手仕事の日本 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003316924

作品紹介・あらすじ

柳宗悦(一八八九‐一九六一)が、日本各地に残る美しい手仕事を紹介しながら手仕事がいかに大切なものであるかを訴え、日本がすばらしい手仕事の国であることへの認識を呼びかけたユニークな民芸案内書。秀逸な小間絵を多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 民芸運動の創始者として知られる柳宗悦が、日本全国を歩いて見いだした民芸品を紹介している。

    柳の民芸論は、彼の民芸運動と一体のものだった。本書の「解説」でも触れられているが、1940年におこなわれた柳田国男との対談の中で、事実を正確に報告することが民俗学の責務だという柳田の主張に対して、あるべき民芸の姿を積極的に提示し、それを推し進めてゆかなければならないと柳は主張した。こうした彼の姿勢は本書の中でもはっきりと示されている。彼は各地の民芸品が俗に流れてしまったことを嘆くとともに、確かな手仕事だけに現われる「健康の美」を取り戻すべきだという主張をくり返している。

    本書の中心は各地の民芸品を紹介した第2章だが、第3章には柳の思想がコンパクトにまとめられており、柳の民芸論へのかっこうの手引きとなっている。職人たちが作った民芸品は、いわゆる「美術作品」とは違い、作者個人の名が記されていない。それらの品物は、作者の名を知らしめるために作られたのではなく、実用を旨として作られたのである。柳の功績は、こうした民芸品がもつ「美」を見いだしたことだと言ってよいだろう。

    実用品は美術作品と比べて価値の低いものとみなされがちだ。ところが、それらの品物がもつ健康美が私たちの生活の中から失われてゆくにつれて、私たちの心はしだいにすさみ、日々の生活は潤いのないものに陥ってしまう。柳は、美術作品にそなわっているような「鑑賞」される「美」とは異なる、私たちの日々の暮らしを深いものにする「美」を見いだし、その価値を称揚したのである。

    芹沢銈介の手になる挿絵も味わい深い。

  • 日本の手仕事、民芸の日用品の持つ美を紹介した本。日本中(北海道を除く)の手仕事を20年もかけて実際に観て回り、紹介している。ちょうど「日本民藝館創設80周年記念 民藝の日本 ~柳宗悦と『手仕事の日本」を旅する~」が開催されていたため、本書で紹介されているモノをたくさん実際に見ることが出来た。
    挿絵も素晴らしいのだが、それでも紹介されているモノらが多く馴染もないことから、イメージが文章からだけでは理解しにくい点は残念。今回は展示会を観に行けたため実物を見て初めて理解したりもした。逆に元々知っていたものは、とても共感して読めた。自分の想像力不足によるものだが、やはり実際に観られるかどうかの影響は大きいと思う。特に、ダメなもの、ダメになったものが多く挙げられているが、その点が文章からは理解できない。
    しかし記録・紹介しておかなければ失われてしまい、伝えることのできなくなるものを記録して残そうとしている点は非常に評価できる。また芸術的でない実用品の美、用の美に気づき紹介している点も素晴らしいと思う。

  • 民芸品のミシュランガイドですね。

  • 実用的なものは、なぜ美しいのか。それは、実用的なものは健康的であり、健康的であるということは一番自然で、素直で、正常な状態であり、そのようなものに人は美しさを感じるからである。

  • 今、行きたい場所のベスト3に入っているのが駒場にある日本民藝館。

    その初代館長であった柳宗悦さんは、民藝運動の父として知られる方ですが、その柳さんがどんな活動をされていたのか、「民藝」とは何なのかを知りたいと思い、手にしたのがこの本、「手仕事の日本」です。

    続きはこちら⇒http://wanowa.jugem.jp/?eid=116#sequel

  • "この世にどんな美があろうとも、結局「正常な美」が最後の美であることを知らねばなりません。" 「用の美」って、こういうことなのだろう。
    読み終わってから巻末の地図に気がついた。地図を見ながら読み進めれば良かった。ほんとは一つ一つ写真があるといいんだけど。文章だけでは、何に似てるかすらわからない品もあるので。

  • 民芸運動を提唱した柳宗悦による戦前の日本各地で作られていた工芸や道具などを紹介した文集。民芸運動は日常的な暮らしの中で使われてきた無名の工人による民衆的工芸品の中に,真の美を見出し広く紹介した活動である。皆さんの出身地にはどんな手仕事があるのか,またここ栃木県は民芸運動と深い関わりをもつ益子焼があり,身の回りの手仕事に関心をもつ機会になればと思う。

    *推薦者(教教)S.M.
    *所蔵情報
    http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00095350&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • コラム集

  • 民藝が失われることはそれを使っていた生活(伝統)と、社会関係、それを生み出し使ってきた美意識、そして風土への感性を失うことだ。僕たちの課題は、民藝を芸術として鑑賞するのではなく、民藝を生み出した生活を学ぶことだ。そして新たな民藝を創り出すことであり、今ある民藝を支えることである。

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