ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)

著者 : ガンディー
制作 : 森本 達雄 
  • 岩波書店 (2010年7月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003326114

作品紹介

1930年、ヤラヴァーダー中央刑務所に収監されたガンディーは、修道場でみずからの教えを実践する弟子たちに宛てて一週間ごとに手紙を送る。真理について、愛について、清貧について、寛容について、不可触民制の撤廃について、国産品愛用運動について…。ただただ厳粛なる道徳的観点からのみ行動した、「偉大なる魂」の思想と活動原理の精髄。新訳。

ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この人もやはり書いていた!後世に名を残すような偉人はやはりこうでなければ!自分も入牢したらぜひ書いてみよう。

    1930年、第2回非協力運動の幕開けとしてモーハンダース・カラムチャンド・ガンディーが行った「塩の行進」により、ヤラヴァーダー刑務所に収監された中で書かれたものであるという。ガンディーが主催した修道場(アーシュラム)の弟子たちに向けて、その教えの意味について毎週に書き送られたものとのことである。
    その教義は真理や愛(アヒンサー)といった普く宗教として当然あるべき徳目から始まる。そこまでは自分にもある程度理解・納得できるのだが、しかし、次に続く純潔・禁欲・浄行(プラフマチャリア)や嗜欲(味覚)の抑制、不盗、無所有即清貧とくるにつれて次第にガンディーの各徳目の奥行きは果てしなく厳しくなっていき、ある意味、狂信に近くなっていくのではとすら思えてくる。肉欲はもってのほか!美味しいと思うものを食べるな!本当に必要なもの以外それを得ることも盗みにあたる!ということなので・・・。
    それだけ自分が煩悩にまみれているということでもあるのだが、こうなると生きている甲斐はあるのか、そもそも子孫を残して人類が存続していけるのか、というそもそもの根本的な疑問も当然湧いてくる。
    そうなのだが、ヒンドゥー教の伝統思想は、人間のうちなる霊魂(アートマン)は、果てしない輪廻転生を繰り返すが、最終的に真理・梵(ブラフマン)を悟り「解脱」に到ることが目標であるということなので、インド社会にあってはそのような徳目は理解されやすく、実践者は崇敬される存在になるのだという。
    実際、若い頃にことごとくヒンドゥーの戒律を破ってみせ、また社会的成功を夢見ながらも人生の敗北者でもあったガンディーであったが、南アフリカで人種問題にさらされるや、ただただヒンドゥー的な厳しい徳目を実践しながら、無抵抗の抵抗の指導者として「偉大なる魂(マハートマ)」と崇敬されるに到る。マハートマ・ガンディーの誕生である。
    これぞ禁欲の崇高さというか強大さに最終的には誰も抵抗できないといったところであろうか。現代において聖人が世の中を導いた事例として特筆される事績であるといえよう。
    だが、政治運動にかかわり続けるガンディーに対して、ヒンドゥーの宗教指導者バラモンからは、結局俗世の政治にかかわることに批判され、最終的にはヒンドゥー極右の凶弾に倒れるという皮肉な最期を迎えてしまう。しかしそうであっても、やはりその偉業ゆえに世界の歴史に燦然と輝く偉人の一人として記憶されるべきであろう。

    俗世にまみれた自分には実践は到底無理なのであるが、煩悩に堕ちたと思った時にこそ新たな気持ちで本書を読み、ガンディーの禁欲のほんの一端でも噛みしめて、崇高な気分に浸りたいものである。

    ん!?このようないい加減な気持ちも戒律違反?(笑)

  • ガンジーの厳しく思える規律。
    その大目的は絶えず世界へ向けた動機善なりである。

    世界を動かす思想とは、
    ある面では偏らざるを得ないことを感じる。

    だが、
    ガンジーが最も厳しかったのは自分自身であり、それを強要することはなく、
    大きな器と慈愛とユーモアに溢れていたという、知人たちの言葉が響く。

    世界を変えるには
    自分を変えることだ。

  • 本屋で見つけて衝動買いした一冊。薄いのですぐ読了できますが、なんと内容の濃いこと。字面は理解できてもその根底にある思想は多分まだ理解が全然及んでいません。にも関わらず、この先何度も読み返すことになるだろう大事な一冊になりました。それと共に積ん読状態だった『ガンジー自伝』を早く読まねば、とも。
    こういう出会いがあるから本屋にいくって大事だなぁ。
    いずれにせよ本書のよい部分を実践するのはほぼ不可能でしょうが、意識して生きるか生きないかというのは大きな違いである気がします。有難い一冊になりました。

  • 公正さ、
    自分と異なるものへの敬意、
    大きな愛。

    この時代のインドにあってこの考え方をしていたというのは、物凄いことなのではないか…。
    これはちょっと無理、というのもあったけれども。

    自伝が読みたくなった。

  • 実践を徹底することの難しさと尊さ。
    ひとつひとつの指摘はあたりまえのことのように読めるものだけれど。

  • ジャイナ教に強い影響を受けていたガンディー。私もジャイナ教の行為体系に多々共感するので, ガンディーの教えに納得する。ただ, それは厳しさのもとで行われるというより, 精神的快楽のもとで行われないと, 本来快楽を求める動物にとって自然ではない。ガンディーの教えのすべてが自然的ではなく, むしろ逆説的に, ガンディーが批判する, 欲動を拡張し続けた英国にも自然性があるといえる。結局は, 共同体のもとでそれを強制させるのではなく, 釈迦の説法のごとく, 目覚めた賢明な個人のもとで行われなければ, ハイエクが著書「隷属への道」で証明したように, 社会主義という破綻への道を進むことになってしまう。ガンディーの教えは厳しいようで甘く, 甘いようで厳しい。

  •  『獄中からの手紙』はガンディーの日常思想を述べたものである。真理への道を第一とし、愛・純潔・無差別を目指す。非常に禁欲的な内容となっている。
     私は思想としては格別目新しい部分は無いと思う。書かれている内容すべてに私は賛成はしない。かといって反対もしない。少なくとも作者はここに書かれている内容を実行したことは確かである。それは、作者の人生を除けばわかることだし、覗かずとも、この禁欲的な精神に満ち溢れている内容を読めば決して綺麗ごとだとは思わせないものがある。魂が清浄されていく気分になる。

  • NHKの100分で名著を見て、読んだ。
    見てからで良かった。
    結構、極論に走っていて、共感ができなかった。

    他人のために奉仕せよ感が強くて、おいしいものを食べてもだめ、妻や恋人と愛し合うこともダメ、家族に執着しすぎるのもダメとダメダメ尽くしで、これではガンジーが自ら言う「人生は面白みのない退屈なもの」となってしまう。
    そもそも、ガンジーの主張を守っていたら、子供は生まれず人類は絶滅してしまう。

    あらゆる宗教に対しては、お互いに認めあおうと言っているが、恐らく無宗教には反対。
    でも、ガンジーが主張する通りの生活を送っている方が、私なら人生の空しさを感じて、何かすがる物が欲しくて、宗教に走ってしまうと思う。
    個人的には仏教の教えに一番共感を感じているが、人生が毎日楽しくてしょうがない時は、私には宗教など必要はなかった。それでも、自分が満たされていると、小さなことでは腹も立たず、人を受け入れられる範囲が広がり、全く関係ない人の幸福も願えていた。
    なので、個人的には、宗教という心の支えがなくても生きていけるほど幸せな状態であってもいいのではないかと思う。それに、そこまでのストイックな生活。体が神からの借り物なら、折角与えられた生(ガンジー的には生きると云う行為は、解脱できないという残念な状態のようですが)を楽しくなく無駄に費やすのも、ある意味罰あたりではないのかと思ってしまった。

  • 1930年、刑務所にいたガンディーは弟子にあてて仏教の教えを週一の手紙で送る。ガンディーの思想とは何だったのか。初めて読んだ。

    検閲のせいかどうかは知らず、内容のほとんどは純粋な仏教の精髄である。

    「アヒンサー=愛」とは愛するということではない。不殺生ということであり、非暴力ということでもある。一切の執着心から解き放たれて自由になり、神を真理として悟ることである。相手を赦すからこそ出来る非暴力運動なのである。

    読めば読むほど、煩悩多き一般人には無理な気がする。純潔、禁欲、浄行を行い、味覚を抑制し、盗まず、所有欲からも離れる。無畏、つまり恐れない。不可触民制(差別民)の撤廃を主張する。

    「寛容」の項では、宗教の平等の理論を認めている。ひとつビックリしたのは、私のような無宗教まで寛容であれ、とは言っていないということである。憎みはしないが、誤りを気づかせようと努力するらしい。ちょっと勘弁して欲しい。

    私のような者と、果たしてガンディーは非暴力運動を共にすることができるのか。それは、この本を読んでもひとつもわからなかった。次回の課題としたい。

    しかし、そのあとに読んだ「独裁体制から民主主義へ」やそのあとに観た「大統領の執事の涙」、その他いろいろな処にガンジーの影響があり、それは確実にこの第二次世界大戦あとの世界を平和のうちに「変化」させているという点で、やはり「偉大な(マハトマ)」人間だったという気が最近とみにしてきている。

    2014年2月14日読了

  • ここまで純粋に教義について貫き通せるものなのか。

    あとがきにあったが、過去イギリスにわたり
    西洋文化に感化されたエピソード
    何度も失敗を繰り返してたどり着いた晩年。

    こんな大偉人でも人間なんだなと感じる。

    ためになる格言、人間の本質は
    哲学的かつ、他の宗教も理解した
    うえでの言葉には深みがあるように思う。

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