ナポレオン言行録 (岩波文庫 青 435-1)

制作 : オクターヴ・オブリ  大塚 幸男 
  • 岩波書店 (1983年9月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003343517

ナポレオン言行録 (岩波文庫 青 435-1)の感想・レビュー・書評

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  • ナポレオンが残した書簡、兵隊への布告、戦報、語録等の厖大な資料の中から、仏の歴史学者オクターヴ・オブリが編集し、ドイツ軍占領時の1941年に原題『ナポレオンの不滅の頁』として刊行されたもの。編者には、占領下の仏国民に祖国解放の希望を持たせようとする意図があったと言われる。日本語訳の発刊は1983年。
    ナポレオンが稀代の天才的な軍人であったことは言を待たないが、その文人としての能力も類稀なものであったといい、編者は解題で「彼は一度述べたことを繰り返すこともなく、言い直すこともなく、極端な早口で後述する。その用語は常に適切、平易である」、「彼は一つの一般的な観察、一つの国家に関する教説、更には一つの諷刺や、一つの哲学を、わずか十五ないし二十の単語で言ってのけるという、枢機卿レスや、リヴァロルや、シャンフォールふうの、あのすぐれてフランス的な才能をめぐまれている」と語っている。
    兵隊への布告では、有名な「そして諸君は、『私はアウステルリッツの戦闘に加わっていた』といいさえすれば、こういう答を受けるであろう、『ああこの人は勇士だ!』と」をはじめ、リーダーとして兵隊を奮い立たせる言葉が並んでいる。
    「戦争においては、いたずらに多くの人間がいたからといって何にもならない。一人の人間こそすべてである」
    「軍学はまずあらゆるチャンスをよく計算し、次に、偶然というものを、ほとんど数学的に、正確に考慮に入れることに在る」
    「戦争会議を重ねすぎると、いつの時代にも起こったことが起こる。すなわち、ついには最悪の策が採られるということである。最悪の策とは、戦争においては、ほとんど常に最も臆病な策である」
    「戦闘の翌日に備えて新鮮な部隊を取っておく将軍はほとんど常に敗れる。必要とあれば、最後の一兵まで投入させなければならない。なぜなら、完全な成功の翌日は、もはやわれわれの前に障碍はないからである」
    「将軍がその場に居ることは欠くべからざることである。将軍は軍隊の頭であり、一切である」等
    「天才とはおのが世紀を照らすために燃えるべく運命づけられた流星である」
    「すぐれた人間はいかなる人間の道もたどらない」
    「世界を引っぱってゆく秘訣はただ一つしかない。それは強くあるということである。なぜなら力には誤謬もなく、錯覚もないからである。力は裸にされた真実である」等
    自ら「それにしても、私の生涯は、何という小説(ロマン)であろう!」と言い切った不世出の英雄ナポレオンならではのアフォリズムが溢れている。

  • ナポレオンが実際に記した手紙や書簡から、彼の気持ちを読み取ることができる。ナポレオンは何事にも動じない、鉄の意志を持った人間のように見えるが、実際はかなり心が揺れ動いていたようだ。しかし、彼はそれを表に出すことなく、戦場では天才的な指揮官として兵士達を鼓舞し、勇敢であり続けた。彼の心の中にはスイッチのようなものがあり、戦争となると一切迷うことなく敵を打ち破る英雄に変貌する。

    彼は知的な人間であった。勉強家で、記憶力に優れ、人間観察に優れ、状況把握にも長けていた。また、時に詩人でもあり、思想家でもあった。若くして最高司令官となり、クーデターで執政となり、皇帝にまで上り詰めた。幾多の戦争で勝利し、ヨーロッパの大半を征服した。私が興味があるのは、こうした彼の行動を突き動かし、支配していた「意志」である。手紙や書簡を見ていると、彼は常に強い人間ではない。迷い、悔やみ、弱さも見せている。しかし、その負の感情が、行動の時に表れることはない。戦場では決然と行動し勝利を掴みとる。ナポレオンが、英雄ナポレオンになる。思うに、彼は自分の中で英雄像、理想像、人生哲学を明確に持っており、それにこだわり続けたのだろう。常にそうした自分を演じていたのかもしれない。そうでもなければ、決して短期間であれほどの偉業を成し遂げることはできなかっただろう。

    ナポレオンについての評価は様々だ。しかし、彼は一人の人間が自らの意志と行動でどれだけのことが成し遂げられるかを示してくれた。彼の生涯は非常にドラマティックな劇のようである。彼もまた役者のように生きてきたのかもしれない。だから、ナポレオンは面白い。人生は短く儚く、盛者必衰である。しかし、それでも人間は夢を見る。希望を持つ。何かを残したい、成し遂げたいと願う。短い人生の中で「英雄」という夢を見、それを偉大な勇敢さによって叶え、没落していったナポレオンの人生に、一人の人間として憧れを抱いてしまう。

  • かっこよかった。彼の偉業が深い哲学と知恵、そして勇気に基づくものであり、その特質は情熱に依拠していることが感じられる。何度も読みたい一冊だ。ナポレオンに対する研究文献が今日にいたるまで20万点を数えているのもうなずける。彼の評伝は「好意的なもの」「否定的なもの」「客観的なモノ」の三つに大別されるという我、そのうちでも本書は、何よりも彼をありのままの姿を知るための彼自身の言葉を編んだものである。

  • ナポレオンの言葉自体は大変読みやすい文章で、もちろん内容もとても興味深かった。

  • 当初の目的として、ナポレオンの戦争・行動哲学を学びたいと思っていたので少し目的とは逸れましたね。

    ナポレオンの書簡や現行が載せられていますが、詩的な表現、そもそも彼はフランス語を用いていたので余り実用性がないかなと思い結構すっ飛ばしました。

    最後の8, 9 章にナポレオンの戦争・行動哲学のようなものが端的に触れてあって、これは中々為になるものでした。ここだけ読むのは実用的かなと思います。

  • 「私は二年後をおもんぱかってしか、かつて生きたことがない。」
    「私は大きな逆運にも負けないように生まれついていたと思う。」
    「私はなるほど、いかにも奇妙な性格であるかも知れない。しかし人は異色である人物でなかったら、非凡であるということもないであろう。」
    「イエス・キリストは十字架の上で死んだのでなかったら、神とはされていないであろう。」
    「愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る。」
    「君の世紀の思想の先頭に立って歩いてみ給え、それらの思想は君に従い、君を支持するであろう。君の世紀の思想のうしろから歩いてみ給え、それらの思想は君を引きずるであろう。君の世紀の思想にさからって歩いてみ給え、それらの思想は君を打ち倒すであろう。」
    「赦すすべを知らなければならない。喧嘩腰の怒りっぽい態度をいつまでも持してはならない。これは隣人を傷つけ、またわれわれが自ら楽しむのを妨げるものである。人間の弱点を認めて、それと闘うよりもむしろそれに従わなければならない。」
    「祖国を救うものはいかなる法律を犯しても、法律を犯したことにはならない。」
    「立派な農業に基礎をおいた財政は決して破綻することはない。」
    「不道徳の最たるものは、自分の知らない稼業をすることである。」
    「どんな生涯においても、栄光はその最後にしかない。」
    「すぐれた人間はいかなる人間の道をもたどらない。」

    興味深い一面も。
    希望を配る人。英雄。

  • 「ナポレオン言行録」 岩波書店

     実に妻への手紙が多いこと。戦場に行っても、片時も
     君のことを忘れていないがごとく。
     そのマメさが皇帝というものを作っていったのでしょうね。

     「私の息子に勲章、銀器、野営用のベッド、武器・・・
      書物、私が身に付けた下着を遺蔵する。このささやかな
      遺品が息子にとってなつかしいものであってほしい。
      世界が彼に誇るであろう父を彼に忍ばせてくれるものとして」
     
     この文章を見て、なんと、思うでしょうか?
     自己顕示欲の強い人?子ども思い?
     凡人ではないな。。

  • 言わずとしれた英雄の言葉が収められている。

    曰く「天才とはおのが世紀を照らすために燃えるべく、宿命づけられた流星である!」とのこと。


    なんのこっちゃ。

    上の言葉にしびれた人にお奨め。


    でも、まぁナポレオン的成功ノウハウに関するものもあり、その点に関しては参考になる。

    読む価値はある。

  • 時折ぺらぺらとページをめくり読み直すのだが、非常におもしろい。
    日本語で、これだけおもしろいのだから、フランス後ではもっとよいのだろうな。

    過去をかたるのは・・・今を語るのは・・・未来を語るのは・・・

    などなど、名言多し。

    言葉が国家を作るのか。

  •  男の本能を掻き立てて止まないものが、ここにはある。18世紀から19世紀にかけて光芒を放った巨大な彗星、その名ナポレオン。

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