日本幽囚記 上 (岩波文庫 青 421-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003342114

感想・レビュー・書評

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  • 本格的な旧仮名使いの書籍を読むのはこれが初かと。始めはとっつきにくいが慣れるに従って結構スピードが上がってくる事実に今さらながら驚かされた次第。まるで人生初の読書ブームに遭遇する小学生のような感覚でのめり込んで上巻を読了し、今となっては後続の厚さバラバラな中巻、下巻へと下り坂風の残りの道を歩く感あり。

    この書にたどり着いた理由は司馬遼太郎著「菜の花の沖」の存在があったがため。実際に手に入れるまでの道のりにおいて、ネットでの検索結果に並んでいた米原万里氏の「打ちのめされるようなすごい本」に出会い、いくぶん幸せなよりみちを経ていたことも昨日のことのように思い出される。数軒のBookoffや本屋を回ってようやく出会えたこの上巻には「リクエスト復刊」という帯がついていた。この意味するところについて少しあたってみると、岩波文庫においては一旦在庫なしの絶版扱いとなりつつも、復刊希望の問い合わせを確実に積み上げたものについては重版の判断がくだされるしくみがきちんと機能しており、本巻に関しては2012年春の回に選出され、たまたま自分がその時期に一時帰国をしていたがために京都三条は大垣書店の書架に並ぶその存在にめぐり逢えたという話だったらしいのだ。それより前の回の重版の時期は1996年となっているのだから、茶化したいいかたをすればハレー彗星的な奇跡的遭遇率であったらしい。これからも大事にしようと心に誓う文庫になりそう。

    さて本上巻においてはゴロヴニンの幽囚期間はまだ始まったばかり。悶々とする幽囚一行の心理の動向は奇しくも「おろしや国酔夢譚」で味わった一行のそれに一部重なるところを感じずにはいられない。並行して海を挟んだ向こうでおこりつつある高田屋嘉兵衛とリコルド副船長の下りについてもつい読みたくなってくる。あー、うずうず。(笑)

  • 上巻はロシア海軍のゴロヴニンさんが、日本側に騙されて捕囚になってしまい、いよいよ脱走を計画するところまで描かれております。
    ゴロヴニンさん、囚われの身になって大変なんですが、なかなか冷静かつ客観的に日本人を描写しておりまして、これが面白い。
    日本人の生真面目さや、官僚主義なとこや、姑息なとこなども、昔からかわらんのですなぁ。
    いきなり間宮林蔵が訪ねてきたりしてたよ。

    領土問題がこんなに騒がしくなる前から読みだしたんですが、奇しくも国境付近での異文化接触という部分で、タイミングのよい読書になりましたな。

    実はこの本、古本屋の特価コーナーで上下巻セットで買って来まして。
    大変おもしろく上巻を読み終えた後で、下巻を読み出したら、これがまったく話が続かない。
    上中下巻の三分冊やったわぁぁ・・・

    中巻はよ、さがしてこな・・・


    S49/6/20 第5刷

  • 19世紀の鎖国時代の択捉・国後に測量のために来航、国後で日本にとらえられ、北海道の松前で監禁されたロシア海軍士官による手記。帰国後に欧州各国の言語で出版され、当時のベストセラーとなった本。当日本語訳は1943年第1刷、1986年第6刷の旧字体による出版。
    本編が始まる前の前置きが冗長。旧漢字、旧かな使いは難問だが、読み進むと慣れていく。

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