饗宴 (岩波文庫)

著者 : プラトン
制作 : 久保 勉 
  • 岩波書店 (2008年12月発売)
3.54
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  • 96レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360132

作品紹介

原題の「シンポシオン」とは「一緒に飲む」というほどの意味。一堂に会した人々がワインの杯を重ねつつ次々にエロス(愛)讃美の演説を試みる。最後に立ったソクラテスが、エロスは肉体の美から精神の美、さらには美そのものへの渇望すなわちフィロソフィア(知恵の愛)にまで高まると説く。さながら1篇の戯曲を思わせるプラトン対話篇中の白眉。

饗宴 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「コーラン」を読み終わったので哲学書再読キャンペーンを勝手に開催(といっても数冊)まずはやっぱり『饗宴』。最初に読んだのは澁澤龍彦にかぶれていた18~20代の頃だったと思う。澁澤龍彦のエッセイのどれかに『饗宴』の中でアリストファネスが語る「愛慕の説」について言及したものがあって(両性具有関係だったかな~もう覚えてないや)それで興味を持って読んだのでした。当時、うまくいえないけどなんていうか、目からウロコみたいな気持ちにさせられる説だったなあ。

    簡単に言うと、もとは完全体(球体で手脚それぞれ4本づつ)だった人間が神の怒りに触れて真っ二つにされたのが今の人間の姿、だからもう半分を探してるんだよっていう、ロマンチックさがあり。のちに映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の中でも「The Origin Of Love(愛の起源)」として歌われていて感動したものでした。

    もちろんその他の部分も興味深く読めます。饗宴というのは要するに飲み会、女子会ならぬインテリのオジサマたちが集って高尚な(?)お話をする会ではあるけど、今回のテーマは「愛(エロス)って何?」です!っていう、なんだろね、言ってること実はガールズトークと変わらないような気もちょっとしたり(笑)

    しかも古代ギリシャのオジサマたちの間では異性愛より少年愛のほうが高尚とされているので、ちょいちょい腐女子みたいな発言も。現代語でBL風に訳すと「アイスキュロス先生も書いてるけど、パトロクロス×アキレウスのCP最強だよね!パトロクロスがヘクトルに殺されたから仇とるとかアキレウスの愛深すぎる~!アキレウスのほうが年下で美少年でヒゲもなかったから受なんだよね!」みたいな(※意訳すぎ)

    終盤ではソクラテスの愛人であるところの美青年アルキビアデスが酔っぱらって乱入、痴話喧嘩というか惚気なのか愚痴なのか、かつてソクラテスに抱き着いて一晩過ごすも何もしてくれず、だったら逆がいいのか!?攻にまわればいいのか!?と思ったけどそれでも相手にしてくれず、ひどいと思わない!?という話になるのですが(※意訳)、つまりこれこそが「肉体ではなく精神のみの愛」「美を愛でるだけの愛」=プラトニック・ラブ!!!なのですよね。語源ですから。そういう本です(笑)というか、基本的に会話劇になってるから、小難しくなくてとても読み易いのがいいですね。

  • 面白かった。滑稽だけど、含蓄深いエロスに対する讃美の饗宴。
    しかしまあ少年愛が徳の高いものとみなされているのは笑うなあ

    ソクラテスが巫女に諭された話では、美が仏教の言う空のような語り方をされていて興味深く読みました。美の本質を観るに至るって、悟るってことじゃないのか。
    そのために「少年愛の正しい道を通」うってのがさすがです~
    ソクラテス先生を落とそうと誘ったのに全然のってくれないんだよこの人まじすごいよってぶっちゃけちゃう最後の語り手アルキビヤデスがもうすごいなあ笑 古典の自由さが好きよ

    モーリスで天王星人がゲイとされる所以、
    Hedwig And The Angry Inchの大好きな曲(The Origin of Love)のモチーフとなった神話?等、
    元ネタが読めて嬉しかった。
    ゲイ作品(だけではないだろうが)に多大なる影響を与えている偉大な哲学書。

  • もっと難しいのかと思っていたけど、読んでみるとそうでもなく、面白かった。ギリシャ語がわかれば、詩的な面白さもわかるんだろうけれど…翻訳の限界。序文は解説なので、本文を読んでからのほうが理解しやすい。プラトン、というかギリシャ古典をまともに読んだのが初めてなので、ここから周辺へ広げていきたい。
    しかし、どうしても、閉じられたサロンでの机上論、と見えてしまうが、ソクラテスは実践してた人らしいので、やっぱ当時としても特別というか変わり者だったんでしょうね、だからすごいんだけど。

  • フィックションだが、登場人物がリアルすぎて、しかも紀元前。本当の話のように…

    この中で出てくる、ソクラテスの雄弁さと説得力ある講釈、その弟子プラトンも侮れない…

    エロースとはをテーマに書かれる愛=人間⇨智慧。

  • 愛について
    恋について

    最近読むのは
    何か、
    かたちを探しているからで
    自分の中で答えを定義したいから


    ヘドウィッグに涙して
    思い出して読んだプラトンさんは

    やっぱりプラトン

    お酒の席での
    こういう話は昔から
    あるのね

    と親近感。

  • エロス(愛)について書かれている対話篇であるプラトンの「饗宴」ですが、概ね次のような事が書かれています。

    「本質的な美そのもの」に到達するためには順番がある。最初は人間で美しい人―美しい肉体―を求めていくこと、しかし肉体的な美だけを追い求めるのではなく、次には職業活動、制度のうちにある精神的な美を求め、最後には学問に至り、永久的かつ独特無二の存在である美そのもの、美のイデアを求めていく、という具合に。そしてそれぞれの段階―美しい人を求める時、職業活動、制度のうちにある美を求める時、美そのものを求める時、そこにはある原動力が働いている。それがエロスである。エロスは美しいものを追い求める愛である。美を求める人は、自らが欲する美が欠けているからこそ、それを求めるのである。そしてエロスは美を求める人と美の中間にいて、目的の美へと導いていくが、欲すれば、最終的には美のイデアへと連れて行くのである。

    私事ですが、10年前に本書を興味本位で購入しました。それまでに哲学の本を読んだこともなければ知識もなく、当然ながらエロスやイデアのことも知りませんでした。結果、内容が全く理解できず、そのまま本棚にしまいこんでしまいました。10年経ち、久々に読もうと再度手に取りまして、読了までに哲学史の本や哲学用語集などでソクラテスとプラトンの人物像や言葉の意味を、ある程度は理解した上で本書を読みまして、やっと上記のことがわかりました。失敗談として参考までに記載させて頂きます。

  • 学生時代に読んだっきりの本書を再読。
    さっと読むと普通に「ふむふむ」だったところも、今読むと「え、それは飛躍だろう」と思うことがちらほら。

    二千数百年前の本を今読んでなんやかや考えることができるなんてすげえなあ、と、内容に関係ないところで感動する。やるなプラトン。

  • 欲望というものを如何に考えるか、という対話篇で、
    いくつかの主張が各論者によってなされる。
    ソクラテスのものは美そのものを観取するのだ、というイデア論の先駆け的な主張。

    最後に、アルキビアデスの乱入が描かれたのは、
    アルキビアデスとソクラテスの関係性を書き換え、ソクラテスの立ち居振る舞いをポジティヴに描きだそうとした、というようなプラトンの政治的意図があるか。

  • 【本質的な恋愛論を語る】
    『饗宴』は、パイドロス、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストパネス、アガトン、ソクラテスの6人が、ギリシア神話のエロス神を称えるという形で進んでいく。

    アリストパネスが説く恋愛論は、元々男女一緒だった肉体だったが、神によって引き裂かれ、その片割れを探すために恋愛をし続けるものであるが、フィクションチックであるものの、面白い。
    http://shira-chan.deviantart.com/art/Plato-s-Symposium-298480016

    ソクラテスは、生殖の目的は不死のためだという。自分の分身を作り続けることで、滅びるものは生き続けることができる。だからこそ自分の分身を守るためには、自分の身を投げ捨てることを厭わない。

    恋愛については、「肉体美→精神美→思想」へと考えを巡らせていくことが大事だという。思想へ恋愛が至った時、本質的な「愛」を理解し、本当に愛する人を見つけ、一生愛することができるとする。

    現代に言い換えれば、「かわいいなぁ/抱きたいなぁ」から入ることはなんら悪くない。しかし、その後相手の精神/教養までにも美を見出し、それを抽象化させ「愛」の思想へと発展させる必要がある。思想まで辿り着いた時、「他人になんと言われようとこの人を愛している」という状況が出来上がる。

  •  死ぬまでに読んでおいても以下略。有名な部分の前後だけはぱらっと読んでたけど、最初から読んではなかったんよ。読んだっつってもさらっと眺めただけで、内容は理解してないよ、日本語でおk状態。

     この年になってようやく気付いたけど、この系統は序説とか解説はすっ飛ばすべきだわ。本編に入る前になんじゃこら、ってなって結局読めないまま放置する。内容わかんなくても、とにかく本編を読むことに努めた方が全然ましだわ。
     ええと、愛、エロスについてとにかく褒めまくる宴会のお話。
     ちゃんとメモ取りながら読めばよかったけど、読み流したから、解釈違い、勘違いが多いとおもう。
     ファイドロス、パゥサニヤス、エリュキシマコス、アリストファネス、アガトン、ソクラテスの順。
     ファイドロスさんが言うには、エロスってすげー偉大なのよ、最古の神なのよ、少年を愛するのがそのエロスを得ること?なのよみたいな。
     パゥサニヤスさんは、エロスってのは二種類あってね、天上の愛と万人向けの愛でね、天上の愛がすごいのよ、みたいな。
     エリュキシマコスさんはお医者さんで、医学的見地からのエロス賞賛。エロスってのはいたるところで大切なのよ、みたいな。
     アリストファネスさんの部分が有名だよね、人間はもともと顔を二つ、手足を四本持ってたのよ、完全なる一になるために、運命の相手を探すのよ、それを成就させるのがエロスなのよ。
     アガトンさん、エロスってのは一番美しいし、一番幸い。
     ソクラテスさんのお話は、ディオティマという女のひとから聞いたお話を伝えてる感じ。エロスってのは完全無欠じゃねぇよ、むしろ美しくもなく醜くもなく、善でも悪でもない、その中間にいるのよ。じゃないと、美しいものを求めたり、善なるものを求めたりしないでしょ。求めることが愛でしょ、と。
     で、ソクラテスの演説が終わったときに、アルキビヤデスさんが乱入してきて、「みんな聞いてソクラテスってひどいひとなの、でもすごいひとなの!」とぶちかます、と。正直、最後の「僕はこんなにもソクラテスが好きなのにアガトンといちゃいちゃして悔しい!」っていうアルキビヤデスさんに全部持ってかれた感がある。
     抜粋、ソクラテスの演説中のディオティマさんの言葉。

    「(前略)こういう訳ですから、正しき意見〔ドクサ〕とは明かに智見〔フロネーシス〕と無知〔アマテイヤ〕との中間に位するようなものというべきでしょう。」

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