倫敦!倫敦? (岩波文庫)

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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003317624

作品紹介・あらすじ

1910(明治43)年、『大阪朝日新聞』特派員として単身シベリア鉄道経由で渡欧した長谷川如是閑(1875‐1969)のロンドン紀行。如是閑は市内に下宿して、名所旧跡からミュージックホール・酒場まで、縦横に歩きまわり、確かな眼でイギリス社会を観察する。約1世紀を経た今日でも全く色あせない卓抜な文明批評。

感想・レビュー・書評

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  • 著者:長谷川如是閑(1875-1968)

    1910(明治43)年,『大阪朝日』特派員として,単身シベリア鉄道経由で渡欧した長谷川如是閑(1875-1968)のロンドン紀行.如是閑は市内に下宿して,名所旧跡からミュージックホール・酒場まで,縦横に歩き回り,確かな眼でイギリス社会を観察する.約一世紀を経た今日でも全く色あせない卓抜な文明批評.
    http://www.iwanami.co.jp/special/tabiyomi/foreign/london-fr.html

    【目次】
    「世界の真中」チャーリング・クロッス
    議論多きトラファルガー・スクェアー
    咄、ハイド・パーク
    清浄なるケンシントン・ガーデンス
    素朴なるケンシントン・パレース
    不人望のマーブル・アーチ
    倫敦ストーン
    ヴヰクトリア・エンバンクメント
    ビフテキを喰う人種
    妖しき塔橋
    倫敦一の贅沢屋町
    鉄道から見た倫敦
    英国政治の策源地
    古本屋町
    往来から見た倫敦
    聖ポールの大伽藍
    倫敦の鐘の声
    僕の幼馴染の倫敦
    車の色々
    実感挑発的倫敦
    上院瞥見
    不可解の下院
    ウエストミンスター寺院
    倫敦女房
    英皇崩御の翌朝
    英皇霊柩安置式
    大葬拝観
    女権拡張示威運動
    英国の工場村
    倫敦まで
    生駒にて
    帰路

    解説(小池滋)

  • 一般的な意味での歴史関係の本ではないけれど、当時の英国を日本人がいかに見ていたか知るには実によい本かと。如是閑の10年前にロンドンに滞在した漱石の日記などと併せて読みたい

  • 長谷川如是閑は昭和・戦後まで活躍した人ですが、明治期の人といふ印象が強いのであります。
    その明治末期に、大阪朝日新聞の特派員としてロンドンを訪れた時の記録でございます。
    同時代に英国留学をした人物としては夏目漱石が有名ですが、彼はロンドンに馴染めなかつたやうで、ノイローゼといふか神経衰弱といふか、どうやら心をやられてしまひ無念の帰国をするのでした。

    それに比して長谷川如是閑の活き活きとした様子はどうでありませうか。外国の情報などは、今とは比較にならぬほど乏しい時代なのに、大ロンドンでも気後れすることなく堂々としてゐるではありませんか。
    好奇心旺盛で、何にでも興味津々なジャアナリストの姿が浮かんできます。一応社命として派遣されてゐるのですが、義務感などはいささかも感じられず、嬉々としてロンドンの日々を過ごしてゐるやうです。
    そして、皮肉なユウモアや諧謔精神が全編を貫く。そもそも『倫敦!倫敦?』といふタイトルからしてさうであります。関係ありませんが、ロンドングループのTVCFを想起させますね。(楽しいロンドン、愉快なロンドン...)。

    ロンドンでの体験のみならず、日本から往復する様子も巻末に記されてゐます。(「倫敦まで」「生駒にて」「帰路」)。シベリア鉄道での往路ではロシア人やウラジオストックの町の独特な観察が披露され、帰路のシンガポールでは「月並の智識として落としてはならぬものが五つある」として、水上の家・ジョホール・植物園・ライスカレー・日本人遊郭を挙げてゐます。また香港では東洋の果てに来たのにいまだ英国の警察権を脱することが出来ぬとして忌々しいと語ります。
    深刻な筆致ではなく、やはり笑ひを誘う書き方なので読者の頬もゆるむのでした。

    まだ洋行がごく限られてゐた時代に、これほど上等のルポが残されてゐたのか、といふ嬉しい驚きを感じました。しかもロンドンに滞在してゐた期間は、どうやら半年にも満たないやうです。この短期間にかくも的確なる文明批評をものしたと知り、二度びつくりと申せませう。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-168.html

  •  1910年に大阪朝日新聞の記者として倫敦に滞在した日本を代表する社会思想家のひとり長谷川如是閑が、その習俗を余す事なくユーモラスに書き表した傑作。トラファルガー広場やハイド・パークのようなベタなものから女性参政権運動家の路上後進、国王が国葬される様子まで、ほんの数ヶ月の滞在とは思えないほどの充実振りだ。

     そして如是閑一流の文化評論も秀逸。嫌み無く英国文化と日本文化を対比させながら、ただあるものを見て、それに感ずることを書く。シンプルだが、筆力に自信がなければとても人様にお見せできるものはおぼつかない、誤魔化しのきかぬジャーナリズムの王道である。実際にその文章の写実性と英国気質への造詣の深さ、なによりユーモアの効いた着想の鋭さといったら素晴らしい。長谷川如是閑の名に恥じない、現代でも読むに足る英国文化評論として仕上がっている。

  • 本書を手にロンドンを歩けば、どんな観光案内書にも期待できない旅を楽しめること請け合いである。

  • ジャーナリスト志願の向きは絶対に読むべき。国王の葬列の様子を隈なく視て記す筆は兎に角圧巻。

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