原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈下〉 (岩波文庫)

制作 : 長田 新 
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003317723

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  • (2016.08.18読了)(2015.07.10購入)(2005.05.24・第9刷)
    副題「広島の少年少女のうったえ」
    この本は、1945年8月6日8時15分に広島に投下された原子爆弾を体験した子どもたちに、6年後に書いてもらった手記を集めたものです。
    初版は、1951年11月に刊行されています。
    下巻には、当時小学校四年生から中学生だった人たちの手記が収録されています。書いたときには、高校生か短大生、大学生ですので、上巻よりは長くて内容も深いものが多いかと思います。
    原子爆弾による被害の状況は、この本に余すことなく記録されていると思われます。原子爆弾の被害に関心をお持ちの方にお勧めです。

    【目次】
    原爆の子(下)
    Ⅲ 高等学校一年、高等学校二年、高等学校三年の手記
    Ⅳ 女子短期大学学生、高等学校三年、新制大学学生、旧制大学学生の手記
    あとがき
    解説  沖原豊
    地図

    ●水槽に(57頁)
    焼け跡には、ただ大きな水槽と風呂釜が残っていただけであった。叔父たちは、盛んに土を掘り下げて、死骸を探したが、一向に見つからなかった。
    どうも水槽が気になるので、改めて探してみると、意外にも五男の兄(当時県立工業二年)の変わり果てた姿が見つかった。
    ●肥料に(88頁)
    つい先頃までは、人間の死骸があちこちに転がっていて、百姓さんが肥料にと車に積んで帰られたということです。
    ●死んでいく(100頁)
    私の寝ている周りには、傷口が腐り、蛆虫の湧いたもの、火傷の治療で医師がガーゼをはぐたびに泣きわめく六つぐらいの子供がいた。それらの人々が毎日一人二人と死んでいくと、また新しい患者が入り、それがまた死んでいった。夜になると病院の庭で、それらの死体を焼いていた。その死体を焼く臭いが風に乗って、病室の中まで、におってきた。
    ●血の塊りか(105頁)
    見ているうちに、口から大きな魚のはらわたほどもある、血の塊りか、肉の切れ端か、何か分からないものを吐き出した。
    そして間もなく息を引き取った。その時兄の髪の毛は一本もなく、つるつる坊主であった。
    ●助けを呼ぶ声(181頁)
    ある人は家族を燃え上がる家の中に残したまま、ある人は隣近所の崩れた家の下から助けを呼ぶ声を後にして、どうすることもできない悲しさを胸の中に包んで去っていった。
    ●広島人(195頁)
    おそらく広島人は、原爆により一層奮起して「米英撃滅」を唱え「日本必勝」を願ったであろう。それなのに政府が先に悲鳴を上げてしまったのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「原爆の子(上)」長田新編、岩波文庫、1990.06.18
    「もはや高地なし」ニーベル・ベイリー著、カッパブックス、1960.10.15
    「ヒロシマ・ノート」大江健三郎著、岩波新書、1965.06.21
    「ヒロシマ日記」蜂谷道彦著、法政大学出版局、1975.06.30
    「空白の天気図」柳田邦男著、新潮文庫、1981.07.25
    「ひとりひとりの戦争・広島」北畠宏泰編、岩波新書、1984.08.20
    「新版1945年8月6日」伊東壮著、岩波ジュニア新書、1989.05.22
    「原爆投下は予告されていた」古川愛哲著、講談社、2011.07.27
    「黒い雨」井伏鱒二著、新潮文庫、1970.06.25
    「夏の花・心願の国」原民喜著、新潮文庫、1973.07.30
    「父と暮らせば」井上ひさし著、新潮文庫、2001.02.01
    「はだしのゲン(1)」中沢啓治著、汐文社、1984.02.01
    「夕凪の街 桜の国」こうの史代著、双葉文庫、2008.04.20
    (2016年8月31日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    1945年8月、広島・長崎に投下された原爆による災害は、史上かつてない惨事として、45年たった今日もなお深い爪あとをのことしている。自らも広島で被爆した編者が平和教育のために編集した広島の少年少女達の真率な原爆体験記は、エスペラントをはじめ十数カ国語に翻訳され、全世界に感銘をよんだ。希有の記録。

  • 呉などを舞台とした作品です。

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