老子 (岩波文庫 青 205-1)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003320518

作品紹介・あらすじ

熾烈な戦国時代を生き抜く処世の知恵であり一種の統治理論であるが、同時に、世の中と人間についての深い洞察力によって、人生の教科書ともいうべき普遍性を持っている。ここで説かれる平和的で、自足、素朴なあり方は、時代を超えて人々の心に訴えかける。

感想・レビュー・書評

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  • かなり読みやすい本だった。
    しかし、この本に書かれていることを実行に移すのはかなり難しい。というか、無理。
    老子は、理想が強すぎると感じた。

    気に入った文
    第一章
    第三十三章
    他人のことが分かる者は智者であり、自分のことが分かる者は明者である。・・・自分のいるべき場所を失わない者は長続きし、死んでも、滅びることのない道のままに生きた者は長寿である。p.156

    老子のいう、『道』というものについて考え、自分なりの答えを出したいと思った。

  • NHK教育「100分de名著」に触発されて「老子」を読了。いくつか訳者による版があるのですが、せっかくなので番組にコメンテーターとして出演している蜂屋邦夫氏が訳した岩波文庫版にしました。
    「無為自然」をテーマとし、有名な言葉に「上善は水の如し」「柔よく剛を制す」「天網恢恢疎にして漏らさず」「千里の道も一歩から」といったものがある一方、「之を縮んと欲すれば必ずしばらく之を張れ」「大国は下流なり」といったはかりごとの章もあって意外に曲者。ただ、全体のトーンを意識しながら読むと、「無為自然でいるのが一番だし、あくまでそこを目指すべきなんだけど、それだけじゃどうにもならないだろうから、ね」という老子の声が聞こえてくるような気がしないでもない。
    個人的にはやはりというか「上善は水の如し」の一説が気に入った。
    ちなみに、書の中で「『礼』とか形式ばったことを言ってるから本質が見えないんだ」というような儒教批判がいくらかありますが、当の儒家からは「『小国寡民』とか隠遁者のネガティブ思考。現実的じゃないし卑屈」という批判を返されていたそうな。どれが正しいかはさておき、考え方は色々知っておくに越したことは無いでしょう。

  • これは世界最古の「働きたくないでござる」もとい「何かをなすとは、何もなさぬことである」といった逆説を多用することによって、論語が薦める義務的生き方とは正反対の何者にも捕われない生き方を提示する。しかし老子の言葉が心地良くても、これを実践するにはかなり骨が折れることに。それは現代がせせこましく何かの役に立つことを強いようとする余裕のない社会であるのが理由の一つだけど、何より問題なのは、老子の思想が何者にも捕われないということはつまり、ここにある老子の言葉にも捕われてはいけないということを意味しているからだ。ここに収められた81章に続く82個目の言葉を日々の生活から紡ごうとすること、それが老子の思想に触れるということなんだと思う。

  • 稀に見る訳注の丁寧な中国古典の書籍。あとがきを含めて453ページの厚みになったのは、その注釈の丁寧さにある。解説に、楚簡『老子』と帛書『老子』の比較についての言及もある。

  • 道理をみきわめ、そこから外れないことが大事、という思想。道理として扱う範囲は、自然だったり、人間だったり、組織であったり。

    道理を探す。そこにあわせる。
    これにより、無理なく最小の努力で効果を出す。
    と理解した。


    論語は、とにかく、政治を対象として、理想を過去に求める。この理想のすばらしい政治が道であり、そのために、勉強して、知識と道徳を身につけ、思いやりと勇気を持って実行する。という思想と理解した

  • 1993年に出土した最古の書を踏まえた最新の老子。

    講談社学術文庫の金谷先生の訳とこちらを読んだが、
    金谷先生の方は内容に対する解説が有り解りやすく、
    こちらは訳に対する解説が有り学術的で、
    春秋戦国時代の原本の内容を加味しているので、
    老子という書の本来の姿はこちらの方が近いと思われる。

    始めて読む人はあちらを読んで内容を把握し、
    二回目以降はこちらというのが良いのでは無いだろうか。

  • 最近、論語に関する本が流行ってるみたいだけど、今の人たちはむしろこっちを読んだほうがいいんじゃないかな?

    論語との違いから老子の思想を説明すると、論語の根底にある考え方は用をなすのは表象のみという考え方なのに対して、老子は無ということの役割を説いている。論語がソリッドなのに対して、老子はダイナミック。

    現代人の悩む所の根底には、満たされることを渇望しながら、いくら消費行動に走っても満たされない事にある、と僕は考えている。だからこそ、無、もしくは虚の積極的役割を説いた老子こそ読まれるべきなんだ。

    『―故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり。』

  • まずは、現代語訳のみ挑戦。
    一国を治めるには…のような内容だったり、難しい内容も多かったけど、第八章はすんなりと自分に響いた気がする。

    第八章
    最上の善なるあり方は水のようなものだ。水は、あらゆる物に恵みを与えながら、 争うことがなく、誰もがみな厭だと思う低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。 身の置きどころは低いところがよく、心の持ち方は静かで深いのがよく、人とのつき合い方は思いやりを持つのがよく、言葉は信であるのがよく、政治はよく治まるのがよく、ものごとは成りゆきに任せるのがよく、行動は時宜にかなっているのがよい。
    そもそも争わないから、だから尤められることもない。

    上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず、 衆人の悪む所に処る、故に道に幾し。

  • NHKラジオの『#絶望名言』で頭木さんのお話を聞いてから『老子』を読み返している。

    なにも為さないということを為し、なにも事がないということを事とし、なにも味がないということを味とする。

    何かを成し遂げなくても生きていていいんだと、今の僕を励ましてくれる言葉
    #読了 #君羅文庫

  • 訳も分かりやすく原文も載っているので満足。いろいろな解説本があると思うけど、原文を読んで自分なりの解釈なり考えなりに耽りたい。

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老子の作品

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