怒りについて 他二篇 (岩波文庫)

著者 : セネカ
制作 : 兼利 琢也 
  • 岩波書店 (2008年12月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360729

作品紹介・あらすじ

ネロー帝に仕える宮廷の生と自決の死-帝国の繁栄と矛盾の中で運命の変転を体現したローマの哲学者セネカ(前4頃‐後65)。絶対権力を念頭に、怒りという破壊的な情念の分析と治療法を逆説的修辞で論じる『怒りについて』。苦難の運命と現実社会の軋轢への覚悟、真の幸福を説く『摂理について』『賢者の恒心について』を併録。新訳。

怒りについて 他二篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ◯摂理について
    ・善き人たちが苦労し、汗を流し、険峻な途を登攀するのに対して、劣悪な連中が自堕落に暮らし、快楽に酔いしれているのを目にしたときは、「息子は厳格な訓練で律せられるのに対して、奴隷の身勝手は育つがままにされるものだ」と考える。

    ・障碍を知らぬ幸福は、どんな打撃にも耐えられない。だが、絶えず逆境と格闘した者には、受けた不正で厚い皮が育ち、いかなる悪にも屈しない。

    ◯賢者の恒心について
    ・彼が所有のうちに置いているのは唯一、徳だけであって、ここからは何一つ奪い取ることはできないからである。

    ・犯罪は、遂行の結果以前に、範囲が十分である限り、すでに完了しているのである。

    ・人からの侮辱を賢者が児戯とみなすのも、至当というより他はない。

    ◯怒りについて
    ・最善なのは、怒りの最初の勃発をただちにはねつけ、まだ種子のうちに抗い、怒りに陥らないように務めることである。

    ・それは有益だとか不可避だとか言って自分の弁護と身勝手の口実を求めてよいわけはない。

    ・怒りに陥らないようにすること、それから怒りの最中に過ちを犯さないことである。

    ・子どもを早いうちから健全に躾けることこそ、何よりもためになる。

    ・モノは我々の怒りに値しもせず、それを感じもしないのに、怒るとは何と愚かなことだろう。
    ・われわれのうち、罪のないものは一人としていない。

    ・全部取り去ろうとしてはいけない。一部ずつ摘みとっていけば、怒り全体を征服できるだろう。

    ・「思っていなかった」とは、人間にとって最も恥ずかしいいいわけだと思う。あらゆる事態を思い、予期しておきたまえ。

    ・怒っているとき、鏡を見たことが役立った。

    ・何かを試みるときはいつも、あなた自身の力と、あなたが準備していてあなた自身がその準備になっている計画と秤にかけたまえ。

    ・あなたの中でどこが弱いか、そこを最もしっかり守るために知っておかねばならない。

    ・誰でも気持ちを傷つけられた時はいつでも、自分にこう語りかけるといい。「私にピリッポスより強大な力があるとでもいうのか、彼ですら、黙って悪口を浴びた。私がふるう力は神君アウグストゥスが全世界にふるった力より大きいとでもいうのか。彼ですら、自分に罵言を浴びせるものから遠ざかることで満足したのに。」

    ・夜の眠りへ退くとき、己の心に向かって尋ねる。「今日、お前は己のどんな悪を癒したか。どんな過ちに抗ったか。どの点でお前はよりよくなっているのか。」

    ・死の定めを思うこと。「気高い喜びに費やすこと許されている日を、他人の苦痛と呵責へ移して、何が楽しいのか。」

  • 人間について、医学的なことは少しは進んだのかもしれないが、人間じたいについての考察は、ここから、一歩もすすんでいない。

  • 怒りはダークサイドの第一歩だと言います。セネカは、実はジェダイの思想を私たちに伝えているのかもしれない。そのくらい普遍的な感情コントロール法を伝えています。

  • 読書欲があふれていたときに手に取った本書.先の二篇は勢いよく読了できたものの,本編たる「怒りについて」で忙しさと共にスランプに陥って2週間ほどかかってしまった.その分もあって「怒りについて」は興味深い記述だった.先に怒りが悪徳に過ぎないことを示した後,怒りによる悪影響をどのように防ぐかといった構成となっている.私自身も怒りで疲れてしまうことがあり,そんなことに無駄な労力を費やしたくないと思っていたことからとても参考になった.本書の難点(?)は現在では否定されている事柄,例えば性格分類や闘牛が赤いものに怒りを掻き立てられるなどの記述に苦笑させられること…古代に書かれたものなので挙げても仕方がないが.あとは古代の歴史をある程度知らないと話についていけないこともあるかな.いずれにせよ怒りは殆どの方にとって問題となる事柄なので,本書から得られるところも多いはず.おススメ.

  • 著者は恐らく当時(ローマ帝国初期)の最高レベルの教養と頭脳の持ち主。さすがと言うべきか、現代にも通じる本質的な議論を展開している。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第3回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第2弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    山田庄太郎講師(哲学科)からのおすすめ図書を展示しています。
        
    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2016年7月19日(火) ~ 2016年9月16日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    毎日の暮らしの中で、誰でも腹が立つことがあると思います。今からおよそ2000年前のセネカの生きた時代でもそれは変わりませんでした。しかし腹を立てて、直ぐに怒り出す人を賢い人とは呼びにくいでしょう。では賢者や知者と呼ばれる人は怒りの感情にどのように対処したのでしょうか。セネカはストア哲学者の立場から古今の様々な例を採りあげて怒りへの対処法を説きます。「怒りに対する最良の対処法は、遅延である」(2.29.1)とはどのような意味か。皆さんも一緒に考えてみませんか。

  • 20151222














  • 読み始めた頃は怒りまくっていたが、読み終えると心静かにまた読もうという気になっていた。

  • 怒りとはどんなものか。それを爆発させるべきなのか、反対に抑え込むべきものなのか。どんな困難な状況にあっても怒りを怒り任せの自由にしてはならないとのまとめ。

  • 怒り、もしかすると私の原動力はこれかもしれない。もしくは報復。

    人間は相互扶助のために生まれたが、怒りは相互破壊のために生まれた。前者は結合を望み、後者は離反を望む。

    でもちょっと古臭い二元論かな。怒りがない人は深い愛もないんじゃないか。いくら治めようとも自己の生命保存のために怒りや離反という作用は必要でさえある。

    もちろん他者への攻撃でなく、別のものに昇華できたらいいのだけれど。

    そもそもこの人は怒りに怒ってるじゃないか。

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