忘れられた日本人 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003316412

感想・レビュー・書評

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  • 昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き各地の民間伝承を調査した民俗学者・宮本常一が、村落の老人達のライフヒストリーを聞きまとめたもの。きつい農作業を少しでも楽しくするために工夫したことや、貧しい環境でも助け合って子どもを育てていた(どうしても食わせていけなくて養子にやることも多かった)ということを知り、今の暮らしは便利だが昔の生活方法に学ぶべきところも多いのではないかと感じた。そして環境が変わっただけで人間の本質は昔から変わらないのだと思った。特に興味深かったのは性について男も女もあけすけで、昔の村落では夜這いが普通に行われていたことだ。これは勿論子どもを授かるためであるが、仕事の合間の楽しみでもあった。『土佐源氏』で老人が語った昔の恋愛話はドラマチックだった。

  • 『草枕』の書き出しではないですが、所詮、この世は「智」と「情」の綱引き。論理性の世界と、因習・風習の世界が押しくらまんじゅうし続けている空間だと思うのです。

    この本で描かれているのは、そのうちの「情」の方、つまり、因習たら観衆たら風習たらが、濃ゆく濃ゆく濃ゆーく残っている世界。

    なもんで、読んでいると、「へー、昔の日本はそんなふうになってたんだ〜」と驚かされることも多いわけですが、同時に、現代社会に通じる要素を感じたりもします。

    で、結局思うのは、古今東西、どんな社会を取り出してみても、「智」だけで動いている社会、逆に「情」だけで動いている社会なんてものはなくて、二つの社会のあいだには、相対的な差しかないんじゃないかということ。

    アメリカと日本にしてもそう、日本の中の都会と地方にしてもそう。確かに、「智」と「情」の配分比は違っているけれど、それは絶対的な差ではなく、あくまで相対的な差に過ぎない、と。

    逆説的ですが、今とはずいぶん違う昔の日本の風俗を著したこの本を読みながら、そんな風なことを考えました。

  • 宮本常一が大好き。民俗学大好き。

  • 昔を伝承する民族学の良著。
    改めて昔を伝えることの大切さを感じた。
    はずかしながら、この本で 油を売る 語源を知る。

  • おおおー すごい本を読んだ。
    読書を満喫。

    日本残酷物語は読んだことがあって、そのときも多いに感銘したものだけど、そのあと読んでなかったのが悔やまれる。
    こんなに面白い本を書く人がいたんだ。

    話ができすぎている感がしないわけではなく、とくにそれが強い「土佐源氏」は捜索を疑われたとあとがきにもあるが、それもむべなるかと思う。

    これからもっと読もう。

  • 「後でよくよく考えてみよう」と思う箇所が多すぎて本がポストイットだらけになってしまった。この書を中心としてたくさんの興味が芽生えてくる……そんな本である。

    夜這いとか女のエロ話とかセックスにまつわる話がとかく面白いのです。それがいかにもあっけらかんとしていて、ちょっと羨ましくなります。
    「子供をさがす」~「私の祖父」までの章が好きだ。その中でも「土佐源氏」の話は特に、これからも何度も読み返すであろう自分にとって大切な物語の一つとなった。あとがきでも書かれているように、この書のいくつかのエピソードはそのまま文学作品でもある。

    田仕事やタイ漁を語るなかで自然と溢れでる仕事をする喜び
    神様や物の怪がごく普通にいて、狸や狐がいたずらする世界
    そしてまた、動物を人間と同じように扱えと子供に教える祖父の姿
    自分のことはなおざりでも村の幸せのために尽力してきた人々
    こうした翁たちが語る言葉の行間からは「忘れられた日本人」の姿が立ち昇ってくる。
    読んだ後でほっかりあったかい気持ちになる。そしてやっぱり、ちょっと羨ましくなるな

  • ネットでなんかおもしろい本無いか調べたら
    「読書家が勧めるおもしろい本」で挙げられていたので読んだ、
    最初は正直ちょっと難しい本に思えたけど、
    読み進めて行くと日本の表に出ない歴史みたいな感じで
    すごい面白かった。

    「神社」とか「仏閣」が好きで自分、宗教とかに興味あるのかなー
    って疑問に思ってたけど、この本読んで分かった。
    単純に民俗学が好きなだけだった。

    昔の人はテレビもネットも無い中何して遊んだんだろ?
    って思ってる人は読んだらおもしろいと思う。
    さらっと、エロいから注意。

  • 民俗学の研究者が日本を旅して見聞きしたことを書いた本。戦後間もない頃の日本の田舎の人達の生活や伝統・知恵などが書かれている。

  • 「読書力」おすすめリスト
    3.味のある人の話を聴く
    →読みやすくてしかも強烈。

    齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―24

    民俗学を代表する書籍であると同時に、聞き書きという表現形式をも代表する本。

  •  長年、日本の地方における民俗を、古老から丹念に聞きとって集めた傑作。
     昔から延々と語り継がれてきた話や、当時の一般の地方に住む人々の暮らしぶりや、語られてきた会話がリアルに描かれている。
     読んでみて、今の自分の性格や考え方が、この本で描かれている農村の人々から大いに影響を受けていることに気付かされた。
     時代は変わって、表面的な暮らしぶりは激変したけれど、人間の心の根底には、今も昔も変わらないものがあると感じた。
     
     

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著者プロフィール

民俗学者

「2019年 『宮本常一 伝書鳩のように』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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