インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)

制作 : 染田 秀藤 
  • 岩波書店 (1976年6月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003342718

インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  タイトルに簡潔な報告、とあるくらいなので本当に簡潔な報告です。読み始めは、スペイン人の極悪非道ぶりに寒気がしますが、読み進めると各地域(キューバ、ユカタン、グァテマラ、ペルーなど)でほぼ同じ内容の繰り返しです。
     まずスペイン人が入植すると、インディオ達は羊のように従順で、親が子にするように世話を焼き、無理な要求にも応えるが、最終的には虐殺される、というものです。また各地域での犠牲者の数も百万単位で報告されています。
     インディオの族長が、拷問されたあとの死刑執行を待つ僅かな時間での宣教師との会話で、天国にキリスト教徒たちがいるのなら、二度と会いたくない、いっそ地獄に行った方がましである、と言い放ったのが印象的でした。
     現実に中南米の文明は、ヨーロッパの勢力によって滅ぼされているので、まったく嘘ではないでしょうが、かなり誇張があるのは、と途中から感じるようになりました。ジョン・ラーベの『南京の真実』に似た読後感があります。
     ラス・サカスは多少大げさに書いてでも、スペイン国王に現状を理解してもらって、インディオの窮状を救いたかったのだろう、と良い方に解釈しました。生涯に大西洋を6回も往復し、92歳まで生きたキリスト教的信仰心の厚さに関心しました。

  • この古い書物そのものについて私などが評価できるものではないが、解説を読んで思ったことを簡単に書き記す。

    本書はキリストの教えに忠実にしたがい、その正義を守るために、スペイン国王や貴族に注進するために書かれたものであり、インディアスと呼ばれるいわゆる新大陸においてのスペイン人の無法ぶりを網羅的に描写している。

    しかし、著者である聖職者ラス・カサスの思ったような、スペイン人の無法をとどまらせ、インディオたちの権利を守るために本書が使われたのは、著者の存命中に過ぎなかった。

    本書での告白により、当時の覇権国家であったスペインの国際的な評判は著しく下がり、周辺国の思惑と絡んで国力は衰退。何世代も後になってスペイン本国のもつ国際的な影響力が微々たるものとなったころ南米で起こった、本書が記されたころに入植したスペイン人の末裔である「インディオ」の独立運動の際には、本書がその戦いの大義を示すものとなったという。


    聖職者として、キリストの教えに忠実であった著者の行動はまっすぐであったにもかかわらず、その結果はスペインにとってことごとくマイナスな影響を与えることになったことは皮肉である。階段を一度転がり始めたら、もう止めることはできないのだろうか。私は歴史の研究者ではないので、本書の内容とその後の扱いを知り、人間の悲しさばかりを思った。

  • 事象としてはひたすらに外道な侵略者たちの告発となっており、それだけでも興味ある人には十分だろうが、この本にはこのような形の告発の仕方がある、という点で非常に興味深い。
    道徳が言論のうえでどのように力を持たせられるか、言論の政治として読むとまた一興である。

  • たまたま読んだ本であるが、この本に出てくるスペイン人と同じ人類であるというだけで反吐がでる。
    人類から戒めをとるとどうなるか。
    結局、性善的な者は性悪的な者に淘汰される運命で、最後は自滅に向かっているような気がした本でした。

  • コロンブスによる新大陸の発見は歴史の教科書に必ず載っているけれど、スペイン人がそこを植民地とする過程で行った先住民インディオの大虐殺についてはあまり詳しく触れられていない。本書はこれらの悪事を国王へ告発するため、司教ラス・カサスが記した文書。残虐な行為の羅列に気分が悪くなる。自分たちを歓待してくれる従順な人々を、片っ端から殺していく精神は理解に苦しむ。金や財宝に目が眩んだためとされているが、そうだとしても方法が残忍すぎる。ただ殺すだけなら、生きたまま火炙りにしたり、鼻や唇を削ぎ取ってのっぺらぼうにしたりする必要などないはずなのに。本国から遠く離れた土地で、歯止めがきかなくなった暴力。人間は怖い。

  • 当時の征服者たちがインディオに行ってきたことは許されることではないだろう。もちろんこの本の記述を100%うのみにすることはできないが、インディオが激減したのは事実なのだから。

  • 同じ表現が繰り返し現れくどいけど、読んで良かった一冊。

  • スペイン人たちの、インディオたちに対する数々の悪行が書かれています。特に、人が良いことにつけ込む、絵に描いたような悪行は、「北斗の拳」に出てくる悪人そのもの!!そしてその全容は、ケンシロウのいない北斗の拳の世界、そのものなのです!!本当にこんな事実があったとは、恐ろしいことです。

  • インディアス(スペイン人が発見・征服・植民した地域の総称で、現在の西インド諸島、アメリカ大陸の一部、およびフィリピン諸島)でスペイン人が先住民たちを奴隷にし破滅に追いやった歴史を地域ごとにまとめている報告。
    ラス・カサス著。

  • 植民地支配されていた地域は世界中にあるけれど、
    南米の人は西洋的な人が多くて、なんでかなと考えていた。
    この本を読むと、「原住民は全滅されるくらい殺されたから」というひとつの仮説が成り立つ。
    でも今のスペインに当時の傲慢さは見る影もなく。調子に乗った人は多かれ少なかれ傲慢である。
    日本ばかり植民地支配時代のことを反省させられるのはニントモカントモ。

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