コスモスとアンチコスモス 東洋哲学のために (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2019年5月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (508ページ) / ISBN・EAN: 9784003318553

作品紹介・あらすじ

東洋思想の諸伝統に共通する根源的思惟の元型を探り,東洋哲学の可能性を探求する.イスラーム,禅仏教,老荘思想,華厳経を時間論,存在論,意識論として読み解く.末尾に司馬遼太郎との生前最後の対談を併載(解説=河合俊雄).

みんなの感想まとめ

東洋思想の根源的な思惟を探求する本書は、さまざまな哲学的視点からの論考を通じて、存在論や意識論、時間論を深く掘り下げています。特に「事事無礙・理理無礙」という概念を解説する部分は、大乗仏教の教えを心理...

感想・レビュー・書評

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  • 5つの論考があるが、河合隼雄さんが影響を受けたという「事事無礙・理理無礙」1985の論考が読みたかったので購入。
    「宇宙の万物すべてのものは、別け隔てがなく同一であり、すべてが縁という関係性があるだけである。だから、自分は!自分は!と自己顕示せず、ギスギスとんがらずに自然体で生きよ」(これは私の拡大解釈です)という大乗仏教(華厳の教え)を解説している。いかにも心理学に応用できそうな教えである。

    この「事事無礙・理理無礙」の論考は、1980年のエラノス会議の11回目の「存在論的な事象の連鎖――仏教の存在観」の増補版
    「禅的意識のフィールド構造」の論考は1978年のエラノス会議の9回目で発表した論考の増補版となっている。

    4つ目の論考の「イスマイル派暗殺団」は哲学的な話ではなく、シーア派の過激な一派の歴史のような内容、日本の「太平記」のような戦記物を読んでいるようで面白い、シーア派は南朝でスンニ派が北朝のように思えてくる。だが、この論考をこの本に入れた井筒さんの意図がよくわからない、この論考だけ異質で変だ。興味本位な読者を満足させる意図があったのかもしれない。
    先見の明として、アメリカの同時多発テロの根源がここにあるという話なのかなと思って調べたら、アルカイダはシーア派ではなくスンニ派らしくて、繋がらないのだ。(タリバンもISもスンニ派)。GoogleのAI検索で「イスマイル派とアルカイダの関係性」と調べても「関係ない」と出る。この4つ目の論考を載せた井筒さんの趣旨に解説者は興味を持って欲しかった。

    この本は岩波文庫の井筒シリーズ「青の185」の最後の5巻目。1989年に出版された同名の単行本を文庫本にしたもの、司馬遼太郎との対談と河合俊雄さんの解説が追加されている。
    司馬遼太郎との対談は「井筒俊彦著作集 別巻 対談鼎談集・著作目録 」1992にも掲載されている。

  • イスマイル派の思想的展開など読んでるときはエキサイティングなんだけど、やっぱり本を閉じるとわからなくなる。
    一つだけメモ。
    暗殺派の頭領が若者をハシシュ中毒にしてテロリストに仕立て上げるという例の話は、19世紀のオーストリアの東洋学者ハンマー=プルクスタルが、アラビアの歴史小説『イマーム・ハーキム伝』を信じて『暗殺団史』を書き、それが大変ポピュラーになったからだという。(p315)
    なんだか残念。暗殺派の話をはじめて読んだのはなんだったけ。ボルヘスだったかな。

  • 暗殺教団、むちゃくちゃやん。イスラム教徒なのにコーラン否定して、穏健派のスンニ派を攻撃して、メッカを襲撃するてどういうこと。神をイマームと同化したことで別ルールが生まれたのかな、とおもったけど教団指導者がついにイマーム名のってる…。もはや何でもあり。
    暗殺教団はイスラム教のなかでもシーア派にあたり、シーア派のなかでもイスマイル派にあたり、イスマイル派のなかでもニザール派にあたる。ここまで傍流だとイスラムとは別宗教にも見える。そもそも初期キリスト教はユダヤ教の変種だったわけで、イスラムの神とも区別はないわけで、宗教の差異とは神へのアクセス方法の違いにすぎないのだろう。
    神話と教義の出どころの順番について、井筒先生は暗殺教団においては逆だったという。想像するにムハンマドの神秘体験があり、次いでコーランがあり、そしてイスラム法があるという順番は妥当である。もしこれが反対の順序をたどったら…それこそ新たな世界秩序の創造と既存の秩序への挑戦である。暗殺教団の行動原理の一端をかいま見た。

  • p26 東洋的哲人の場合、〜一度外した枠をまたはめ直して見る〜

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著者プロフィール

1914年東京・四ツ谷生まれ。1937年慶應義塾大学英語英文学科卒業、同大学文学部助手。1941年『アラビア思想史』、49年『神秘哲学』。1959年から2年間にわたって中近東・欧米でイスラーム研究に従事。1961年マギル大学客員教授、69年同大学イスラーム学研究所テヘラン支部教授、75年イラン王立研究所教授。
1979年イラン革命激化のためテヘランから日本に帰国。『意識と本質』(1980-82年)、『意味の深みへ』(1985年)、『コスモスとアンチコスモス』(1989年)、『超越のことば』(1991年)、絶筆『意識の形而上学』(1993年)など代表著作を発表。1993年北鎌倉の自宅にて逝去(78歳)。

「2016年 『井筒俊彦全集 別巻(講演音声CD付き)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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