鎖国 下―日本の悲劇 (岩波文庫 青 144-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003314449

感想・レビュー・書評

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  • 1982年刊行(初出1950年)。これでは序章が済んだだけだよ、と言いたくなる内容で、こちらが期待したもの、また著者の問題設定に十分な回答がなされたとは言い難い。けだし、近世江戸期の特徴、つまり鎖国によっていかな社会制度・経済制度とその現実が生み出され、近代への道程が滞ったことを解析して初めて回答になるが、これがすっぽり剥落。ただ、上同様、下巻も、戦国・織豊期におけるC教流入と迫害・排斥の模様が実にビビッドに叙述され、これも類例を見ず新奇。神田千里氏の議論(視点は真逆だが)の先駆と評しうるかも。
    確かに、問題意識への回答は提示されないものの、叙述内容は「ため」になり、有益な読書体験。PS.①西欧におけるイスラムの如き、東アジア全体で対抗すべき勢力の不存在、②西欧内国家群が対抗・競争関係にあるが、東・東南アジアにはない、③金・銀等鉱物資源、木材等のE資源、香料・茶に匹敵する超高価な嗜好品が西洋になく、自足可能、④織豊→江戸期日本が、絶対王政と呼べるほど強力な中央集権でない一方、分国間対立が一応止揚されたに止まる連合国家で、日本が海外交易するのは徳川権力弱体化の危険(分国の潜在力強化)があった。
    とはいえ、これらは日本の鎖国政策の理由付けにはなるだろうが、近代化の遅れとの関わりはまだまだ、自らの考察不足あり。

  • 下巻。
    九州を拠点とた宣教師は、京都の騒乱を潜り抜け、乗じながら、畿内にもキリスト教を広げていく。
    朝廷・幕府・寺社ら旧勢力の一掃を図った織田信長の後押しを得て、
    日本のキリスト教は、1580年頃が最も上を向いていた時期といえる。

    ただ、秀吉が天下を統べた瞬間、下剋上の創造的な世は終了。
    武士階級が1番上、という「現状」を永遠に固定するためにはキリスト教は邪魔でしかなかった。
    家康の番になると、その姿勢はより顕著になり、
    逆に孔子の教え、忠孝を根拠にすることによって、もう二度と逆転しないよう上下関係を固定していく。

    町人らの押し上げの可能性をなくす、国内の敵を制圧するための保守運動。革命の後の反・革命運動のような。
    世界をつないだ西欧にあり、そして織田信長までは見られた「未知の世界への冒険的探求心や視圏拡大の要求」はもはや存在しませんね。
    国内の秩序維持を優先し、国外関係を犠牲にする。

    為政者の冒険的精神の欠如・精神的な怯懦で国を閉ざした結果、近代世界の主流から取り残された。
    長い孤立の影響は、国民の性格や文化のすみずみまで及んでいる。
    いわく、マイナス面は「直観的な事実のみに信頼をおき、推理力による把握を重んじない民俗の性向に裏打ちされた科学的思精神の欠如」。
    それが無残な敗戦を導いた。

    以上まとめ。
    最後の部分は、戦後すぐ書かれた本、という事情もあるのだろう。
    のしあがるためにキリスト教を利用し、日本統一したら、もうのしあがらせないためにそれを捨てる、という態度は納得しやすい。

    ・西欧の争いは日本の布教にも影響。ポルトガル・スペインが開拓した市場を、イギリス・オランダが荒らし、のっとった、という見方も。

  • 近所の古書展で筑摩叢書版を購入。500円也。

  • ヨーロッパ近世とのコンタクトが深まりつつあったなかで、徳川幕府は2000年も昔の古代中国の思想を政治や制度の核にしてしまい、なおかつ国を閉ざしてしまったわけである。こういう守りの姿勢が、いまに至るまで、日本の政治の脆弱さに尾を引いているのではないか、と思った。当時の権力者は、世界的視野という点で狭かったわけだが、キリシタン迫害などの事実は人間としての狭さも感じてしまう。海外からの勢いにビビッていたのか。

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著者プロフィール

和辻哲郎(わつじ・てつろう 1889-1960)
兵庫県神崎郡砥堀村仁豊野(現在の兵庫県姫路市)に生まれる。倫理学者、哲学者。著書に『古寺巡礼』『風土』『倫理学』『日本精神史研究』など。

「2016年 『日本語と哲学の問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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