生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

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レビュー : 148
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360712

感想・レビュー・書評

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  • ブクログで見かけて気になったので購入。

    セネカは古代ローマ時代の哲学者。高校世界史で学んだのが懐かしい。

    本書は「生の短さについて」「心の平静について」「幸福な生について」の3篇で構成される。それぞれリンクする部分が多く、内容の重複感は否めない。あと、多くのローマ人が引用されるけど知らない人ばかり…w

    それでも、案外楽しく読めた自分がいた。文章から感じるセネカの印象は「気の良い、物知りおじいさん」と言った感じw

    さすがに読みにくさは否めないけど、そこはむしろ古代ローマの書籍を日本語で読めることに感謝するべきかな。

    以下、各エッセイの所感。

    表題作の「生の短さについて」。

    「人生は浪費すれば短いけど、十分に活用すれば長い」というのは、本当にそのとおりだと思う。

    過去を振り返ることは、平静な精神を持ったものの特権、という過去観も面白い。

    静謐を生きていない人は、余暇が怖い。だから、酒と欲望に溺れて「時を短くする」。という説明には、どこかドキリとくるものがあった。

    宴にうつつを抜かしすぎるローマ人を憂いたり、その悪習はギリシャ人のものだと言ったり、そのヤレヤレ感になんだか愛くるしさを感じてしまったw

    次に「心の平静について」。

    人生は無から始まり、無に終わる。我々は何も所有しないし、所有されるべきではない。いま持っているものはいつ無くなっても構わない。そんな思考は、あらゆる悩みが吹き飛ぶようでとても良かった

    それでも、時たま酒に狂うのも悪くはない、と説くのは遊びがあっていいね。「正気の人間が詩作の門を叩いてもむだ」というプラトンの引用は直球過ぎて笑えた。

    孤独のみを推奨せず、社交の時間も大切であると書かれる。「孤独は群衆への嫌悪を、群衆は孤独への倦怠を癒やしてくれる。」というのはバランスが取れていて共感できる。

    人生の目標について、難しすぎずなんとか達成できるものが望ましいとあり、現実味があってよい。

    最後に「幸福な生について」。

    倦怠を遠ざけるために日々の実務に注力することが推奨される。置かれた場所で咲く的な考えは、実があってとても好き。

    (書評ブログの方も宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%A1%E3%81%AB%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%88_%E7%94%9F%E3%81%AE%E7%9F%AD%E3%81%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6_%E3%82%BB%E3%83%8D%E3%82%AB

  • 善く生きれば人生は短くないと説く短い本。
    セネカと言えば、ローマ帝政の初期の哲学者で、イエス・キ1とほぼ同時代を生きた人です。そのセネカが書いたのがこの本で、人生は短いと嘆く多くの人達に対して、「われわれは、短い時間を持っているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、最も偉大な事をも完成できるほど豊富に与えられている」と説いています。

    これは、2000年前のローマの時代の言葉ですが、現代でも十分に通用します。仕事と遊びが繰り返す毎日を送り、いつの間にか季節が巡り、年を取った自分が一体何をしてきたのだろうと思うことがあります。こんな疑問が湧くこと自体が、時間を浪費している証拠なのかもしれません。今からでも遅くないので、セネカの言葉に従って、充実した毎日を送りたいものです。

    ちなみにセネカは、皇帝ネロに自殺を命じられます。
    自分自身の運命を予期していたからこそ、自分の大事な時間を善く生きたいと願っていたのかもしれません。

  • 生の短さについて、幸福な生について、心の平静について、の三篇である。マルクス・アウレリウスの自省録と同様セネカも、快楽や欲望に溺れたり、こだわり過ぎないように説いている。人間は無から生まれて無に還っていく。従って、その間に得られたものや失ったものは全て重要なものではないとする。共感する。

    また、他人の行状を非難したり気に病むような時間の余裕はないとも言っている。セネカの時代から、人は時間の大切さを知らず、あたかも永遠に人生が続くかのように日々を無為に過ごしていたようだ。多忙の中に身を置く中で、本当に大切なものを見失い、老いてからそれを嘆いていたようだ。まさしく現代人と同じである。アウグストゥスのような人物でさえ、日々の仕事に忙殺され、余暇を求めていたようだ。

    私達は普段「自分の人生」「自分の時間」を生きているのだろうか?それとも、誰かの人生、誰かの時間を生きているのだろうか?もし自分の人生を生きていないなら、それは不幸なことだとセネカは説く。仕事に縛られ、忙殺された人生ではなく、自分の精神を、心から為したいことに向けよと言う。自分という船の舵取りをせよということだろう。こちらも、大いに共感できる。

    人生は短い。にもかかわらず、現代人は様々なものに縛られてばかりである。過度に情報化された社会の中で「かくあらねばならない」という妄想にとりつかれている。私はその縛りから解放されて、自分の心を知り、それに従った人生を送りたい。そう思った。

  • 時々読み返している本の1つ。いつもは表題作「生の短さについて」だけを読むことが多いが、今回は通読した。

    ストア派の思想は原始仏教のそれとよく似ている、という印象を強く持った。同じ古代西洋思想でも、原始キリスト教とはだいぶ違う。ちょうどアウグスティヌスの『告白』も読んでいたのだが、両者を比べてみると、キリスト教の「絶対他力」に対し、ストア派の方は「自力救済」の路線が明確である。
    自力に重きを置く思想とはいえ、ストア派の思想は「人事を尽くせば、自分の人生、全て思い通りになるんだぜ」といった類のものでは、もちろんない。むしろ「自分の運命がどうなろうとも、それを落ち着いて受け入れられるだけの心の強さを鍛えよう」という思想だろう。その点に原始仏教との類似性を強く感じた。

    ストア派的な不動心を育てるには、古典を通じた過去の賢人たちとの対話が導き手とはなるものの、究極的には、自分自身の理性によって、日々揺れ動く心を制御していかなければならない。
    個人的には、自分の(あるいは人間の)理性をそこまで信頼することができないので、ストア派の思想は、言ってしまえば「人間の傲慢」のように感じることもある。
    しかし、セネカの『生の短さについて』を読むたびに、「自分の日々の過ごし方はこれでいいのだろうか?」と見直す機会を持つことができるし、座右の銘にしたいパワフルな言葉を数多く見つけることもできる。「ただちに生きよ」(p.32)は、今回新たに感銘を受けたフレーズだった。

    今後も繰り返し紐解くことになる1冊だと思う。



    以下は抜粋。

    ・生の残り物を自分のためにとっておき、もはや何の仕事にも活用できない時間を善き精神の涵養のための時間として予約しておくことを恥ずかしいとは思わないのであろうか。(p.18、「生の短さについて」より)


    ・汗牛充棟の書は、学ぶ者の重荷になりこそすれ、教えにはならない。多数の著作家のあいだを当てもなく渡り歩くよりは、少数の著作家に身を委ねるほうがはるかにましなのである。(中略)それゆえ、ひけらかすためではなく、十分なだけの書物を買い求めるがよい。(p.101、「心の平静について」より)


    ・こうも言えよう、幸福な人とは、欲望も覚えず、恐れも抱かない人であるが、ただし理性の恩恵によってそうであるような人である、と。(p.143、「幸福な生について」より)

  • 「死ぬ術は生涯かけて学びとらなければならない」などの名言目白押し。カネや面子に囚われず、徳のために生きましょうという内容なのだが、最後の方で「そやかて自分めちゃ金持ちですやん」という突っ込みに、文字通り必死で虚勢を張るさまに失笑した。オチ付き。

    こういう古い本は当時の風俗を知る上でも興味深い。ハゲはやっぱり恰好悪かったんだなとか、女の年齢詐称も既にあったんだなとか、本の蒐集家も居たんだとか、訴訟が結構多かったんだなとか、ほとんど現代の話にしても違和感が無い。引っ掛かるのは奴隷と男色くらい。

  • 1年生の終わりに読んだことを思い出し、過去の自分に向けてレビューを書いてみた。(本書の主張との整合性は確認していない。)
    授業にバイトにサークルにと忙しく過ごしていたものの、どこか虚しく何も楽しくない時に全てを止める勇気をくれた一冊。

    -------
    文字通り、忙しさに殺されてはならない。
    それは流された環境において、自分以外のものとのしがらみに囚われ、身に降りかかる物事を受動的にこなすだけの日常に時間を奪われていることを示すからである。

    生殺与奪の権を日常に握らせるな。
    日常から時間という名の生を奪還せよ。

    ”思考”を重ね自分のために生きれば、日々はドラスティックに変貌し、そこに日常など存在し得ない。
    大元の思考を大切にするためには、常に余裕をもつことが大事である。
    自分と向き合う時間を何よりも大切にしろ。

    余裕を身に纏え。
    --------

  • ローマ時代から「時間の無駄遣い」に人は悩み人生を有意義に生きることを望んでいた。スマホゲームにハマってるいまの世代と、人間の本質は変わってないし変わらない。(本当に「それ」が人生にとっては必要かどうか悩むことと無駄かどうかは別問題)

    無駄な時間を徹底的に排除し効率的に生きることが大切なのではなく、こうして悩み推敲し自分の人生を点検しながら生きることが大切なのだろう。

  • 【生の短さについて】だけ、まずは 20131124
    とりわけ、「他人のために時間を使っても実際的には自分の時間を損失しているだけ」という主張に共感。(「」内はけっこうはしょっている)
    相手の受け取り分は自分の行為分より遥かに少ない。これは自分も感じてきたことだ。それだのに、人は人のために働きあう。人のために働くことを否定的に見ることは、たしかにとても悲しいことだけど、「自分の人生を持つ」ことに確かさを持たせることが人生の短さの問題を解消する手立てである以上、この否定的な目を持たないことにするわけにはいかない。

    しかし、読むたびに思うが、読むたび読むたび、「自分の人生を持つってどういうこと」という課題が浮き上がってくる。
    家族を持ち、守り、支えあうこと、これが自分の人生を持つことだ、なーんて線、どうだろうか。

    「運命を乗り越えている者を、乗り越えられるものは何もない」
    ストア派の哲人らしい言葉であるが、己の理性は上記の可能性も乗り越えるのだろうか。

    とにかく、まだまだ理解も足らないだろうし、また読んで消化していきたいと思う。
    この本を何周も読むことをセネカは「人生を短くすることだ」と言うだろうか(笑)

    「運命を乗り越えている者を、乗り越えられるものは何もない」
    困ったことに、僕はこの言葉が好きだ。


    もう少しだけ。
    自我と時間の問題も解決せねばならないだろう。
    過去の自分を自分にカウントするのか、未来の自分は。
    人間は、過去を振り返り、未来を思う。
    「自分の人生を持つ」ことってなんなのだろう。


    【心の平静について】20140117
    すっかり間が空いてしまった。

    清潔な者を友としよう。まったきまったき。
    永遠に留まるべきでない場所からは発たねばならない。
    若い日に、自分の永遠に留まるべき場所を見出すことは容易くないだろうけど、そうでない場所はわかるかも知れない。
    そうでないひとびと、さようなら。
    精神的にあなたがたを殺しました。

    いま読めて、よかった。


    【幸福な人生について】
    快楽に見放されること、快楽に押しつぶされること、どちらも惨めであることはその通りで、後者の方がよりそうであるということも分かる。が、しかし、快楽に見放されない人生にも憧れる。
    でも、ストア哲学、好きだ。結局。
    また読もう。

  • ちょっと読みづらいけどいいこと言ってた

  • これは2011年に読んだ本の中でも、かなり上位。

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著者プロフィール

ルキウス・アンナエウス・セネカ(Lucius Annaeus Seneca)。紀元前4年頃(紀元前1年
とも)~紀元65年。古代ローマのストア派の哲学者。父親の大セネカ(マルクス・アンナ
エウス・セネカ)と区別するため、小セネカ(Seneca minor)とも呼ばれる。ローマ帝国の
属州ヒスパニア・バエティカ属州の州都コルドバで生まれ、カリグラ帝時代に財務官とし
て活躍する。一度はコルシカ島に追放されるも、クラウディウス帝時代に復帰を果たし、
のちの皇帝ネロの幼少期の教育係および在位期の政治的補佐を務める。やがて制御を失っ
て自殺を命じられることとなるネロとの関係、また、カリグラ帝の恐怖の治世といった経
験を通じて、数々の悲劇や著作を記した。本書はそのなかでも「死」との向き合い方について説いた8つの作品がもとになっている。

「2020年 『2000年前からローマの哲人は知っていた 死ぬときに後悔しない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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