懐旧九十年 (岩波文庫 青 161-1)

著者 : 石黒忠悳
  • 岩波書店 (1983年4月16日発売)
3.50
  • (1)
  • (1)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :22
  • レビュー :2
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003316115

懐旧九十年 (岩波文庫 青 161-1)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 請求記号:289.1イ
    資料番号:010765048

  • 奥州伊達郡梁川に生まれた石黒忠悳は、医学を志し江戸の
    医学所に学ぶが維新に際し帰郷。後に山県有朋らの知遇を
    得、陸軍衛生部軍医制度の確立に尽力した。「近代医学事
    始」ともいうべき草創期の描写は生彩を放ち、大山巖、大
    倉喜八郎、大橋佐平、三遊亭円朝、中江兆民などとの多彩
    な交渉も語られ興味はつきない。(解説 原もと子)
     第一期 出生より万延元年帰郷まで
     第二期 石黒家継承より越後巡回まで
     第三期 医学志望より明治維新まで
     第四期 明治二年東上より文部省を罷めるまで
     第五期 兵部省出仕より日清役まで
     第六期 日清役より日露役まで
     第七期 日露戦役以後

    幕末から昭和までを生きた著者の回顧録は、江戸下級武士
    の暮らし、幕末から明治にかけての転換期の様子。近代の
    体制が整備される様子など多岐に渡り興味深く面白い。
    また、著名人との交流にも触れられている。著者は日清戦
    争の帰還兵消毒事業において、相馬事件により不遇をかこ
    っていた後藤新平を推薦し再起を助けたが「人はよほど注
    意をせぬと地位が上がるにつれて才能が減ずる。(中略)
    後藤新平君でさえ私の見るところでは、大臣になってから
    十分の三ぐらいは確かに鈍ったと思います。それがそうで
    なかったのは、私の知っている限り児玉源太郎・陸奥宗光
    の二人です」という見方は面白い。
    石黒を論じる上で脚気問題を避けるわけにはいかないが、
    単に医学上の問題というだけでなく、当時の社会的な背景
    (原因が特定出来なかった点、糧食の供給の問題、日本人
    の白米志向)を考慮する必要があると思う。我々、後世の
    人間は答えを知ってから歴史にふれるが、当時の人々が限
    定合理的な判断により答えを選択していることを忘れては
    いけまい。伝記を読んだ限りではなかなかの好人物だと思
    われたため贔屓目な感想ではあるが、本書には一読の価値
    がある。

全2件中 1 - 2件を表示

石黒忠悳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ウィリアム・ゴー...
有効な右矢印 無効な右矢印

懐旧九十年 (岩波文庫 青 161-1)はこんな本です

ツイートする