梁啓超文集 (岩波文庫)

制作 : 岡本 隆司  石川 禎浩  高嶋 航 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 22
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003323410

作品紹介・あらすじ

「わたしが最も慚愧に堪えないのは、わが国に国名がないことである」。清末・民国の激動期、日本を媒介として西洋文明を摂取し、中国人の精神の改造と社会の近代化を唱えた梁啓超(1873〜1929)。政治から文化まで、多大な影響を残したその活動を伝える28篇を精選。時系列で思想の変遷をたどりつつ配し、すべてに解題を付した。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、清末、民国初期にかけて活動した梁啓超の評論を編集して一冊にまとめたものである。 
     その名前こそ知っていたが、ある程度まとまったものを読むのは初めてであった。

     時系列で配列されているので、時代の推移や状況の変化、あるいは儒学思想や西洋思想の学び等によって、その思想が変化、深化していった変遷を追っていくことができたし、各編ごとに簡潔な解題が付されているので、その論説の時代背景や意義について理解を深めることができる。

     日本で言うと、福澤諭吉の存在に近いのだろうか。西洋列強に対して、母国の独立を保ち、発展していくためにどうすれば良いかを考え抜き、ヨーロッパの学術の活用を考えたこと、一部の為政者ではなく国民の覚醒が大事であると考えたこと、新聞の発行等を通して広くその考えを宣布したこと、等々である。

     清朝末期の戊戌新法への参画、日本を含めた海外への逃亡、建国早々の民国国政への参画と、正に近代中国の激動の時代を駆け抜けた人生だったことを、各論説を通して知ることができた。

     岩波文庫らしい、思想家・評論家のエッセンスを概観できるセレクションである。

  • ソフトタッチで易しい印象。

  • 粱啓超の名前を久しぶりに目にした。そして著作を初めて読んだ。

    大学で中国史を専攻していた時は康有為の高弟、といった程度の認識しかなかったが、師との距離もある時は密接しある時は離れ、西洋に対する理解もある時は儒教に附会にある時は日本の翻訳を介してある時は西洋文明をそのまま受け入れ…

    清朝の衰退から終焉、軍閥の乱立を経て国共の対立へ、揺れ動き苦悶する一人の知識人を追う本として興味深かった。

    これから中国近現代史を学ぶ人は勿論、好悪問わず中国が気になる人達に読んで欲しい。

    ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。

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著者プロフィール

1965年、京都市に生まれる。1993年、宮崎大学教育学部講師、宮崎大学教育文化学部助教授をへて、現在、京都府立大学文学部准教授。
著書 『近代中国と海関』(第16回大平正芳記念賞受賞、名古屋大学出版会、1999年)、『属国と自主のあいだ——近代清韓関係と東アジアの命運』(第27回サントリー学芸賞受賞、名古屋大学出版会、2004年)

「2007年 『馬建忠の中国近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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