一外交官の見た明治維新〈下〉 (岩波文庫 青 425-2)

  • 岩波書店 (1960年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (294ページ) / ISBN・EAN: 9784003342527

みんなの感想まとめ

幕末から明治維新にかけての日本の大変革を、外国人外交官の視点から鮮やかに描いた作品です。著者は、徳川幕府崩壊の過程をリアルタイムで体験し、その中で遭遇した危険な事件や、日本人との交流を通じて得た貴重な...

感想・レビュー・書評

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  • 再読。下巻では慶応3年、長崎で起こった英国水兵殺害事件(イカルス号事件)の犯人捜しでサトウもあちこち通訳に駆り出される。当初、犯人として疑われたのは海援隊士だったので、英国側は土佐藩に犯人を差し出すよう要求、モメにもめる(実は犯人は筑前藩士で、土佐藩はとんだとばっちり)

    そうこうしているうちに大政奉還、王政復古、そしてついに戊辰戦争へ。そうしている間にも相変わらず攘夷浪人による外国人襲撃事件は続き、サトウはその対応にも追われつつ、勝海舟や各藩の要人とも面会。長州の伊藤、土佐の後藤象二郎とはずっと仲良し、後半になると、大久保、木戸といった大物との面談も増え、ついに明治天皇とも謁見。

    20才で日本へやってきて26才までの6年半の任期を終え、英国へ帰国するところで本書は終了。サトウはその後も何度か日本に赴任し、日本についての本をびっくりするくらい沢山、英国で出版している。以下上巻に続き、人物評やエピソードなど抜粋。


    【後藤象二郎】後藤は、それまでに会った日本人の中で最も物わかりのよい人物の一人であったので、大いにハリー卿の気に入った。そして、私の見るところでは、ただ西郷だけが人物の点で一枚後藤にまさっていたと思う。(61)

    【山内容堂】容堂は身の丈高く、すこし痘痕顔で、歯がわるく、早口でしゃべる癖があった。彼は、確かにからだの具合が悪いようだったが、これは全く大酒のせいだったと思う。容堂の意見から判断すると、彼は偏見にとらわれず、その政治的見解も決して保守的なものではなかった。しかし、薩摩や長州と共にあくまで変革の方向に進んでゆく用意があったかと言うと、それはどうも疑わしかった。(66)

    【桂小五郎】その日、夕飯のとき、私は有名な木戸準一郎、別名桂小五郎に初めて会った。木戸は、一八六四年以来の私の知友伊藤俊輔と一緒に領事館へたずねてきたのである。桂は、軍事的、政治的に最大の勇気と決意を心底に蔵していた人物だが、その態度はあくまで温和で、物柔らかであった。(67)

    【松平容保・松平定敬】会津は年のころ三十二歳ぐらい、中背でやせており、かぎ鼻の、色の浅黒い人物だった。桑名は一見二十四歳ぐらい、あばた顔の、からだの小さい、醜い青年だった。(106)

    【徳川慶喜】ついに、上様は疲労を覚えたと言って、会見を切り上げた。この五月には、気位も高く態度も立派だったのに、こんなにも変わり果てたかと思うと、同情の念を禁じ得なかった。眼前の慶喜は、やせ、疲れて、音声も哀調をおびていた。(108)

    【陸奥宗光】同日、陸奥陽之助という紀州生まれの若い土佐藩士が会いに来たので、私はこの男を相手に外国公使の天皇政府承認に関する問題を論じた。(中略)陸奥は、自分は後藤の使者として来たものではないから、単に個人としての意見を述べるに過ぎないと言った。(114)

    【大山巌・伊地知正治】私が江戸で知った薩摩の人大山弥助が、私たちの護衛隊の指揮を命ぜられたと言って、自己紹介にやってきた。(中略)大山は四時に伊知地(※原文ママ)正治という醜い、不格好な老人をつれて戻って来たが、この伊知地は薩摩の大将株の一人であるらしかった。伊知地は、くどくどしく挨拶の文句をのべてから、まるで舞踏病患者のようにびくつきながら、木場の秘書が言った通りの言いわけをならべた。(147-148)

    【大久保利通】その晩、私は薩摩の家老で内国事務係、参与の一人である大久保一蔵をたずねた。前年私は大久保と進物のやり取りをしたが、まだ一度も顔を合わせていなかったので、面識を得たかったのである。二人は単に儀礼的な挨拶にとどまらず、興味ある談話をかわした。(156)

    【岩倉具視】次に岩倉を訪問したが、彼は、皇居の西側の公卿門から入って、ちょうど門の向かいに当たる所に仮宅をもっていた。きびしい顔つきの、老けて見える人物だったが、言葉に腹蔵がなかった。(181)

    【明治天皇】多分化粧しておられたのだろうが、色が白かった。口の格好はよくなく、医者のいう突顎であったが、大体から見て顔の輪郭はととのっていた。眉毛はそられて、その1インチ上の方に描き眉がしてあった。衣裳は、うしろへたれた長い黒色のゆるやかな肩衣に、マントのような白い長枹、それに紫色のゆるやかな長袴であった。(199)

    【毛利敬親】来賓の大部分は知識のある人々なので、態度もよかったが、長州侯は大きい赤ん坊のようにふるまって、私を隣席へすわらせようとしてきかず、またシャンペン酒をからだに悪いほど痛飲した。ところで、日本の諸侯はばかだが、わざわざ馬鹿になるように教育されてきたのだから、責めるのは無理だという気がした。(200)

  • 詳細な観察
    吉原での遊び

  • イギリスの外交官アーネスト・サトウの著作。徳川幕府崩壊の過程を外国人外交官の視点で描く。危険な事件に遭遇しながらも、当時の日本人と堂々と渡り合っていく姿は痛快ですらある。

  • 楽しいか?面白いか?と言われたら…
    幕末・維新が好きな人には是非一読下さい。かな
    英傑の英雄としての伝記が読みたい人は退屈。
    高杉晋作、坂本龍馬、西郷隆盛、木戸孝允は名前が出てくる位…それが如何に凄い事かと改めて思う

  • 日本の歴史上、おそらく最も大きな変革が行われた時代の有り様を、まさにリアルタイムで経験した記録は、外国人という立場から幕府側、官軍側のどちらにも片寄らない関わりとなっていて、まさに歴史の得難い証言と言えるものであろう。

  • 下巻からきな臭くなってくる

  • 明治新政府樹立に向けた動きの中で、諸外国の関与のあり方に違いが見えて面白い。特に英仏の見通しの水準の違いはどこから生まれているのか。当時の貿易額や外国人居留地人口からいっても英は単独で三分の一を占めていた訳だが、それ以上に外交官の質の差が大きかったのではないか。

  • この下巻では、仕事しながら日本各地へ行って見聞したり、戊辰戦争などの後遺症など書かれています。

  • 原書名:A Diplomat in Japan

    日本の役人との社交、新潟、佐渡の金山、七尾訪問
    陸路、七尾から大坂へ
    大坂と徳島
    土佐と長崎
    将軍政治の没落
    内乱の勃発(一八六八年)
    伏見の戦争
    備前事件
    初めての京都訪問
    腹切、京都における天皇謁見の交渉
    堺におけるフランス水兵虐殺
    京都、天皇に謁見
    江戸帰着、および大坂における公使の新信任状奉呈
    雑多な事件、水戸の政争
    若松の占領と天皇の江戸行幸
    榎本、脱走した徳川の軍艦をもって蝦夷を攻略
    一八六九年、江戸において天皇に謁見
    東京における最後の滞在、故国へ出発

    著者:アーネスト・サトウ(Satow, Ernest Mason, 1843-1929、イングランド・ロンドン、外交官)
    訳者:坂田精一(1903-1988)

  • 1862年に通訳としてイギリスから日本に来たアーネスト・サトウの第一回目日本滞在の回顧録。薩長との関係、幕府との関係、他国の外交官たちのと関係など、幕末の事情が生々しく語られている。明治維新・戊辰戦争の最中の明治2年に一旦イギリスに帰るまでが描かれている。

  • リアル。最高。現代人の感覚だと当時の外国人の感想が一番しっくりくるのではないか。

  • 読んでて面白い本とはいいがたいけど、著者が見た生の歴史を極力そのまま書いてるってことの凄みは否定しえない。サトウがひどく気に入ってたと思しき薩摩脱藩の中井弘さんとか、あまり幕末の小説では見かけてない気がするけどどんな人だったんだろう。

    サトウは西郷隆盛とも何度か会ってて、その魅力にも言及はしているものの、語る言葉は妙に少ない。このへんは「西郷さん」のつかみどころのなさを感じさせていかにもって感じだ(そういう僕の印象を形作ってきた歴史小説群のネタ元こそがこういう一次資料なんだから、当然といえば当然の帰結だけど)。

    読むのにえらい日数かけてしまったものの、まあ読んでみてよかったよ。歴史小説のふわっとした部分と史実との間を、こういう一般向けの一次資料や(準)学術書がつなぎ留めてくれる。どうあがいても知り得ない靄の部分というか、想像力で補うしかない空隙あっての歴史なんだし。

    たまにはその空隙をまざまざと覗き込むような読書体験もあっていい、と改めて思った。靄や空隙の存在を忘れないためにも。

  • 北陸からオーザカへの道中は、後に明治の日本を旅するイザベラ・バードの紀行文を思い出させる当時の日本人の反応そのままだ。時は維新の最終段階。この巻で坂本龍馬の暗殺を明記しているが、長崎で知り合ったとある。グラバー商会の記述も淡泊だ。維新に関わった他の日本人の記述と比べて記載がないに等しいのは、重要人物ではなかったのか、半世紀を経ても秘匿すべきことだったのか? 新政府の重職に公卿が名を連ねたことに対して、実力を伴わない職であると言い切っているのは、けだし慧眼である。

  • 本書は「世界を揺るがした10日間」のような第一級の迫真のドキュメンタリーだ。これが体験から数十年後に書かれたとはとても信じられない。アーネスト・サトウの几帳面かつ優れた知性がうかがえる。
    それにしても歴史とは多くの視点から見つめるほど面白いものだと思った。本書を読了して萩原延壽の「遠い崖」をもう一度読んでさらにこの時代をより深く探求したくなった。

    2016年12月読了。

  • 幕末は外国人にとって物騒極まりなかったに違いない。現にアーネスト・サトウも1867年5月に襲われている。武士たちは相当に血走っていたのだろう。明治に入っても、しばらくはそのような人が世間にうようよといたのだろうが、文明の開化によって武士の気質も徐々に消えていったのだろう。いまの日本人のなかに武士のような一本筋の通ったひとを見つけるのはとても難しい。明治維新によって日本人は大きく変わり、もう武士のような生き様をする日本人に戻ることは決してなかった。

  •  
    ── アーネスト・サトウ/坂田 精一・訳《一外交官の見た明治維新(下)19601005 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003342526
     
    (20150922)
     

  • まだ20代前半だった筆者が、日本語通訳として明治維新の当事者となり日本側とやりとりしていく。こっちサイドから見ると伊藤博文などの小物観が半端ない。明治維新のフィクサーというのもあながち間違いではないと思いました。

  • サブテキストとして非常に面白いものだった。
    サトウが明治初期のキリスト教政策に理解を示していたのが印象的。
    これから後の時代も気になるんだけどな。伊藤との仲良し話をもっとしてくれ~!
    当時の文化を、異邦人の目線で客観的に見られるところも良かった。
    伊達公は歌って踊れる殿様ってことでFA?

  • イギリス人外交官アーネスト・サトウの日誌的な幕末物語。
    幕末という時代が好きで、中学生・高校生の頃はよくそのあたりを扱った歴史小説を読んでた。なんか、そういう小説に出てくる人物が、ふつうに登場するのがヘンな感じ。そりゃそうだよね。今の政治の現場を記録して100年後に読んだら(おもしろいかどうかは別として)こんな感じなんだろうな。
    アーネスト・サトウの他人の国に対する傲慢さにいらっとくるけど、時代の動きに超積極的に関ろうとする姿勢は学ぶものがある。あと、この人頭いい。

  • 上巻と同じく、サトウ氏が西軍に肩入れしている為
    知り合いになったり着き従う者に会津藩の人間がいる割には
    会津戦争の内情や幕府側としての本心について
    一切触れられていないことが残念。

    あの激戦の戊辰戦争も
    戦場が北上するにつれて江戸にいる者にとっては
    遠い場所の話であり
    サトウ氏らは至って平和に飲み食いしたり
    新年を祝ったりしていることが意外なようにも
    これが世の中というものだというようにも感じる。

    以前別の史料本に引用されていた
    いくつかのこの本からの引用文とされていたものが
    見当たらなかったのだが
    訳の問題なのか版の問題なのか。

    手に入るのなら原文で読んでみたいものだと思った。

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