原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈上〉 (岩波文庫)

制作 : 長田 新 
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003317716

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  • (2016.08.09読了)(2015.07.10購入)(2005.05.24・第9刷)
    副題「広島の少年少女のうったえ」
    8月は、原爆記念日や、敗戦記念日があるので、日中戦争(支那事変)、大東亜戦争(太平洋戦争)に関する本を何冊か読むことにしています。
    この本は、1945年8月6日8時15分に広島に投下された原子爆弾を体験した子どもたちに、6年後に書いてもらった手記を集めたものです。
    初版は、1951年11月に刊行されています。
    上巻には、当時4歳から9歳だった子どもたちの作品が収録されています。
    体験してから6年後に書いてもらったものですが、凄まじい体験が書かれています。爆風で多くの家屋が倒壊したこと、ガラスが砕けて人に突き刺さったり、倒壊した建物で助けを呼んでいる人がいるけど火災が発生して火の手が迫っているために見捨てて逃げざるをえなかったり、熱射を浴びた人たちは原子病を発症して次々と亡くなってゆきます。
    手記を綴った子供たちの多くは、父母や兄弟を亡くしています。
    東日本大震災の手記にも、同様なものがありますが、戦争は人災なのです。とはいえ、どうやったら防げるのかは、まだわかっていません。
    なお、長崎の被爆者の手記には、以下のものがあります。
    「原子雲の下に生きて」永井隆編、アルバ文庫、1995.08.25
    「私たちは長崎にいた 原爆生存者の叫び」永井隆編、アルバ文庫、1997.02.20

    【目次】
    序  1951年8月6日 長田新
    原爆の子(上)
    Ⅰ 小学校四年、小学校五年、小学校六年の手記
    Ⅱ 中学校一年、中学校二年、中学校三年の手記

    ●市立第一高女(56頁)
    「たてものそかいのあとかたづけにいった市立第一高女の生徒六百名のうち、五百九十三名が死んで、あとの七名が生き残ったそうである。その七名の人たちも、一週間ほどしてみんな死んでしまい、いんそつしていた先生も、みんな生徒といっしょになくなられたそうだ。」
    ●皆死んで(91頁)
    六日の夜、兄ちゃんが帰らないので、お父さんお母さんと私たちは、夜おそくまで、こわいこわい町をさがしました。火がもえています。くさいにおいがします。青い火の玉が、ゆらゆら動いています。世の中の人は皆死んでしまって、私たちばかり生きているような、さみしいおそろしい気がしました。それからというものは、私は外に出るのがきらいになりました。
    ●原子病(93頁)
    今から半年前に、十になる女の子が急に原子病にかかって、あたまのかみの毛がすっかりぬけて、ぼうずあたまになってしまい、日赤の先生がひっ死になって手当てをしましたが、血をはいて二十日ほどで、とうとう死んでしまいました。
    ●父母のこと(137頁)
    ぼくは、遠い天国にいってしまった父母のことは、あきらめてしまいました……。「だれでも大きくなれば、父母はいなくなるのであって、ただぼくのは、早く父母をうしなったというだけである」とぼくはいつでも思っている。
    ●お骨(162頁)
    広島郵便局の人は全部死んで、ただ一人だけ残られたそうです。その人がお骨を集めて、粉にひいて、広島郵便局で働いていた者の家に、少しずつ分けられました。
    ●茶色の斑点(229頁)
    お母さんは、幟町で家の下じきになり、胸の骨を四本もおっていたのに、どんどんと手続きをされた。そのためか、体の中に毒が入っているため、亡くなる三、四日前には、体のどことなしに、直径0.5センチメートルから1センチメートルぐらいの茶色のはん点が出てきて、また耳が聞えなくなって、それから二日ぐらいして、九月九日、とうとうあの世の人となってしまわれたのだった。それから数日して、私のすぐ下の妹がやはりお母さんと同じようになって亡くなり、九月の上旬になって、その次の妹も亡くなってしまった。
    ●平和(249頁)
    「平和を守るには、なぜあの恐ろしい原子爆弾がいるのか」

    ☆関連図書(既読)
    「もはや高地なし」ニーベル・ベイリー著、カッパブックス、1960.10.15
    「ヒロシマ・ノート」大江健三郎著、岩波新書、1965.06.21
    「ヒロシマ日記」蜂谷道彦著、法政大学出版局、1975.06.30
    「空白の天気図」柳田邦男著、新潮文庫、1981.07.25
    「ひとりひとりの戦争・広島」北畠宏泰編、岩波新書、1984.08.20
    「新版1945年8月6日」伊東壮著、岩波ジュニア新書、1989.05.22
    「原爆投下は予告されていた」古川愛哲著、講談社、2011.07.27
    「黒い雨」井伏鱒二著、新潮文庫、1970.06.25
    「夏の花・心願の国」原民喜著、新潮文庫、1973.07.30
    「父と暮らせば」井上ひさし著、新潮文庫、2001.02.01
    「はだしのゲン(1)」中沢啓治著、汐文社、1984.02.01
    「夕凪の街 桜の国」こうの史代著、双葉文庫、2008.04.20
    (2016年8月12日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    1945年8月、広島・長崎に投下された原爆による災害は、史上かつてない惨事として、45年たった今日もなお深い爪あとをのこしている。自らも広島で被爆した編者が平和教育のために編集した広島の少年少女達の原爆体験記は、エスペラントをはじめ10数か国語に翻訳され、全世界に感銘をよんだ。希有の記録。

  • 呉などを舞台とした作品です。

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