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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784003357415
みんなの感想まとめ
近代日本美術の歴史とその複雑な背景を探求する本書は、伝統と近代の相剋をテーマに、戦中・戦後の美術の変遷を著者の独自の視点で描いています。著者は、美術評論家としての経験を通じて、日本画と洋画、旧派と新派...
感想・レビュー・書評
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著者の土方定一は神奈川県立近代美術館の館長を長く務めた人で、美術評論家連盟の初代会長として戦後の美術評論の世界で絶大な影響力を持った人だ。本書のモチーフを一言で言えば近代日本美術における「伝統と近代の相剋」ということになろうが、日本画と洋画が独立して発展してきたという我が国固有の事情とも相俟って、それは日本画と洋画の相剋であると同時に、日本画、洋画それぞれにおける旧派と新派の相剋という側面を合わせ持つ。
享保期に始まる日本美術の西洋美術との遭遇は、画家の心象や観念を「表現」する伝統的な絵画観から、ルネッサンスが確立した「写実」への開眼であったが、皮肉なことにそれは西洋美術が外界の「写実」から内的世界の「表現」へと関心をシフトさせていった時期と重なる。この「ねじれ」が日本の近代美術史を複雑にすると同時に多くの画家のドラマと葛藤を生んだ。西洋美術の様々な様式の流入を「移植」と言い、その軽佻浮薄を批判する著者の問題関心は、「移植」が日本美術の内発的な近代化といかに切り結ぶかという点にあった。この問題は今日なお未解決と言えるだろう。
他方で本書は著者のアナーキズムへの傾倒と詩人としての文学的感性が色濃く反映された著作でもある。作品評価に著者の社会変革への希望と画家の人格や内面への共感が過剰に織り込まれていることは否めず、現代美術を論じた後半は特にその傾向が強い。戦争画について全て「文化ファシズム」と切って捨てるのも一面的と言わざるを得ない。
「アッツ島玉砕」を描いた藤田嗣治は「国のために戦う一兵卒と同じ心境で描いた」と語ったが、戦争協力者として糾弾されることに嫌気がさして日本を去った。そうした戦後の一方的な風潮を助長する上で土方の果たした役割は小さくない。藤田の画業はフランスで高く評価されたが、日本で評価されたのは彼の死後である。その藤田は「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」と語ったという。昨年神奈川県立近代美術館のルーツである鎌倉館が閉館したのは象徴的だが、土方の功罪を含めて戦後の「美術評論」を冷静な目で総括してもいい時期だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の近代美術史の流れが解説されている。
「聞いたことはあるけれど、いつの時代のどんな位置づけの人がわからない」という人物が一通り登場する印象。
美術の専門知識のない私にも分かりやすかった。
手もとに置いておきたい本。 -
(2010:清水正之先生推薦)美術を精神史として読み解く楽しみ
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【書店ぶらぶら】
とても読みやすい。 -
本書は、昭和期に活躍した美術評論家で
多くの美術館の運営にも携わった著者が
日本の近代美術を概観する著作です。
岡倉天心、フェノロサに始まる近代日本画と黒田清輝に始まる洋画。
そして、高村光雲に始まる近代彫刻。
著者は、個々の作家や作品に注目しながらも、
同時に美術史の大きな流れを描きます
また、それら明治以降の近代美術の基礎を築いた、
亨保期の蘭学・蘭画の継受についても触れられているのも、本書の大きな特長です。
朦朧体と岡倉、黒田の関係についての指摘や
芥川龍之介による中原悌二郎への称賛
など、どれも興味深い記述ばかりでしたが
とりわけ9章で論じられる「社会思想と造形」は印象深く
小川芋銭、北川民次、野田英夫などはキチンと見たことがなかったので
今度、画集を見てみようと思いました。
およそ半世紀を経てもなお瑞々しい文章によって、
日本の近代美術の豊潤さを語る本書。
近代美術に関心がある方はもちろん
絵画や芸術を愛するすべての方にオススメしたい著作です。 -
もう一回読む
土方定一の作品
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