最新世界周航記〈上〉 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003348611

作品紹介・あらすじ

一七世紀末の海賊が残した驚くべき手記。カリブ海、南米、フィリピン、中国など世界の海を渡り歩き、敵船拿捕、都市襲撃といった私掠活動を重ねる。つねに危険と背中合わせの航海の様子と、寄港した土地の自然や風俗を、厳密な観察眼でつぶさに記す。

感想・レビュー・書評

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  • ネットで見たマンガでダンピアを知る。
    さっそく図書館で借りて読む(なぜか閉架でした。それほど古い本ではないのに)
    面白かった!訳文も読みやすい。
    すこし前にみた、「砂糖の世界史」とリンクしていてわかりやすい。身の回りのもの、ほぼ全てが動植物を原料にしていた時代に、新しい土地にいったら、有用な植物を探すことが肝要だとフランシス・ベイコンも言っている。

    ダンピアは自分のことをあまり説明してくれないので、注釈や解説を横目に読み進む。
    冒頭、いきなり海賊なのにハードな陸越えが始まる。渡河ってやはり恐ろしいことなのね。溺れて死んだ仲間も。体力勝負の世界。雨続きはあらゆる意味で不便そうで、休める場所では、まずは体や武器を乾かす、というシーンが続く。

    遠くに船をみかけたので全力で追いかけて拿捕、とか、追われたけどなんとか振り切った、など、船のスピードが事態を左右する。(そのために、ときどき船底のフジツボを除去している。)
    見つけた現地人を案内人にする、とソフトな表現だけど、実際にはどんな方法をつかって案内させたのか。(奴隷や奴隷同然の扱いをされている人たちも船にはいる。たまに脱走もしている)
    それでもスペイン人に比べれば我々は現地人によく思われている、スペイン人の街をディスったり誉めたり、とか、オランダ人は詐欺師みたいに書かれているし、時代の風がよくわかる。
    拿捕も尋問も焼き討ちも、どれも激しい暴力の世界だけど、それが当然の時代だった。

    イギリス側から出す交易品や賄賂が、服や手鏡、武器などだったのが興味深い。ダンピアはそれらを冒頭で、現地人が喜ぶような玩具を用意した、と表現している。

    はじめのほうから、よく登場する名前、バジル・リングローズ。
    ダンピアにとってかなり親愛なる人物だったようで、私もウフフと勝手な想像をしながら楽しんで読んでいたら、ラストで突然、リングローズたちが無惨に殺されて、ショックを受けた。
    こんな死にかたなの?!というか、今まで一緒に行動してたの?!(注釈の書き方から、リングローズは今はイギリスにいるんだと思い込んでいた)その衝撃が大きすぎて、なかなか下巻に入れなかったほど。

  • イギリスの私掠船の乗員ダンピアによる航海記録。1681年〜。
    略奪行為は淡々と、主に食料となる動植物についてはかなり詳細に書かれていて、略奪は日常で食料確保こそが冒険であるかのようだった。
    思った以上に「記録」であり、「資料」としては優れていると思うが、下巻はもういいかな、という感じ。

  • 原書名:Dampier's voyages;a new voyage round the world

    著者:ウィリアム・ダンピア(Dampier, William, 1652-1715、イングランド、海賊)
    編者:ジョン・メイスフィールド(Masefield, John, 1878-1967、イングランド、詩人)
    訳者:平野敬一(1924-2007、アメリカ・カリフォルニア州、英文学)

  • ●構成
    (略)
    --
     大航海時代の幕開け以降、ヨーロッパ各国の船団が、西インド(カリブ・中南米)や東インド(ケープ以東、特にインド~東南アジア)へと相次いで訪れた。それは冒険や発見、交易、さらにはそうした船を対象とした私掠船など、多様な目的をもっていた。
     本書は、イングランド人の私掠船乗組員であった著者ダンピアの航海記であり、イングランドからジャマイカに到着したところから始まり、いったん中米のパナマまで陸路で進んでからパナマ~ペルー沖の間で私掠活動を展開し、パナマに帰還した時点から開始される。本書(上巻)では陸路カリブ海側に戻ってから、中米北岸、カーボヴェルデ、南米東岸、南米西岸、パナマ、メキシコ西岸までの航海中の出来事を、詳細に綴っている。
     平易で飾り気の無い文体で日々の出来事を書きとめているのだが、特に私掠活動に冠する記述が特に注目される。あたかも散歩に行くかのごとく、当たり前のように敵国イスパニアの貿易船を襲って積荷を奪い、また食料品を調達するために海岸の街を襲撃する。恐れも、また憐憫も一切無い、純粋にモノとカネを(必要な場合は奴隷として原住民を)奪うことを仕事としていた。当然ながら目的地も、その時々に稼げる相手を対象とするのである。また、自分の乗船を自らの利害や判断によって変更することもあり、船長ではないがある程度の地位がある船員の私掠船での振る舞い振りが見て取れる。
     17世紀後期のイングランド私掠船の行動の一端が伺える一冊である。

    --
    【図書館】

  • 航海者 ウィリアム・ダンピアの航海記
    海賊として著名だが、コレを読むと観察者、航海記録者としての評価があってもいいと思う。

    それにしても、食糧補給と船底の清掃のおおいことよ!
    大事なんだなぁ と改めて思う。

    疑問・・・ダンピアって船のどの階級で仕事をしていたのか?
    それにしても、地名のカタカナ書きが・・・。
    カンベンしてほしい^^;

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