生の短さについて 他2篇 (岩波文庫) (岩波文庫 青 607-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360712

感想・レビュー・書評

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  • I'm reminded of this book often in my daily life. since I had read this book, I came to find myself conscious about what I spent my time, not to consume for meaningless, irritating stuff.

  • 政治家であり、ストア思想の代表者として数えられるセネカの書。
    ストア哲学はその実用性(?)がゆえに多くのビジネス書でも取り上げられるケースが多いですね(といっても、私はビジネスの領域で哲学の活用をうたう安直な言説には否定的なのですが。人間として日々の一瞬一瞬を哲学的に生きられない者が、ビジネスシーンで哲学的にふるまうことが可能なのでしょうか?)。

    本書は表題にある『生の短さについて』のほか、『心の平静について』『幸福な生について』の三篇で構成されます。そのいずれを読むにつけ、身につまされる思いになります。。。

    『生の短さについて』でセネカは、「我々にはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費する」のであり、「全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている」と説きます。
    時間がない(なかった)!と老齢になってから嘆く者についてセネカは言います。「彼は長く生きたのではなく、長く ”いた” だけのことなのだ」と。これはグサリときますね。。。
    「怠惰な忙事」に陥らないよう、我々は誰と付き合い何をなすべきか?その心構えや態度が説かれます。

    『心の平静について』は、セネカの弟子であり友人でもあるセレーヌスの悩みにこたえる対話形式で構成されます。
    セレーヌスは素朴で倹約家であるものの、周辺で繰り広げられる豪奢な催し(パーティーですね)に心をざわつかせ、また一時的な気分から気宇壮大な態度になってしまう自身の浮ついた性格に不安を覚え、これをセネカに相談します(真面目だねぇ)。
    これに対するセネカの助言や説明は非常に現実的であり、参考になります。
    「・・・そういう人々の身体はねセレーヌス、健康に問題があるのではなく、健康に慣れていないことに問題があるのだ・・・自分が正道を行っていると信じることである」とセネカは言います。
    国政に携わることは立派だが、「カルタゴの総監のような存在」のみが国事ではなく、「両手を切り落とされてもなお踏みとどまり、叫び声だけでも加勢しようとする者」も(なせる限りをなしているという意味で)立派である。
    学問研究は立派だが、「読み切れない万巻の書にあたること」のみがこれに該当するのではなく、「少数の著作家に身をゆだねる」ことの方がはるかにマシである。
    このような身の丈に合った現実的な思想は非常に参考になります。

    『幸福な生について』では、世間で流布される幸福の基準に振り回されるのではなく、何が幸福なのか?を自身で見つめなおすことの重要さを考えさせられます。
    「何よりも肝要とすべきは、羊同然に、前を行く群れに付き従い、自分の行くべき方向ではなく、皆が行く方向をひたすら追い続けるような真似はしないことである。」
    一方でセネカは、富や名声を否定しませんし、むしろ肯定します。「賢者は財産に執着しないが、財産を持たないよりは持つに越したことはないと思うのである。・・・それを保管し、みずからの徳を涵養するためのより大きな資源として役立てようと望むものである」と。ここでもセネカの現実的で堅実な思想が読み取れますね。

    本書を読んで感じたことは、まず自分の日常生活に照らして考えやすい、という点です。そもそもセネカも(古代ローマの生活を前提としていますが)日常生活に照らして思考や行動のあり方を説いていますので。
    そして背伸びせず、今の自分にできる範囲での改善を説いている(と私には感じられました)点もとっつきやすいと思います。
    自身の今後の「生のあり方」を見つめなおすのに、まず最初に触れていただきたい一冊だと思います。

  • セネカってストア派の哲学者なのね、というところから始まり、徳を重んじ快楽を戒めるその思想にも少し近づけた…かな。与えられた時間をどう使うかは自分次第。とりあえず、過去や未来にばかり目を向けていないで今を大切に生きること、を今年の抱負にしようと思った。

  • 生は浪費すれば短いが活用すれば長い…スマホに時間を溶かされている現代人必読の書。
    古代ローマの歴史ややギリシャ哲学についてもう少し勉強してから読み直したら、もっと面白いんだろうな…

  • 生は浪費すれば短いが、活用すれば長い。人は、時間が無形であるため、時間の価値を見誤り、浪費してしまうことがほとんどである。
    ここまでの主張はとても刺さる。心に留め置きたい。
    しかし、真に生を活用できるのは哲学のために時間を使う人のみというのはどうだろう。90歳になっても弁護士をしている人も、他人に時間を奪われているとバッサリ切り捨てられていたが、本当にそうだろうか。最後まで人の役に立つことを願って生き続けるのも、案外悪くないんじゃないかと思うが、この答えは実際に死期を迎えないとわからないことだ。
    いずれにせよ、今を主体的に、大切に生きるということは忘れないようにしたい。

  • 人は長生きする保証はない。有益な計画を50.60歳までも延ばしておいて、わずかな者しか行けなかった年齢からはじめて人生に取りかかろうとするのは、何か人間の可能性を忘れた愚劣なことではないか。


    毎日に意味を見い出して、生きようと思う。

  • 光文社の古典新訳文庫版を読みましたが、とてもわかりやすい訳でした。2000年前以上前の先人達の言葉にたくさんのヒントを得るなんて素敵なことだと思います。ギリシャ古典文学も色々読んでみたいと思いました。

  • 生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長いと説く『生の短さについて』。心の平静を得るためにはどうすればよいかを説く『心の平静について』。快楽ではなく徳こそが善であり、幸福のための必要十分条件だと説く『幸福な生について』。実践を重んじるセネカ(前4頃―後65)の倫理学の特徴が最もよく出ている代表作3篇を収録。

  • 図書館で借りた。
    私の岩波文庫を読んでみようシリーズ。古代ギリシャ哲学からセネカの「生の短さについて」「心の平静について」「幸福な生について」の3篇で構成されている。
    どれもセネカから友人(親戚?)宛の手紙となっている。
    「生き方次第で、短くも長くもなるよ」「人と触れ合ったり、たまに酒に溺れてもよかろう」「真面目に働くのも幸福だ」といったメッセージと咀嚼した。解説の項で「日本で広まっていないのは、セネカが『論語』と同じじゃないかと感じるから」とあり、私はピンとこなかったので、論語と読み比べてみようと思った。
    この本を哲学書であると思うと小難しいが、他の人の感想にある「気の良い、物知りおじいさんの手紙」と思うとなんとなく身近な存在に感じられ、読みやすくなった(笑)

  • 初めは表題の通り人生の短さについて、を読むために手を取ったが、幸福な人生について、が示唆に富み、とても素晴らしいと感じた。

    私は諸君のためを思ってこう忠告しよう。
    徳を尊びなさい。

    シンプルだが心に響いた。

    初見では読み取りきれない、短くも深い内容。

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著者プロフィール

ルキウス・アンナエウス・セネカ(Lucius Annaeus Seneca)。紀元前4年頃(紀元前1年
とも)~紀元65年。古代ローマのストア派の哲学者。父親の大セネカ(マルクス・アンナ
エウス・セネカ)と区別するため、小セネカ(Seneca minor)とも呼ばれる。ローマ帝国の
属州ヒスパニア・バエティカ属州の州都コルドバで生まれ、カリグラ帝時代に財務官とし
て活躍する。一度はコルシカ島に追放されるも、クラウディウス帝時代に復帰を果たし、
のちの皇帝ネロの幼少期の教育係および在位期の政治的補佐を務める。やがて制御を失っ
て自殺を命じられることとなるネロとの関係、また、カリグラ帝の恐怖の治世といった経
験を通じて、数々の悲劇や著作を記した。本書はそのなかでも「死」との向き合い方について説いた8つの作品がもとになっている。

「2020年 『2000年前からローマの哲人は知っていた 死ぬときに後悔しない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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