国家〈上〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 藤沢 令夫 
  • 岩波書店
3.71
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本棚登録 : 1380
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360170

作品紹介・あらすじ

ソクラテスは国家の名において処刑された。それを契機としてプラトン(前427‐前347)は、師が説きつづけた正義の徳の実現には人間の魂の在り方だけではなく国家そのものを原理的に問わねばならぬと考えるに至る。この課題の追求の末に提示されるのが、本書の中心テーゼをなす哲人統治の思想に他ならなかった。プラトン対話篇中の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • ソクラテス先生の僕が考えた最強の国家の巻。

    プラトン哲学の集大成の呼び声も高い本書。
    正義とは何か?という導入部から始まっており、
    理想の国についての議論に移っていくという流れだが、
    扱うテーマは職務や結婚、戦争など多岐に渡っており、
    男性も女性も分け隔てなく向いている職務に着き、
    幸福を皆で共有し、それを実現するために支配者は
    真理を追究する哲学者であるべきと結論を出している。

    個人的に印象に残ったのは以下の二点。

    一つ目は、神々の不道徳な逸話を問題視している点。
    ギリシア神話の神々のやることがひどいというのは、
    「図解雑学ギリシア神話」の感想に書いたが、
    神々を人々の道徳の規範とすべきという点において、
    プラトンも問題視していたということが分かる。
    彼らの後継者であるローマ帝国の支配者が、
    絶対的に正しいキリスト教の神を選択したのは、
    当然の成り行きだったのかも知れない。

    二つ目は、早くも男女平等を説いている点。
    この時代英雄と言えば戦争で活躍した者だったが、
    その権利を女性にも平等に与えようとしており、
    女性が戦争の訓練をすることを滑稽だとしつつも、
    スパルタの訓練法も最初は馬鹿にされていたが、
    今では誰も笑わなくなったと言う論に舌を巻く。
    ただ、ギリシア人のみで結束することを説き、
    異民族は奴隷要員としているのは残念。

    下巻ではどんな議論がなされるのか楽しみ。

  • 【政治学の参考文献】
    古代ギリシャの哲学者・プラトン(前427~前347)の代表作。
    理想国家について論及した世界最古の政治学の書と呼ばれるもので、後の西洋哲学に絶大な影響を与えたらしい。
    真の政治は哲学(学問)に裏付けられていなければならず、政治的権力と哲学的精神とが一体化され、多くの人々の素質がこの二つのどちらかの方向へ別々に進むのを強制的に禁止しない限り、国々にとって人類にとって不幸の止む時はないという。

  • 読了。
    5巻まで。プラトンで手に取るべき本を誤った気がしないではない。ソクラテスの態度については、なるべく若いうちにこのひとを知り、そこから学ぶべきだろうと感じられた。読み進めるほどに、ゲーム(国家制作シュミレーションゲーム)プランニングという印象が強まった。理想国家像は、ひとつひとつ理詰めされ進行していくほどに狂気の国家のようにわたしには感じられたが、それはわたしが現代民主主義の狂気のなかにいるせいなのか、判別できなかった。多分に、狂気なき現世政治など可能でないのだろう。ソクラステは最低の政治形態に僭主制を挙げたが、わたしには村上龍の愛と幻想のファシズムなどはもっとも正常に感じられた覚えがある。

  • ソクラテスみたいな人と仕事したいと思わせるような内容です。比喩を多く用いて説明しているので分かりやすいです。タイトルは国家ですが、上巻は国家論を展開するための準備段階といった感じです。

  • ソクラテスの口を借りてプラトンが主張していることは、結局のところ「神の視点」から脱しきれていないように感じる。

    善い人間と悪い人間を判断することについて、本書の中でソクラテスは
    「しかし人々はその点についてよく判断を誤り、実際には善い人間でないのにそう思ったり、あるいはその反対だったりすることが、しばしばあるのではないか?」(p41)
    と言っている。それなのに、知を愛する真の支配者・哲学者は決して判断を誤らない、とでも言いたげな後半の主張は矛盾している。

    各人が分をわきまえて任に就く(適性に応じて働く)とか、支配者となるべき人物を支配者に据える、などというような考え方も示されているが、支配者に適している人物を判断し決定し教育するのは誰なのか?その判断を正しく下せるのは「神」に他ならないのではないか……?

    ともあれ、大昔のギリシア人たちの会話(=プラトンの思考過程)を眺めるのはおもしろい。

    思っていたより訳文が平易なのも驚いた。教科書などのプラトン解説よりもずっとわかりやすい。

  • 古代哲学の重要人物であるプラトンの対話編の一つ。対話を通して“正義”について明らかにしようとする著作であり、プラトンの重要な概念(イデア)に関しても語られている。この著作では、プラトンは、人間が正義を実現する状況を分析するために、比喩として巨視的な対象として社会(国家)における正義の実現を分析する。この著作は哲学の古典であり、また対話篇の形をとっていることからも読みやすく、初めて哲学の議論に触れるには良いと思います。

  • 大学生のうちに基盤固めを!と思い手に取った『国家』
    10代のうちに読んでおきたかったのでまあまず半分読了できたことに安堵です。
    文章自体は思っていたほど硬くはなくて、けれども対話のひとつひとつを咀嚼しながら読むのはなかなか時間が掛かりました。
    すぐ疲れてしまうし(笑)
    でも先人たちの知恵を少しでも身につけていけたら、と思うので(下)巻も頑張ります。
    ソクラテスの言う国家とは、みんながなにも持ってなくて、つまり全て国家の物、社会主義国家が理想とされているのかな、とおもってしまいますが、もっと勉強すればそうではないのかもしれません。

    いかんせん無学のため、すべてを理解できた自信はさらさらありませんが、もっともっと勉強をしていく中で読み返したり、思い出したりしたい、自分にとって大事な一冊になりました。
    正義とは何か、問い続けていきたいと思います。

  • 2階集密書架 : 131.3/PLA/1 : 3410162044

  • この対話篇が後の政治思想に与えた影響は大きい。魂と正義の問題とか、イデアの話から政治のシステムが論じられていることはちょっとおもしろい。それはたとえば、同じギリシャ時代にアリストテレスがやったポリスの制度の調査から『政治学』を検討する方法とは異なるものだった。そもそも、個人が行う正義の話から始まって最後は神話的な「エルの物語」で締めくくられる『国家』のテーマの中心が政治だったとは、一概に言えない。
    ときに読者を挑発しているのかと思われるほど大胆に描写される理想国家の解釈には諸説ある。そのいろいろな解釈は(20世紀になってからも)ある者がプラトンを批判したり、さらには理論の非政治化が引き起こされる原因にもなっているという。

  • 積ん読していたものに手を出しました。。。
    詳細は下巻に。

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著者プロフィール

前427-347年。古代ギリシアの哲学者。代表作に『ソクラテスの弁明』、『クリトン』、『ラケス』、『饗宴』、『国家』など。

「2017年 『リュシス 恋がたき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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