老子 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 蜂屋 邦夫 
  • 岩波書店
4.06
  • (46)
  • (32)
  • (30)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 456
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003320518

作品紹介・あらすじ

熾烈な戦国時代を生き抜く処世の知恵であり一種の統治理論であるが、同時に、世の中と人間についての深い洞察力によって、人生の教科書ともいうべき普遍性を持っている。ここで説かれる平和的で、自足、素朴なあり方は、時代を超えて人々の心に訴えかける。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • これは世界最古の「働きたくないでござる」もとい「何かをなすとは、何もなさぬことである」といった逆説を多用することによって、論語が薦める義務的生き方とは正反対の何者にも捕われない生き方を提示する。しかし老子の言葉が心地良くても、これを実践するにはかなり骨が折れることに。それは現代がせせこましく何かの役に立つことを強いようとする余裕のない社会であるのが理由の一つだけど、何より問題なのは、老子の思想が何者にも捕われないということはつまり、ここにある老子の言葉にも捕われてはいけないということを意味しているからだ。ここに収められた81章に続く82個目の言葉を日々の生活から紡ごうとすること、それが老子の思想に触れるということなんだと思う。

  • 1993年に出土した最古の書を踏まえた最新の老子。

    講談社学術文庫の金谷先生の訳とこちらを読んだが、
    金谷先生の方は内容に対する解説が有り解りやすく、
    こちらは訳に対する解説が有り学術的で、
    春秋戦国時代の原本の内容を加味しているので、
    老子という書の本来の姿はこちらの方が近いと思われる。

    始めて読む人はあちらを読んで内容を把握し、
    二回目以降はこちらというのが良いのでは無いだろうか。

  • 最近、論語に関する本が流行ってるみたいだけど、今の人たちはむしろこっちを読んだほうがいいんじゃないかな?

    論語との違いから老子の思想を説明すると、論語の根底にある考え方は用をなすのは表象のみという考え方なのに対して、老子は無ということの役割を説いている。論語がソリッドなのに対して、老子はダイナミック。

    現代人の悩む所の根底には、満たされることを渇望しながら、いくら消費行動に走っても満たされない事にある、と僕は考えている。だからこそ、無、もしくは虚の積極的役割を説いた老子こそ読まれるべきなんだ。

    『―故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり。』

  • 孔子とはまた違った老子の教えは非常に柔らかい印象を受ける。だからといって弱いわけではなく道は険しい。ルソーに通じるものがあると思う。ルソーは老子を知っていたのかな? と思ったりもする。足るを知りつつ素朴に生きる感じとか。直感的に人が感じる理想はある程度共通するのではないかなと思った。ひとつひとつの章はとても短いので手の届くところにおいておいて時折読み返すといいと思う。

  • 2015.8.24あとがきにもあるが、最も人類の歴史上よまれた書物として、西では聖書、東では論語だろうとし、では東における二番目は?この老子である。古代中国における三代宗教、儒教、仏教、そして道教とあり、その道教の発端となる老荘思想を知ることのできる古典である。中心的な考え方としては、天地自然の観察から導き出された自然主義的な世界観と、無私無欲で無為の勧めとがあるように思う。万物は二元論的に構成されていて、他方を求めると別の極が現れる。急がば回れ、最も弱い赤ちゃんこそ最強、便利になるほど不便を感じ、豊かになるほど貧しくなり、ルールで縛るほどルール違反が増える。これらは幸福、不幸にも言えることであり、求めるほどに近づくほどに離れてしまうのが自然なわけだから、より弱く、より低く、より不幸になるほうが、より強く、より高く、より幸福になる。幸福の源泉は不幸であり、また不幸の源泉も幸福である。そしてそのように求めない生き方のためには、無私無欲で余計なことはしない、無為の姿勢が大切である。ルソーの自然主義的な考え方、すべては人間の手により悪くなるという考え方に近い気がした。矛盾の教えというか。欲するということは持ってないということであり、つまり手に入れるためには欲してはいけないわけである。自分にはなにもなく、自分はなにもいらなく、自分は全く取るにならない存在だと思えば、何でも手に入るという矛盾がある。理論的には納得しがたいというか正直よくわかんないところもあるけど、ひとつの世界の解釈としてはありだとも思った。実際生きててそのような矛盾を感じることはある。プロの技ほど簡単にやってるように見えるとか、人に与えるほどに自分が満ち足りるとか、忘れようとするほどに思い出すとかね。まさに無為が必要だと思う。人生のあらゆる選択の際にどの道を選ぶかという時に、一見正しそうな選択をする前に、このような思想を基に選択の考えることには価値があるように思えた。反対の選択が価値ありの時と、前にも後ろにも行かずなにもしないことがよしとする時と、二つあるのかもしれない。例えば、敢えて苦しい困難な道を選ぶことが幸福への最短距離、人に愛されたい時は先に愛するとか、人望を集めるには謙虚にへりくだるとか、急がば回れ的な選択もあるし、悩みを解決するには考えることをやめるとか、忘れようとして思い出すってときは全く気にしないことが最善ということもある。無欲に無為に生きること、反対の道を歩くか、そもそも歩くことを止めるかという選択の勧めを知ることのできた本。もうちょっと他の本も読んで理解を深めたい。

  • NHK教育「100分de名著」に触発されて「老子」を読了。いくつか訳者による版があるのですが、せっかくなので番組にコメンテーターとして出演している蜂屋邦夫氏が訳した岩波文庫版にしました。
    「無為自然」をテーマとし、有名な言葉に「上善は水の如し」「柔よく剛を制す」「天網恢恢疎にして漏らさず」「千里の道も一歩から」といったものがある一方、「之を縮んと欲すれば必ずしばらく之を張れ」「大国は下流なり」といったはかりごとの章もあって意外に曲者。ただ、全体のトーンを意識しながら読むと、「無為自然でいるのが一番だし、あくまでそこを目指すべきなんだけど、それだけじゃどうにもならないだろうから、ね」という老子の声が聞こえてくるような気がしないでもない。
    個人的にはやはりというか「上善は水の如し」の一説が気に入った。
    ちなみに、書の中で「『礼』とか形式ばったことを言ってるから本質が見えないんだ」というような儒教批判がいくらかありますが、当の儒家からは「『小国寡民』とか隠遁者のネガティブ思考。現実的じゃないし卑屈」という批判を返されていたそうな。どれが正しいかはさておき、考え方は色々知っておくに越したことは無いでしょう。

  • 老子(『老子道徳経』)の思想を解説付きで記した本。

    非常に難しくほとんど理解出来なかった。

    「道」(自然の摂理・ありとあらゆるものを動かす原理原則)に沿うように人生を送ったり、政治をすべきだというのが思想の要点。

    儒教でいうところの中庸とかなり似た箇所(第四十四章等)が見受けられたが、解説を読む限りだとその思想内容はかなり異なるらしい。

    内容が難しく、自分とは合わないだろうと感じたものの、その文言はとても素朴で穏やかな印象を受けた。


    特に印象的だったのは以下の三つ

    第十章
    「恩沢を施しても見返りは求めず、成長させても支配はしない。これを奥深い徳というのだ。」

    第三十章
    「成し遂げても功を誇ってはならず、成し遂げても高慢になってはならない。」

    第四十四
    「何かを得ることと失うこととは、どちらが苦しみであろうか。(略)満足することを知っていれば辱しめは受けず、止まることを知っていれば危険を免れられ、いつまでも長らえられる。」

  • NHKの100分で名著の出演者が、書き下し、現代語訳にした本である。現代語は非常に読みやすい。また注も非常に丁寧に書かれてあるので、これで漢文の勉強をするということが高校生もできると思われる。ひとつひとつの解説がないが、それは注をみることで解説代わりになると思えなくもない。

  • 支那の古典や志怪物を読むために避けて通れないのが「老荘思想」。特に今では現世利益の象徴となった道教では老子は神様ですからね。それに、とっつきは悪いかも知れませんが読んでみると案外哲学的ですらあります。現代の宇宙論でビッグバンが唱えられて久しいですが、まず大極が有り陰と陽に分かれ................ってまさにビッグバンじゃないですか。物質と反物質の鬩ぎ合いも同様。アインシュタインが物理学を突き詰めると宗教になると言った事も理解できます。何でいまの支那があそこまで落ちぶれたか?と考えるとマルクスレーニンと毛沢東なんでしょうね。露西亜は共産党を捨ててツァーリ抜きでやり直して正解です。日本を恨むより満達子の西大后を罵るべきでしょうな。

  • 道理をみきわめ、そこから外れないことが大事、という思想。道理として扱う範囲は、自然だったり、人間だったり、組織であったり。

    道理を探す。そこにあわせる。
    これにより、無理なく最小の努力で効果を出す。
    と理解した。


    論語は、とにかく、政治を対象として、理想を過去に求める。この理想のすばらしい政治が道であり、そのために、勉強して、知識と道徳を身につけ、思いやりと勇気を持って実行する。という思想と理解した

全46件中 1 - 10件を表示

老子 (岩波文庫)のその他の作品

老子 (岩波文庫) Kindle版 老子 (岩波文庫) 老子

老子の作品

老子 (岩波文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする