進み自分の専門外はよく知らない人が多いと産業構造の違いに着目している。そして、その英仏でもこういう産業構造に変わったのはわずか50年ほどのことなのだと。この産業を取り込んで追いつこうと考えたのも当然で、鉄道や富岡製糸場などはここから始まったのだ。
実際に見て回ったのはリバプール、マンチェスターなどの中部の工業地帯に時間を割いて製鉄、銅などの精錬、ドライドックを備えた造船、板ガラスと鏡、天然ゴム、紡績と染色、製糖、アームストロング砲(開発者本人が案内!)、ばね、ビール(醸造なら日本も得意だ!)、炭鉱、陶磁器(ただしこれは日本や中国の物の方が質がいい)、岩塩を利用したソーダや塩素の製造、他に小さな物ではビスケット工場やら、万年筆のペン先やらまで中には全て理解できなくてもとにかく記録を続けている。南米のアルパカの毛は上手く毛織物にすることが出来ず海に捨てるのも燃やすのも断わられ、倉庫代だけがかさむ厄介者だったがある人が周囲に笑われながらも利用することに成功し、厄介者は財産に生まれ変わった話なども面白い。案内者が言いたがらないことも見学の間に色々聞き出して書いておけば、日本で産業化するときにここにヒントを残すかどうかで開発速度は大きく変わるかも知れないからだろう。これを旧仮名遣いで全て読むのはかなり大変。エジンバラがエデンボルグになってたりと単語もかなり違う。スコットランドが蘇格蘭とかは中国語で慣れたのでまだなんとかなる。 -
『ぼくらの頭脳の鍛え方』
書斎の本棚から百冊(立花隆選)35
日本近現代史
日本の近代は明治の指導者たちのこの一大見学旅行からはじまった。
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