弁論術(アリストテレス) (岩波文庫 青 604-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360484

作品紹介・あらすじ

アリストテレスは弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義、プラトンが経験によるにすぎないとした従来の弁論術も、その成功の原因を観察し方法化することによってとして成立させ得ると主張する。後世の弁論術、修辞学に大きな影響を与えたギリシア弁論術の精華。

感想・レビュー・書評

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  • とても読むのに苦労しました。。。
    弁論術が人生の成功の鍵を握っていたギリシャ時代に書かれたノウハウ本ですが、弁論術は、現代においても、とても必要なスキルだと思いました。
    ただ、今の私には難し過ぎました(汗)
    ぜひぜひチャレンジして、読んでみてください。

  • 弁論術を否定するのではなく技術として捉え、体系的にまとめられた古典。
    プラトンが否定した弁論術とアリストテレスが展開する弁論術とは一致しない。

    説得を主眼におき、「人の心」が詳細に類型化されている。
    富や血統といった気質的なもの、
    怒りや穏やかさ、妬みといった感情。
    そしてその心を動かすためのテクニックとしての弁論術。
    比喩や譬えを巧みに織り交ぜること、冗談やまじめさの適用。

    2500年経った今でも「言葉をどのように扱い説得するか」という本質が色褪せないことに驚く。
    高度に情報化されデータドリブンな意思決定が可能になった現代であっても、個人の認知フレームには偏りがある。
    それ故、データをそのまま提示したところで受け取り方は十人十色、意見をまとめあげ説得していくにはやはり弁論術のようなものが有効だろう。
    人間の本質はそう簡単に変わらないということか。

  • 情報量が多い。
    ただ有益な情報は多い。
    政治家や営業職など、人を説得する職の人は時間をかけて理解する価値があると感じる。

    以下、ためになったポイント。

    感情は問題の解決になんら関係が無い。

    弁論術の仕事は説得を成し遂げることではなく、それぞれの問題にふさわしい説得(証拠立て)方法を見つけ出すこと。
    この点は他のどの技術でも同じ。例えば医術は患者を完全に治すことではなく、回復可能なところまで導くことにある。

    説得(証拠立て)の3種
    ①論者の人柄(最も強力)
    ②聞き手の感情(同情や共感)
    ③言論そのもの

    説得推論
    問題特有の論点を知る。

    声による演技が弁論の大きな効果をあげる。
    大きさ、高低、リズム

  • アバタロー氏

    《アリストテレス》
    BC384~322年 古代ギリシアの哲学者
    プラトンの弟子
    当時の哲学を、倫理学、自然科学を始めとした学問として分類し体系を築いた業績から「万学の祖」とも呼ばれる
    49才アテナイで学園のリュケイオンを開設

    《内容》
    ○伝える力を決定づける三大要素
    ・3つの要素は話し手の人柄、聞き手の人柄の気分 、話してる内容の正しさ
    ○感情を動かし 人を動かすテクニック
    怒り、恐れ、憐れみ
    ○説得力を高める根拠の作り方
    説得推論とは根拠に基づいておそらく~だろうと論じること
    AだからBである

    《感想》
    紀元前からこんなテクニックが使われていたことが凄い
    弁論する立場の人には為になるだろう

  • 2022/3/22
    ・民主政ギリシャ下で、裁判での告発と弁護、議会での勧告、演説を効果的に行うために弁論術が発達した。欧米人のディベート好きの下地と思われる
    ・人が説得されるのは信頼に足る人柄エトス、聞き手の感情パトス、論理ロゴスの3つによる。信頼されるには思慮深さ、誠実さ(品性)、味方であること(好意)の3つが必要。感情は特に裁判での意思決定と行動させるために必要、特に距離が遠く行動が見込めないことをさせるためには必要
    ・民主政を籤によって支配職を分け合う国制としている点が興味深い。選挙による参加はやはり間接的過ぎて、一般市民が司法、行政、立法に直接的に関わる、ただし一度に全員は無理だから籤で輪番でするのが原始的な民主政。ギリシャとその後継の都市国家では祭司職含め行政職を籤によって一定任期で務めていった
    ・弁証術のロジック以外に表現方法にも言及し、修辞学レトリックの嚆矢となった
    ・ファクトベースでなく、蓋然性、状況証拠をもとにした弁論術である点が、実用的でなく現在には通用しない点。

  • [要約]

    本書は、アリストテレス(前384-前322)による成功する弁論術の方法論を著したものである。
    アリストテレスは、弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義し、「その成功の要因をつぶさに観察し方法化することで、<技術>にすることができる」と論じた。
    彼の主張は後世の弁論術や大学の自由七科の一つである修辞学の発展に多大な影響を与えた。

    (※書籍の要約を一部引用。)

  • 世界的な古典的必読書にもかからず未読だったため読んでみた。

    2500年前の本なので読み難さはある。論述内容が現代では独断的で陳腐化しているものもある。しかし「弁論術」という観点から言葉や行動を一つひとつ定義し分類し推敲し結論付する一連の作業は西洋学問の基礎となったことが読みながら感じ取れる。「客観的かつ論理的に考える」とはアリストテレスが確立した概念といえよう。

    実用としてではなく教養として、そして知の再発見として12世紀にイスラム社会から西洋社会へ逆輸入された興奮を(浅くだが)疑似体験しながら読むことが出来た気がする。

  • アリストテレスは、弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義しており、本書では聴き手を如何にして説得するかを体系立てて解説された書籍である。本書は、説得の三種(3手段)とされる①人柄にかかっている説得、②聴き手の心が或る状態に置かれてること(感情)によるもの、③言論そのものを説明した3巻構成となっている。換言すると、弁論家は、①言論に着目して、それが証明を与え、納得のゆくものとなるように配慮するだけではなく、②自分自身を或る人柄の人物と見えるように、そして同時に、③判定者にも或る種の感情を抱かせるように仕上げをしなければならないとする主張に対し体系的な解説がなされている。全ての内容において理解に不足する箇所が多々あるが、特に第3巻で解説された説得手段、表現方法、そして弁論の配列についてはビジネスに直結する箇所として共感したと同時に、紀元前300年超の時代に語られたことが現代においても語り継がれており、実際にビジネス等の世界でも実用されている点に感銘を受けた。繰り返しになるが、以下の解説を引用して結びたい。「判定者たちはすべて、自分自身がなんらかの感情を抱くことによって、或いは、論者を或る人柄の人物と受け取ることによって、或いは、弁論による証明が与えられることによって、説得されるのである。」

  • 雑多な言葉が溢れる現代にこそ読むべきギリシャの古典的名著。
    言葉を扱うには技術力を要する。それが政治家、言論家、文筆家など、言語を自らのプレイグラウンドとしておく者なら習熟しておくべき基本的テクニックが記されている。
    ネットを通じて誰でも自分の言説を広められる今にこそ、アリストテレスの言葉に注意を向けるべき。
    ホメロスの文章には改めて舌を巻いた。
    くどい表現に陥らず、直喩や暗喩を駆使して高級な語りを行う。
    無生物を生あるものに転換する力が比喩というアリストテレスの意見には百回ぐらい納得した。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00191835

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著者プロフィール

なし

「1997年 『天について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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