映画とは何か(下) (岩波文庫)

制作 : 野崎 歓  大原 宣久  谷本 道昭 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 57
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003357828

作品紹介・あらすじ

映画批評で新時代を開いたアンドレ・バザン(1918‐1958)。下巻には典型的なアメリカ映画である西部劇や映画とエロティシズムに関する考察、デ・シーカやロッセリーニらイタリアのネオレアリズモを擁護した論考を収録する。作品との緊張に満ちた対話を続けた本書は、今もなお映画と文化を論ずる際の源泉である。

感想・レビュー・書評

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  • 「映画は他のすべての芸術にまさって、愛にふさわしい芸術であると私は思う」――今回は、前回紹介したアンドレ・バザン『映画とは何か』の下巻を紹介します。

     映画の本質を論じた考察が収められていた上巻に対して、下巻では主にアメリカの西部劇や映画におけるエロティシズム、そしてイタリアのネオレアリズモなど、具体的な事象が取り上げられています。そのなかでも、ネオレアリズモを擁護するいくつかの評論は、とりわけ興味深いものになっています。

     第二次世界大戦直後、社会的に混乱していたイタリアにおいて、リアリズムを志向し、現実を映しだそうとする一連の映画作品が生まれました。そうした潮流が、のちに「ネオレアリズモ」と呼ばれるものです。

     バザンは、このネオレアリズモ作品の美点を「現実への愛と拒絶」という言葉で特徴づけています。彼によれば、これらの映画は混乱した社会の現実を「ユーモアや風刺、詩情を込めて、暗に、あるいははっきりと拒否」するのですが、現実を糾弾しつつも「悪意をぶつける」ことはしません。だからこそ、私たちはイタリア映画を見たあとで、良い気分になり、また世の中の仕組みを平和的に変えていきたいと思わせられるのだとバザンは言います。

     そのようなネオレアリズモの代表作として本書でもっとも引き合いに出されるのが、デ・シーカの『自転車泥棒』です。バザンは本作が、現実の物事をあるがままに存在させ、「それぞれの固有性を尊重しながら愛情を注いている」がゆえに称賛に値すると言います。このような、あるがままの現実への愛情をもって、映画は私たちの心を動かすのだとバザンは考えているのでしょう。

     上巻と併せて、芸術や映画に関心のある方にぜひオススメしたい一冊です。
    (ラーニング・アドバイザー/哲学 KURIHARA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1632769

  • 2015年8月新着

  • 難解とは感じつつも、上巻に比べるとイタリア映画を中心に、個別の作品や監督について批評している印象があって、読みやすくなった印象がある。単純な良し悪しではない映画批評を見た感じがして、そういった点が面白かった。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784003357828

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著者プロフィール

著者アンドレ・バザン(André Bazin)1918年4月18日生まれ。40年代半ばからシネクラブ活動と並行して、『ル・パリジャン・リベレ』、『レクラン・フランセ』、『エスプリ』等の紙誌に映画評・映画論を寄稿。48年にシネクラブ「オブジェクティフ49」を組織し、翌年「呪われた映画祭」の開催にも尽力する。51年に『カイエ・デュ・シネマ』を創刊し、後にヌーヴェル・ヴァーグを担うことになる若き批評家たちが集う。主要論考をまとめた『映画とは何か』全4巻の刊行を前にして、白血病により、58年11月11日歿。2017年末にフランスで全集の刊行が予定されている。

「2015年 『オーソン・ウェルズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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