生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 大西 英文 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360712

感想・レビュー・書評

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  • 生の短さについて、幸福な生について、心の平静について、の三篇である。マルクス・アウレリウスの自省録と同様セネカも、快楽や欲望に溺れたり、こだわり過ぎないように説いている。人間は無から生まれて無に還っていく。従って、その間に得られたものや失ったものは全て重要なものではないとする。共感する。

    また、他人の行状を非難したり気に病むような時間の余裕はないとも言っている。セネカの時代から、人は時間の大切さを知らず、あたかも永遠に人生が続くかのように日々を無為に過ごしていたようだ。多忙の中に身を置く中で、本当に大切なものを見失い、老いてからそれを嘆いていたようだ。まさしく現代人と同じである。アウグストゥスのような人物でさえ、日々の仕事に忙殺され、余暇を求めていたようだ。

    私達は普段「自分の人生」「自分の時間」を生きているのだろうか?それとも、誰かの人生、誰かの時間を生きているのだろうか?もし自分の人生を生きていないなら、それは不幸なことだとセネカは説く。仕事に縛られ、忙殺された人生ではなく、自分の精神を、心から為したいことに向けよと言う。自分という船の舵取りをせよということだろう。こちらも、大いに共感できる。

    人生は短い。にもかかわらず、現代人は様々なものに縛られてばかりである。過度に情報化された社会の中で「かくあらねばならない」という妄想にとりつかれている。私はその縛りから解放されて、自分の心を知り、それに従った人生を送りたい。そう思った。

  • 善く生きれば人生は短くないと説く短い本。
    セネカと言えば、ローマ帝政の初期の哲学者で、イエス・キ1とほぼ同時代を生きた人です。そのセネカが書いたのがこの本で、人生は短いと嘆く多くの人達に対して、「われわれは、短い時間を持っているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、最も偉大な事をも完成できるほど豊富に与えられている」と説いています。

    これは、2000年前のローマの時代の言葉ですが、現代でも十分に通用します。仕事と遊びが繰り返す毎日を送り、いつの間にか季節が巡り、年を取った自分が一体何をしてきたのだろうと思うことがあります。こんな疑問が湧くこと自体が、時間を浪費している証拠なのかもしれません。今からでも遅くないので、セネカの言葉に従って、充実した毎日を送りたいものです。

    ちなみにセネカは、皇帝ネロに自殺を命じられます。
    自分自身の運命を予期していたからこそ、自分の大事な時間を善く生きたいと願っていたのかもしれません。

  • 「死ぬ術は生涯かけて学びとらなければならない」などの名言目白押し。カネや面子に囚われず、徳のために生きましょうという内容なのだが、最後の方で「そやかて自分めちゃ金持ちですやん」という突っ込みに、文字通り必死で虚勢を張るさまに失笑した。オチ付き。

    こういう古い本は当時の風俗を知る上でも興味深い。ハゲはやっぱり恰好悪かったんだなとか、女の年齢詐称も既にあったんだなとか、本の蒐集家も居たんだとか、訴訟が結構多かったんだなとか、ほとんど現代の話にしても違和感が無い。引っ掛かるのは奴隷と男色くらい。

  • 【生の短さについて】だけ、まずは 20131124
    とりわけ、「他人のために時間を使っても実際的には自分の時間を損失しているだけ」という主張に共感。(「」内はけっこうはしょっている)
    相手の受け取り分は自分の行為分より遥かに少ない。これは自分も感じてきたことだ。それだのに、人は人のために働きあう。人のために働くことを否定的に見ることは、たしかにとても悲しいことだけど、「自分の人生を持つ」ことに確かさを持たせることが人生の短さの問題を解消する手立てである以上、この否定的な目を持たないことにするわけにはいかない。

    しかし、読むたびに思うが、読むたび読むたび、「自分の人生を持つってどういうこと」という課題が浮き上がってくる。
    家族を持ち、守り、支えあうこと、これが自分の人生を持つことだ、なーんて線、どうだろうか。

    「運命を乗り越えている者を、乗り越えられるものは何もない」
    ストア派の哲人らしい言葉であるが、己の理性は上記の可能性も乗り越えるのだろうか。

    とにかく、まだまだ理解も足らないだろうし、また読んで消化していきたいと思う。
    この本を何周も読むことをセネカは「人生を短くすることだ」と言うだろうか(笑)

    「運命を乗り越えている者を、乗り越えられるものは何もない」
    困ったことに、僕はこの言葉が好きだ。


    もう少しだけ。
    自我と時間の問題も解決せねばならないだろう。
    過去の自分を自分にカウントするのか、未来の自分は。
    人間は、過去を振り返り、未来を思う。
    「自分の人生を持つ」ことってなんなのだろう。


    【心の平静について】20140117
    すっかり間が空いてしまった。

    清潔な者を友としよう。まったきまったき。
    永遠に留まるべきでない場所からは発たねばならない。
    若い日に、自分の永遠に留まるべき場所を見出すことは容易くないだろうけど、そうでない場所はわかるかも知れない。
    そうでないひとびと、さようなら。
    精神的にあなたがたを殺しました。

    いま読めて、よかった。


    【幸福な人生について】
    快楽に見放されること、快楽に押しつぶされること、どちらも惨めであることはその通りで、後者の方がよりそうであるということも分かる。が、しかし、快楽に見放されない人生にも憧れる。
    でも、ストア哲学、好きだ。結局。
    また読もう。

  • ちょっと読みづらいけどいいこと言ってた

  • これは2011年に読んだ本の中でも、かなり上位。

  • 2000年前のエッセイ。人生(の一部としての時間)の大切さをひたすら説く。「他人に自分の時間(人生)を差し出すべきではない」というのは、最初はあまり共感できなかった。が、最近になって意味が分かってきた。

  • <抜粋>
    我々は人生に不足しているのではなく、我々がそれを短くしているのである。p10
    かつてはは君に、君がどんな人であろうとも、目をかけてくれたし、君の事はに耳を傾けてくれたし、君を傍近くに迎えいれてくれたこともある。それなのに気味は、かつて一度も自分自身を省み、自分自身に耳を貸そうとはしなかった。p13
    あなたが持つ年月は、あなたが数える年月よりも、もっと少ないでしょう。p14
    諸君は今にも死ぬかのように全てを恐怖するが、いつまでも死なないかのように全てを熱望するp15
    実際多忙な人に限って、生きること、即ち善く生きることが最も稀である。また、生きることを学ぶことほど難しいことはない。p22
    髪が白いとかしわがよっているといっても、その人が長く生きたと考える理由にはならない。長く生きたのではなく、長くあったに過ぎない。p25
    生きることの最大の障害は期待をもつということであるが、それは明日に依存して今日を失うことである。p28
    万人のうちで、英知に専念するもののみが暇のある人であり、このような者のみが生きているというべきである。p42(歴史に生きる)
    現に暖かい地の通っている間に、はつらつとした元気をもって、より良い方向に進まなければいけない。この主の生活においてか意味を待ち構えているのは、幾多の立派な仕事である。すなわち、説くの愛好と実践であり、情欲の忘却であり、生と死の認識であり、深い安静の生活である。
    人々は自分からも暇を得ることの方が、法律から得るよりも難しいわけである。
    あえて自分自身に真実を亜kたる人は稀ではないでそうか。たとえ賞賛者・迎合者の群の中に身を置くとしても、自分が自分の最大の追従者ではないでしょうか。p67
    誰でも彼でもこんな風に、いつも自分自身から逃げようとする。(ルクレティウス)p74
    我々がまず第一に吟味すべきは自分自身であり、次は、今から始めようとする仕事であり、その次は、仕事の相手とか仕事の仲間ということになろう。p83
    また事物の効用は評価しても装飾は評価しないように習慣をつけよう。p90
    十分な冊数の書物を求めるのは良いが、一緒といえども贅沢のためであってはいけない。p92
    誰にでも起こりうるのだ。誰がに起こりうる出来事は。p100
    我々は無益なことに骨折ってもいけないし、無益に骨折ってもいけない。
    死によって不死に達したのである。p113
    我々が知ろうとするのは、一体何を行うのが最善であるか、ということであって、何が最も多く世の中に行われているか、ということではない。p124
    最高の善は心の調和である。p136
    哲学者が財産を軽んずべきだというのは、それを持ってはならぬ、とういのではなく、それにこころを動かされずに持て、ということなのである。
    p159
    私の場合は財産がある程度の位置を占めるに過ぎないが、君の場合は最高の位置を占めている。要するに、財産は私の持ち物であるが、君は財産の持ち物である。
    仁税の現実派、たとえ君達が自分の状況をあまり承知していないにしても、自分よりも立派な人々の悪口を言うため下を会ってニ動かす余裕のあるほど、それほど暇が有り余っている状態には無い。p176

    <感想>
    非常に痛快に感じられる文章が多かった。存在論ではなく、意味論で人を、人生を語っていると感じられた。他人や財産の奴隷になるのではなく、自分がまず自分の支配者になり、泰然とした状態で得を追求していけるのが重要なのだと思った。自分を大事にするという言葉が何度か出てきたが、それは自己の利益を追求するといった意味ではなく、責任、より良い人生、他者へのあり方を考えるときの「主体」としての自分を考えるという意味なのだと考える。自分の本質とは何か、ということに今一度目を向けさせられた一冊。 

  • ○生の短さについて
    ・われわれの享ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのであり、われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽する。

    ・生のこの期間は、自然のままに放置すれば足早に過ぎ去り、理性を用いれば長くすることのできるものである。

    ・全ての人間の中で唯一、英知(哲学)のために時間を使う人だけが閑暇の人であり(真に)生きている人なのである。

    ○心の平静について
    ・公人としての務めを話そうとする意気込み、行動を望む、生来落ち着きのない精神は、当然、みずからの内に見いだせる慰めが僅かなために、そうした閑暇の生や孤独な学問研究には耐えられないからだ。

    ・最善の策は、実生活の行動に従事し、国政に携わり、市民の義務を果たすことに専念することであろう。

    ・演壇や民会に近づくことが君には禁止されているとしてみよう。しかし、無辺の領域のどれほど広大な領域がまだ君の背後に開けているか、どれほど多くの諸国民がまだ君の背後に残されているか、振り返って眺めてみると良いのである。

    ・われわれはまずわれわれ自身の問題を、次にはわれわれが取り組もうとする仕事の問題を、次には誰のために、あるいは誰と共に仕事をするのかという問題を吟味してみなければならない。

    ・多数の著作家のあいだを当てもなく渡り歩くよりは、少数の著作家に身を委ねるほうがはるかにましなのである。

    ・自分が母胎に宿された、まさにその瞬間から死を定められていることを弁えているものは、その約定に従って生き、変わることのない強固な精神力をもってそれを履行するから、生じる出来事の何一つとして突発的なものはない。

    ・われわれは心を柔軟にし、予定したことに過度に執着しすぎないようにもしなければならず、偶然の出来事が我々を導いいた状況に順応し、静謐さの最大の敵である軽薄さが、取って代わって、われわれを支配しない限りは、計画や境遇の変化を恐れないようにしなければならない。

    ・四六時中精神を同じ緊張状態においてはならず、時には緊張から逸らして娯楽に向かわせるようにしなければならない。

    ○幸福な生について
    ・何よりも肝要とすべきは、羊同然に、前をいく群れに付き従い、自分の行くべき方向でなく、皆が行く方向をひたすら追い続けるような真似はしないことである。

    ・幸福な生徒はみずからの自然(の本性)に合致した生のことであり、その生を手に入れるには、精神が、第一に健全であり、その健全さを永続的に保持し続ける精神であること、次には勇敢で情熱的な精神であること、さらに見事なまでに忍耐強く、時々の状況に適応に、己の肉体と、肉体に関わることに気を配りながらも過度に神経質になること無く、また、生を構築するその他の事物に関心を寄せながらも、そのどれ一つをも礼讃することなく、自然の賜物を、それに隷属するのではなく、用に供する心構えでいる精神であること以外に道はない。
    ・われわれは自由を目指して脱出しなければならないのである。その自由を与えてくれるものは、運命の無視をおいて他にない。

    ・幸福な人とは、それがどのようなものであれ、現在あるもので満ち足りている人、今ある自らの所有物を愛している、自らの所有物の友である人のことなのである。幸福な人とは、理性の勧めに耳を傾け、理性の勧める、自らが関わる物事のあり方を受け入れる人の事なのである。

    ・賢者は富のただ中にあるときこそ、とりわけ貧窮に思いをいたすからである。

  • 古代ローマ帝国のストア派哲学者セネカによる古典。「生の短さについて」は、「芸術は長く、人生は短い」という諺がありますが、本書を読めば、(そうかもしれないけど)時間の活用次第でいろいろなことにチャレンジができるのだと思わせてくれる書です。

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