新訂 孫子 (岩波文庫)

制作 : 金谷 治 
  • 岩波書店
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レビュー : 177
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003320716

感想・レビュー・書評

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  • 孫子の兵法は有名だが、じっくり読んだことはなかったため今回読破。兵站や地の利、兵士の士気に関することなど細かく述べられており、地理や人間心理について深い洞察力が伺える。長く語り継がれるだけのことはある。

    特に「できれば戦争しないことが良い」という思想には大いに共感できる。著者も述べている通り、戦争には莫大な労力と時間、そして金がかかる。特に城攻めなどは被害も大きい。長引けば長引くほど双方にとって益がないのが戦争である。できれば戦わずして敵を降すことが最上である。春秋時代には弁舌をもって利を解き、敵を従属させた弁士がいた。楚漢戦争でもそのような人物が活躍するが、相手の外交関係を崩したり、敵を孤立させること、そして軍隊を用いずに敵を服従させることは戦争に勝つことより大事なことだ。

    そして、一度戦争となれば、敵味方の状況を詳細に把握すること、そして自然の理を良く知ることが勝利の鍵となる。敵の意図を知る、要所を押さえる、敵が大軍の場合は隙を突いて先手を取る。以上のことは戦争以外でも応用ができる考え方だ。それは、孫子の考え方が上辺の戦術論でなく、極めて本質的で鋭い洞察に根ざしているからだ。見かけは違っていても、本質が同じということはよくある(戦争とスポーツ競技など)。孫子の兵法が戦争以外の分野でも注目されているのは、その内容が非常に本質を突いた内容だからだろう。手元において、何度も読みたい一冊である。

  • 仕事の役に立つかと思って読んでみたが、全然そんなことはなさそうだった。
    これ実践できる社会人っているのか?
    嫌な奴を丘を背にして迎え撃ったりするのか?
    なんとも不思議である。

    戦う前にして既に勝敗は決しているという心構えは、そうだろうと思う。が、当然目新しいことではない。

  • これを手にとって、ぱらりとめくった時、「あー、これ、一度中身見て、最初の数ページで思ってたのと違うと思って何度か本棚に戻した本や」と気づいた。

    孫子は、戦いの極意を通して、人の心理なども描き出すと言われることもあり、近年ではビジネス文書の欄に並んだりすることもある。でも読んでみた感じ、ビジネス文書になる可能性は低いのではないかと思ってしまった。それほど深く、心理を探っていないから。

    白文、読み下し文、現代語訳の3段構成になっている。初めてなので全部に目を通していたら、読破にすごく時間がかかってしまった。それで集中してとれる時間が少なく、理解が浅いこともあるかもしれないので、今、現代語訳のみを読み直している。

  • 【要約】
    p.28 5つの事柄、7つの目算
    <事柄>
     一 道(政治のあり方)
     二 天(自然界のめぐり)
     三 地(土地の情況)
     四 将(将軍の人材)
     五 法(軍制)
    <目算>
     一 敵と身方でいずれが人心を得ているか
     二 敵と身方でいずれの将軍が有能か
     三 自然界のめぐりと土地の情況はいずれに有利か
     四 法令はどちらが厳守されているか
     五 軍隊はどちらが強いか
     六 士卒はどちらがより訓練されているか
     七 賞罰はどちらが公明に行われているか

    p.32 戦争とは詭道である。

    p.40 兵役を繰り返して徴発せず、食料は三度と国から運ばず、軍需品は自国のものを使うが食糧は敵地のものに依存する。

    p.45 敵国を傷つけずにそのままで降伏させるのが上策。

    p.56 まず身方を固めて誰にも打ち勝つことのできない態勢を整えた上で、敵が弱点をあらわして誰でもが打ち勝つことができるような態勢になるのを待つ。

    p.103 用兵の法
    1 高い陵にいる敵を攻めてはならず、
    2 丘を背にして攻めてくる敵を迎え撃ってはならず、
    3 険しい地勢にいる敵には長く対してはならず、
    4 偽りの誘いの退却は追いかけてはならず、
    5 鋭い気勢の敵兵には攻めかけてはならず、
    6 こちらを釣りにくる餌の兵士には食いついてはならず、
    7 母国に帰る敵軍は引き止めてはならず、
    8 包囲した敵軍には必ず逃げ口をあけておき、
    9 進退きわまった敵をあまり追いつめてはならない。

    p.106 智者の考えというのは、必ず利と害をまじえ合わせて考える。

    p.110 将軍にとって5つの危険なこと
    1 決死の覚悟でいる   →殺される
    2 生きることばかり考える→捕虜にされる
    3 気短で怒りっぽい   →侮られて計略に陥る
    4 利欲がなくて清廉   →辱められて計略に陥る
    5 兵士を愛する     →兵士の世話で苦労する

    p.115 軍隊を駐める場所
    高地、日当たりが良い、水や草が豊富

    p.164 敵の意図を十分に把握すること。

  •  「孫子」は13篇にわたる中国最古の兵法書といわれる。著者は孫武とも孫臏(そんひん)とも言われるが、二千年以上経った現代においても参考になるのだという。訳注を著した金谷治先生の解説によれば、全篇を通じて内容的な特色を3つ挙げている。

    まず第一に、それが好戦的なものでないということ。「戦わずして人の兵を屈するは善の善なり」としている。
    第二に、その立場の現実主義的なこと。
    第三の特色は、戦争に際して主導性を把握することの重要さが繰り返し強調されていること。「善く戦う者は、人を致して人を致されず」という。

    私が読むには「実戦」について多く語られていると思う。これを一般の生活やビジネスに応用するのは、私にはいささか難しいように思える。しかし実際にビジネスに広く応用されているそうだ。中国ではその昔范蠡(はんれい)という人物は商売に応用して成功し富豪となりその名を轟かせたという。世の賢人たちはそこをどう解説しているのか「孫子」を解説したビジネス書を読んでみるのも面白いかもしれない。

    武田信玄の軍旗に書かれたとして有名な「風林火山」は軍争篇第七に登場する。「故に其の疾(はや)きことは風の如く、其の徐(しずか)なることは林の如く、侵掠(しんりゃく)することは火の如く、知り難きことは陰の如く、動かざることは山の如く、動くことは雷の震(ふる)うが如くにして…」と二句の順序を改めて転倒している。押韻や意味の上からもそれがよいのだそうだ。山本勘助らが武田の軍旗を作った頃は別の伝わり方をしていたのだろうし、そのおかげで「風林火山」が生まれたともいえる。

    最後に附録として「史記」から孫子伝を紹介している。呉の国で呉王の前で女を相手に兵法の訓練をした孫武は、指示通りに動かなかった呉王の愛姫を斬り殺し見せしめとしたエピソードはあまりにも有名だ。

    あまり長くない13篇であるが、いちいち納得させられるものがあるのは現代に通じるということの証であろう。

  • 孫武が書いたとされる兵法書。
    100分で名著を観てから読むと、さらに面白さが増す。

    兵法書なので、戦って勝つことが良いとされると思ったら大間違い。そもそも戦争は国力を疲弊させるのでしない方が良いと言うのが大前提だ。

    戦争をしない、戦わずして勝つ方法をまずは教え、それでもダメなら楽勝に勝つのが孫子の兵法なのだ。

    現代においても応用の効くことは多々あり、例えば相手をまずは詳しく分析(時にはスパイを送り込む)し、弱点を見極め、そこを切り込む。

    これはベンチャー企業が行うべき戦略と似ている。資金が豊富な大企業と真っ向から戦っても勝ち目はない。

    そうではなく、大企業が手をつけられない所を一点突破で攻め立てて、まず一つ、次に一つと陣地を奪っていくのだ。

    ビジネスとは戦争。
    戦略無くして勝ち目なしだ。

    個人的に大事だと思うのは、こういう抽象的な理論を学んでから、自分で考え続けることだ。そこらへんのビジネス書を読んで、表面的なノウハウを学んだとしても、結局戦いの状況が変われば、戦略を変えざる得ない。

    臨機応変な対応の大事さは孫子の中でも述べられていたけれど、結局は自分で考える必要がある。

    魏の曹操は、今の孫子の注釈を作った張本人だが、そんな曹操でさえ、赤壁の戦いでは敗れており、その事が天下統一を妨げている。

    生かすも殺すも自分次第という点が、なんとも孫子らしい。

    ちなみに、陣地を構える時に右に空間を作るべきと言う点が述べられており、その理由は色んな事が述べられていたが、個人的には100分で名著の『人は右利きが殆どのため、右に陣地を作る事で、そこから駆け下って攻撃する際に勢いよく剣を振り下ろせる』と言うのが一番しっくり来た。

  • 「知彼知己者、百戦不殆」

    古来、数えきれないほどの君主・将軍・戦国大名・政治家・学生・経営者・学長(!?)等に読まれてきた人類の宝。現実的な“兵法”を美しい響きで学べる。経営者が薦める本に挙げるのも至極納得。

    今回響いたのは冒頭の言葉。「敵情を知って身内の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がない(p53)」

  • 言わずと知れた「戦争の教科書」。

    「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」や風林火山、呉越同舟などの元になった部分を目にすることができる。また、三国志をはじめとする中国の歴史もの、軍記ものにしばしば出てくる戦略について「これか…」と思いを巡らすことができる。
    敵国をビジネスの競合他社として、将軍をマネージャーとして置き換えれば、なるほど昨今よく言われるように、ビジネスの現場に対する教訓として読むこともできる。

    イメージしていたほど膨大な文書でもなく、身構えずに読めた。この岩波版は、現代語訳はもとより豊富な注釈もあり非常に読みやすい。
    メジャー古典として読んでおきたい1冊。

  • 内容についてはいわずとしれた古典なので割愛する。
    原文、書き下し文、注釈、そして口語訳が併記され
    初読者にも、そして深く読み解きたい人にも門戸が開かれた岩波文庫の細やかな作りに感心。
    諸々解説書など出ているが、この岩波文庫版でも十分、入門は可能である。

  • 『孫子』十三篇の全訳。原文、読み下し文、口語訳と注釈。新出土した銀雀山漢墓竹簡・孫子兵法とも対校されている。中国古典に馴染みがない人には少し読みにくい感じあり。ただ定本でもあるので読んでおきたい本。

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