きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

制作 : 日本戦没学生記念会 
  • 岩波書店
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レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003315712

作品紹介・あらすじ

酷薄な状況の中で、最後まで鋭敏な魂と明晰な知性を失うまいと努め、祖国と愛するものの未来を憂いながら死んでいった学徒兵たち。1949年の刊行以来、無数の読者の心をとらえ続けてきた戦没学生たちの手記を、戦後50年を機にあらためて原点にたちかえって見直し、新しい世代に読みつがれてゆく決定版として刊行する。

感想・レビュー・書評

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  • 永瀬隼介さんの『カミカゼ』を読んで、この本を思い出しました。

    初読はもう数十年も前、ページの所々にシミのある古い本。
    そして何度読んでも、やはり号泣してしまうのです…。

    燃料は片道分。
    生きて再びこの地に降り立つことはない。
    どれほどの決意だったのだろう。
    その心の内は想像すらできません。

    故郷の両親へ、兄弟、友人、そして想いをよせた人へ…
    検閲される手紙には、本心を書くことは出来なかったのかもしれない。
    国を守るために、この命など惜しくはない。
    これほど栄誉なことはない。
    なんの迷いもなく、澄み切った日本晴れのような心で飛び立つのだと。
    そう伝えることが、自分の大切な人を安心させる唯一のことだと信じていたんですよね。
    哀しいです。

    平和ボケとまで言われる日本に生まれ、
    戦争の悲惨さなど、書物や映像でしか知らず育ちました。
    戦後70年がたち、広島で、真珠湾で、かつての敵国のトップが肩を並べて立ったこと。
    その意義を、もう一度深く考えたいと思いました。

    • nejidonさん
      杜のうさこさん、こんばんは。
      私がこの本を読んだのも相当前のことです。
      涙で何も見えなくなるほど泣きました。
      こういった本に対する評価...
      杜のうさこさん、こんばんは。
      私がこの本を読んだのも相当前のことです。
      涙で何も見えなくなるほど泣きました。
      こういった本に対する評価は難しいですね。
      称えているわけでもないのに、「感動した」などと言うとすぐ「右だ」
      とレッテル張りされそうで。
      素直に泣ける、それが大事なんだと思いますけどね。
      興味深いことに、海外では特攻というものに対して大変な高評価ですね。
      その方法ではなく、その「志」に、です。
      逆輸入して、日本でも大々的に読まれたりして(笑)。
      2017/04/02
    • 杜のうさこさん
      nejidonさん、こちらにもコメント、本当にありがとうございます!
      こういった本の感想にコメントをいただけると、なんだかとてもホッとしま...
      nejidonさん、こちらにもコメント、本当にありがとうございます!
      こういった本の感想にコメントをいただけると、なんだかとてもホッとします。
      思想的な意見と受け止められないかな。と思いながら書いたりするので難しいです。

      そうなんですよね。是非ではないんですよね。
      こういった負の歴史があった。
      自分たちが生きている今の日本の礎となった方々を、忘れてはいけないのだと思います。

      私の感想なんて「ごまめの歯ぎしり」のようなものですが、これからも読んでいきたいです。
      2017/04/04
  • 戦没した若者たちの手記をまとめた書。死に際して彼らが感じていた懊悩苦悶と、祖国や愛する者への想い。何も言葉にできない。

    ちなみに私も「最後には人間的な苦しみも捨てさって死んでいったもの」(星野芳郎)の、戦争謳歌にも近いような言葉をも収録する「公正」な収録方針に従って欲しかったと思う。「悲劇は苦しいとうめき声をあげることにあるだけにあるのではなく、自ら思考を切断した苦しみもなくなることにこそあったのだ」という星野の意見に賛成である。「耐えられない」という感情を持ちながら、どうしようもなくその感情の前に立ち尽くす事が必要なのだと思う。

  • 第二次大戦により戦没された方々の手記。
    家族や友人、恋人を守る為に、死を前提とした戦地に赴く若者達の思いが綴られていて読むのが凄く辛かった。
    検閲を潜り抜けるために書けることにも制限があるが彼らが国に対しての疑問や矛盾を感じ取っていたことは充分伝わってきた。
    もっと学びたかっただろうし、もっと生きたかっただろうに欺瞞と葛藤を抱えながらも静かに諦観し、無残に散っていった命を思うと涙が止まらなくなった。
    今、私が享受している平和は彼らが切り開いてくれた道。この本の中で息づく魂を無駄にはしたくないと思う。

  • 長く手に取らずにこの歳になりましたが、ついに繙きました。未来ある若者にこのような文章をしたためることを余儀なくさせる日が二度と来てはならないと思います。

  • 戦争中に兵士として亡くなった学徒の手記を集めたものである.
    文章から滲み出る当時の大学生の高い教養レベルをまざまざと感じることができる.当時の日本の若き頭脳が失われたことは日本にとっても大きな損失であろう.

    この本を読むと英霊の眠る靖国神社に手を合わせないわけにはいかなくなるであろう.

  • 学生をやっている人間は全員読むべきである。
    そしてどんな日本を創りたいのか、若者は考えるきっかけとして欲しい。

    彼らが犠牲となったのか?
    礎となったのか?

    決めるのは生き残りの子孫たる我々次第だ。

  • 小学生のときの課題図書。全てが真実でしかない分、突き刺さるし、私達は目を背け、知らないことにしてはいけない。

  • 現代の私たちは、輝かしい青春、そしてその若き命を犠牲にせざるを得なかった彼らに誇れるような国を作れているのだろうか。彼らの青春の日々、命を奪った悲しき歴史。彼らは。今の日本をみて何を思うのだろうか。

  • コペル君(「君たちはどう生きるか」)のその後… として読み始めた。

    書名と内容はよく知っていたが、読む動機を持ちえぬまま、であった。ところが、現今の「君たちは…」のブームで、朝日新聞の記事で、以下の一文に出会った。
    「コペル君は、先の大戦での学徒出陣で命を落としていく世代なのです。」(文芸評論家・斎藤美奈子)。 驚いた。
    そこで、コペル君のその後、として読み始めたのである。

     出陣学徒75人余の遺した手記を集めている。東大(帝大)生がいる。慶応、早稲田の学生も多い。 渇望するごとく「もっと学問をしたかった」と述べる若者たちの多い。軍隊生活の多忙さ、人間性を否定する旧軍のシステムのもとで、考えること、読書することを否定され、禁じられ、それでもなお、書物を読みたい、と求める者がいる。
     わずかな時間で書きなぐったと思われる手記であるだけに、失礼だが、悪文と思わざるをえない読みづらいものもある。
     だが、幾つか、文学的な深みに達した手記もある。内省的な、淡々とした独り語りに、大岡昇平を思わせるものもあった。生きながらえたならば、一級の文学を生み出す人となっていたかもしれぬ。改めて、彼らの早すぎる死が惜しまれる。

     菊山裕生氏(東大)の手記。多摩墓地へ友人の墓を訪ねて彷徨する模様を書き残していて、短編小説のような不思議な趣がある。
     市島保男氏(早大)は、航空基地での、出撃を間近に控えての心情を、穏やかな筆致で記録。なんとも寂寥たるものがある。
     上原良司氏(慶大)は、精神と物量のことに言及し、冷徹に状況を評する筆致が印象に残る。
     そして、木村久夫氏(京大)である。巻の最後に収められている。氏の手記は格別の重さがある。BC級戦犯として虜囚の身にある。 自らの無罪を確信しているが、旧軍の一員であった事実は否めないとし、敢えてその罪を背負い、日本人として責任をとる覚悟を語る。 独立した一編の掌編である如き、深さと重さである。

     それぞれの手記には、戦死した地も記されている。南洋の島々もあるが、ビルマの地名も多い。 日本を遠く離れたアジアの辺境、名も知らぬ遠い異郷の地である。かの地での最期、寂寥たる思い、望郷の思いは如何ほどであっただろうか。

  • 正直、当時の人たちはみんな教育、報道管制のせいで軍国主義に染まり切っていたのかな、などと思っていた。そういう人たちもいただろうけど、大学では学問の自由が守られていたことが窺えたし、世間が軍国主義・全体主義に傾いても批判精神を持って自分の頭で考えることができた若者がいたことがわかった。

    沖縄で戦没者の遺書や手紙を見た時にも感じたけど、当時の学生は立派な文章を書くし教養がある。それに比べて今の大学生は…と思わずにはいられない。旧帝大の学生であっても教養レベルは低下しているでしょう。自分自身も恥ずかしい大学生活を送ってしまった。

    やはり家族や恋人への思いは強く、死ぬのは怖いし苦悩がある。当然でしょう。そしてさらに、苦悩を超えて日本のため家族のためにと戦死を受け入れる様子も窺え、「立派すぎるよ」と感心するやら泣けてくるやら。

    今平和な時代に生きていられることを享受することは戦没者の方々の望むところかもしれないけど、それでも過去の出来事や彼らの思いを知らなくてよいということにはならない。時がたてばどうしたって戦争の爪痕や記憶は薄らいでしまう。忘れないためには意識的に努力する必要がある。

    永く読み継ぐべき名著。

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プロフィール

通称わだつみ会

1950年4月、「戦争によって流された血は、ぶたたび、それが決して流されぬようにすること以外によってはつぐなわれない。」との信念に立って設立。死者の遣念を継いで思索し、発言し、行動する、不戦・反戦・平和の団体
 同年6月、映画『きけわだつみの声』が封切り公開
 同年10月、機関紙『わだつみのこえ』創刊
1952年4月、徴兵制復活反対署名運動を始める
1953年11月、『朝日新間』投書欄で安田武が「学徒不戦の警い」を提唱する
 同年12月、立命舘大学に「わだつみ像」が建立される
1954年9月、徴兵反対署名、約31万5千名に達する
1958年8月、第九回全国大会で「単一学生同盟の結成にむけて」わだつみ会の解散を決める
 同年10月、機関紙『わだつみのこえ』が159号で無期休刊。
1959年6月、日本戦没学生記念会が再発足。
 同年11月、機関誌『わだつみのこえ』創刊
1974年5月、「靖国神社法案」反対声明
1991年1月、声明「まず交戦国からの離脱を!」を発表して湾岸戦争を批判
1992年10月、自衛隊のカンポジア派兵に抗議する声明「それでも行ってはならない」を発表
1993年〜1995年「学徒出陣」50周年記念事業を展開

主な著書に
『はるかなる山河に〜東大戦没学生の手記〜

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