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Amazon.co.jp ・本 (337ページ) / ISBN・EAN: 9784003314449
感想・レビュー・書評
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下巻。
九州を拠点とた宣教師は、京都の騒乱を潜り抜け、乗じながら、畿内にもキリスト教を広げていく。
朝廷・幕府・寺社ら旧勢力の一掃を図った織田信長の後押しを得て、
日本のキリスト教は、1580年頃が最も上を向いていた時期といえる。
ただ、秀吉が天下を統べた瞬間、下剋上の創造的な世は終了。
武士階級が1番上、という「現状」を永遠に固定するためにはキリスト教は邪魔でしかなかった。
家康の番になると、その姿勢はより顕著になり、
逆に孔子の教え、忠孝を根拠にすることによって、もう二度と逆転しないよう上下関係を固定していく。
町人らの押し上げの可能性をなくす、国内の敵を制圧するための保守運動。革命の後の反・革命運動のような。
世界をつないだ西欧にあり、そして織田信長までは見られた「未知の世界への冒険的探求心や視圏拡大の要求」はもはや存在しませんね。
国内の秩序維持を優先し、国外関係を犠牲にする。
為政者の冒険的精神の欠如・精神的な怯懦で国を閉ざした結果、近代世界の主流から取り残された。
長い孤立の影響は、国民の性格や文化のすみずみまで及んでいる。
いわく、マイナス面は「直観的な事実のみに信頼をおき、推理力による把握を重んじない民俗の性向に裏打ちされた科学的思精神の欠如」。
それが無残な敗戦を導いた。
以上まとめ。
最後の部分は、戦後すぐ書かれた本、という事情もあるのだろう。
のしあがるためにキリスト教を利用し、日本統一したら、もうのしあがらせないためにそれを捨てる、という態度は納得しやすい。
・西欧の争いは日本の布教にも影響。ポルトガル・スペインが開拓した市場を、イギリス・オランダが荒らし、のっとった、という見方も。 -
[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
本書では戦国時代の宣教師の主な活動が書かれている。
祖国から遠い国で布教する情熱は今の時代でも十分に関心してしまうような行為だとは思った。
一方でタイトルとなっている鎖国については日本人には世界に対し、上記のような情熱が不足していたために天下統一後に海外へと進出するのではなく、国内を統治することを指向したという結論になるのだろう。
江戸時代は260年近い平和な時代だったわけだが、その後の第二次世界大戦での敗戦に繋がった事を考えると鎖国は大きすぎる代償だったのではないかと作者は書いている。
これはどちらが正しいとは言い切れない、非常に難しい問題でグローバル化が進んだ現代でも参考となるだろう。 -
鎖国 下―日本の悲劇 岩波文庫 青 144-4
(和書)2010年08月18日 19:48
和辻 哲郎 岩波書店 1982年1月
いろいろ参考になる見方があり、とても良かった。
「未知の世界への探求心や視圏拡大の要求」
信長と秀吉の違いというところも面白かった。
単なる支配欲の充足だけでは購えないものが信長にはあったのではないかという見方はとても面白い。
読んで良かった。 -
近所の古書展で筑摩叢書版を購入。500円也。
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ヨーロッパ近世とのコンタクトが深まりつつあったなかで、徳川幕府は2000年も昔の古代中国の思想を政治や制度の核にしてしまい、なおかつ国を閉ざしてしまったわけである。こういう守りの姿勢が、いまに至るまで、日本の政治の脆弱さに尾を引いているのではないか、と思った。当時の権力者は、世界的視野という点で狭かったわけだが、キリシタン迫害などの事実は人間としての狭さも感じてしまう。海外からの勢いにビビッていたのか。
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