フランス・ルネサンスの人々 (岩波文庫)

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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003318812

作品紹介・あらすじ

フランス・ルネサンス(16世紀)は人間の解放とともに暗澹たる宗教戦争を経なければならなかった。著者は、激動期を苦悩しつつ生きた、地位も職業も異なる12人の生涯をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • フランス・ルネサンスと関わりの深い12人の略伝集。古典学者ギョーム・ビュデ、アンリ4世、カルヴァン、イグナティウス・デ・ロヨラなど有名な人々の略伝も含まれる。特にビュデは、ソルボンヌに代わる学術機関として、現在のコレージュ・ド・フランスに連なる王立教授団の設立に奔走したという点で、フランス・ユマニスムを論じる本書にとって欠かせない存在になっている。他方政治史的には、新教と旧教の分裂、ユグノー戦争によるフランスの戦乱など、宗教的理念の対立が時代の軸になっている。そこで本書では、このような宗教対立の時代に宗教一般を軽視するかのごとき思想の持ち主たちにもスポットライトが当てられ、それがサン・バルテルミーの虐殺のような悲劇を生じさせる考え方といかに違っているかが力説される。それだけに、ジュネーヴで神権政治を敷いたカルヴァンに対する著者の評価は、厳しいものがあるように思われる。

  • ミシェル・ド・ロピタルについて、もっとよく知りたくなった。

  • カバーから:フランス・ルネサンス(16世紀)は人間の解放とともに暗澹たる宗教戦争を経なければならなかった。著者は激動期を苦悩しつつ生きた、地位も職業も異なる12人の生涯をたどる。

  • 大江健三郎氏の本の随筆のなかに、よく登場されていた渡辺一夫氏の本。本といっても、物語ではなく、このタイトルにある時代の人々を追跡した、というもの。中世のヨーロッパのことなど、日本で習うことははとんどない。
    これを読んで、宗教を持つ難しさ、エラスムスにいたく感動したのは確かです。
    私は、これを書くことにした渡辺一夫氏に、さらに感動しました。
    研究者なら皆同じことをしたとは思えないです。
    本当は、渡辺一夫氏の本をもっと読みたかったのですが、小説家ではないため、少なく、残念です。
    人柄をしみじみと感じながら読むに至り、愛読書となってしまったのです。

  • 20110107
    大江健三郎氏の先生の本。
    たまたま金子晴勇『宗教改革の精神』(講談社学術文庫)という本を以前に古本屋で手に入れて読んでいた。その本で扱われる中心人物としてエラスムスとルターがあり、世界史の時間にしか名前をきいたことのなかったそのエラスムスの話を友人としたときに、彼がこの本『フランス・ルネサンスの人々』を紹介してくれた。彼から著者の名前を聞いて、ああそれは大江健三郎氏の先生だ、ぜひ読みたい。読みたいなら貸してあげるよ、ということで、その日以来、少しずつ、一人一章の人物伝を読みはじめた。
    この本との個人的な出会いをレビューに書いても仕方ないけれども、友人も含めたぼくの尊敬する人物のつながりのうちにこの書物を手に取ることになったことの意味は、ぼくの中で大きい。

    本書中に何回も引かれる「それはキリストと何の関係があるのか」ということば。
    このことばは、静かで、小さな、諭すような声。

    宗教改革のダイナミックな面にだけ注目するなら、「それはキリストと何の関係があるのか」ということばは声を大にした叫びに思えるかもしれないが、著者がぼくに伝えてくれたのは、新教と旧教の過激さを増す対立の中で、また新教の内部での粛正のうちに聞こえた、そして多くは無視された忍耐強い諭しである。「それはキリストと何の関係があるのか」。

    最終章で取り上げられる人物セバスチャン・カステリヨンの言葉の引用が心に沁みる。

    「どこかの誰かが、これから何かを学びとり、私が真実を述べたということを認めてくれるだろうと念願いたします。そうなった場合、その人が、たとえ一人きりでありましょうとも、私が無駄骨を折らなかったということになりましょう。」

    ぼくもその「どこかの誰か」かもしれない。たとえぼくのような末端の、とくに何の力も持たない者でありましょうとも。

    小さい声であろうと、実をすぐには結べなかろうと、「それはキリストと何の関係があるのか」という反省を促すことばが確かに伝えられてきたことは尊いと思います。

  • フランス・ルネッサンス期を生きた人々の群像。フランスのルネッサンス期を知るための入門書。平易な語り口で説くユマニスムの世界。

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著者プロフィール

フランス文学者。1901年、東京生まれ。1925年、東京帝国大学文学部仏文科卒業。東京高等学校(旧制)教授を経て、48年、東京大学教授、62年、同大学名誉教授。文学博士。1975年、逝去。主な著作に『フランソワ・ラブレー研究序説』『フランス・ユマニスムの成立』『フランス・ルネサンスの人々』『戦国明暗二人妃』『世間噺・戦国の公妃』『世間噺・後宮異聞』など、おもな翻訳書にエラスムス『痴愚神礼讃』、ラブレー『ガルガンチュワとパンタグリュエル物語』など。



「2019年 『ヒューマニズム考 人間であること』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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