エピクテトス 人生談義 (上) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360835

作品紹介・あらすじ

「君は私の足を縛るだろう。だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない」。ローマ帝国に生きた奴隷出身の哲人エピクテトスは、精神の自由を求め、何ものにも動じない強い生き方を貫いた。幸福に生きる条件を真摯に探るストア派哲学者の姿が、弟子による筆録から浮かび上がる。上巻は『語録』第一・二巻を収録。(全二冊)

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  • 古代ギリシャ ストア派の哲学者エピクテトスが説いた考えを著した本の新訳。

    エピクテトスは生また時からの奴隷であり、人生の途中で奴隷を解放されたという異色の経歴の人物。

    そんな苦しみを耐え抜いた人の説く哲学だから綺麗ごとは一切なく、理路整然とどう考えるのが納得できるかに終始している。

    言っている内容はハッとさせられるものも多いし、読む価値はあるのだが、如何せん2000年前の事柄が引き合いに出されるから、共感できないことも多い。

    そして多分、激情家だったのだろう。
    ヒートアップすると次々に違う話に波及するし、他の学派をディスり始めれば、けちょんけちょんに言うしで、ついていくのが大変だった。
    度々、わからなくなるからすぐに眠くなるし。。
    とはいえ、学んだことは価値があると思う。

    エピクテトスの主張は主に以下である。
    ・自分の力の及ぶもの、及ばないものを区別せよ
    ・力の及ばないものに心を留めるな(環境・人間関係・身体)
    ・力の及ぶものを使いこなすことに注力せよ(自らの意志)
    ・物事の善悪は自分の力の及ぶものの中にしかない
    ・行動、考えを自然本来に適うようにせよ

    書いたら単純ではあるが、口酸っぱく繰り返し説明されるように、実際に日常に当てはめるのは思いのほか難しい。。

    以下、いいなと思った発言

    ・追放か、死刑か? 追放です。 それでは昼食にしよう。

    ・最高のものに到達できないからといって、捨てて顧みないようなことはないのだ

    ・我々のうちの大部分はキツネとなって、いわば動物の中での不幸者になるのだ

    ・我々がこれこれのことが良いと思わなければ、その結果となる行為をすることはないでしょう

    ・自分の意志に反しているところ、それが牢獄だよ。

    ・神々は唯一、心象をどのように用いるかだけを君の責任として付与してくれた。

    ・所有のある所に損失があり、苦労がある

    ・共通の利益に何らかの貢献をしない限り、個別的な善のいかなるものも獲得できないように人は作られている

    ・君もそう思えるようなときなどは「もう遊ばない」といってやめる事だ。だけどそれをやめないのであれば、泣き言を言ってはならない

    ・君の物はあらゆる手段によって守り抜き、君の物でないものは望んではならない

    ・牢獄とか追放や死などは善悪とは無関係

    ・意志に関わりの無いことは大胆であれ、意志に関わる事には用心深くあれ

    ・死とは何であるか。お化けだ。労苦とは何であるか。お化けだ

    ・私は私のするべき仕事をしたが、君が君のするべき仕事をしたかどうかは、自分で見てみることだ

    ・人間とは理性を持った死すべき動物だ。理性の無い野獣(危害を加え、乱暴)や羊(欲情にふける)になってはならない

    ・もし君があらゆることをお金に換算してみるならば、鼻を失った人は君の目からすれば損害を受けたことにはならない、という事を考えてみることだ

    ・哲学するというのは判断基準を考察し確立すること(秤をつくる)で、その上で認識されたものを用いるだ。例:善は誇るに値するが、快楽は値しない など

    ・我々は小さな身体に、わずかな財産に、権威にどう思われるか不安を感じているが、我々の内部のことについては少しも不安ではない。という事はありえない。

    ・何かが奪われる、失われるならそれまでに用いることが出来た時間に感謝して、気持ちよく速やかに返すことだ

    ・訓練・習慣は少しづつ、自分を褒めるように

    ・心像よ、お前を調べさせてくれ と言えばいいのだ

    ・ストア哲学は病気、危機、追放、低評価、死に際しても幸福な人々である

    ・人の心は「私、私のもの」に利益があるところに必ず傾く。
    だから「私、私のもの」を自分の意志のみにするべきだ。
    そうすれば、財を守るより、誠実な男であることが利益となる。

    ・友愛とは他でもない、誠実さがあるところ、専ら美徳だけを尊ぶところにあるのではないか

    ・自分と自分の属するものを意志とは無関係な所に置こうとする。これが対立を招く。

    下巻も気になるが、読み進めるのが大変だから悩むところ。。

  • 2021年、1冊目!

    僕に大きな影響を与えたマルクス・アウレリウスの『自省録』の土台となった作品。同じストア哲学を扱っていて、構成が断片の集合体という点では両者は共通している。

    ただ前者は著者自身が内面に向けて悲観的、美しい修辞で語っているのに対して、後者は生徒に向けて楽観的にフランクに語っているという対照をなしているのは面白い。

    対処できないものには従うとして、その上で対処できるものに対しては「意思」をもって対処する心構えは参考になりそう。

    (『自省録』と同じく、大体同じ内容のことを手を替え品を替え延々と語られるので多少飽きが生じてしまう…)

  • 読了。ストア派。
    ちなみに、私は凡人なりに幸福論として読んで楽しめた。近いうちに読み返すと思う。上下巻・2500円でも安い。

    【版元】
    著者:Επίκτητος[英:Epictetus] (0055?-0135?)
    訳者:國方栄二 (1952-)
    定価1,243円
    通し番号:青608-1
    刊行日:2020/12/15
    9784003360835
    文庫 442ページ
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b548853.html

    【メモ】
    ・スタンフォード哲学百科事典の項目。
    https://plato.stanford.edu/entries/epictetus/

    ・NDCにおける古代哲学の分類。

    131.1 ギリシア初期哲学
    131.2 ソフィストおよびソクラテス派
    131.3 プラトン Plato.古アカデミー派
    131.4 アリストテレス Aristoteles.ペリパトス派
    131.5 ストア派.ストア哲学
    131.6 エピクロス Epicurus.エピクロス派
    131.7 懐疑派:古懐疑派,中アカデミー,新懐疑派
    131.8 折衷学派:キケロ Cicero, Marccus Tullius
    131.9 新ピュタゴラス派.新アカデミー派:フィロン <ラリッサの> Philon,of Alexandria.新プラトン派:プロティノス Plotinus


    【目次 上】
    凡例

      『語 録』

    冒頭の挨拶状

    第一巻
     第一章 われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの
     第二章 どのようにして人はあらゆる場合に人格にかなったことを保持することができるのか
     第三章 神が人間の父であるということから、どのようなことが結果するのか
     第四章 進歩について
     第五章 アカデメイア派に対して
     第六章 摂理について
     第七章 転換論法、仮定論法、および同類のものの使用について
     第八章 能力は教育のない者には安全でないこと
     第九章 われわれが神と同族であることから、人はどのような結論に到達するのか
     第一〇章 ローマで立身出世のために忙しかった人びとへ
     第一一章 愛情について
     第一二章 心の満足について
     第一三章 どうすれば神々に気に入られるようにそれぞれの行動ができるのか
     第一四章 神々はすべての人間を見守っていること
     第一五章 哲学は何を約束するのか
     第一六章 摂理について
     第一七章 論理学が必要なものであること
     第一八章 間違っている人に腹を立てるべきでないこと
     第一九章 僭主に対してはいかなる態度をとるべきか
     第二〇章 理性はいかにして自分自身を考察するのかについて
     第二一章 驚嘆されることを好む人たちに対して
     第二二章 先取観念について
     第二三章 エピクロスに対して
     第二四章 困難な状況に対してどのように挑むべきか
     第二五章 同じ問題について
     第二六章 生きるための法則は何か
     第二七章 どれだけの種類の心像が生じ、これに対してさしあたってどんな救助法をとるべきか
     第二八章 人びとに対して怒るべきではないこと、そして、人びとの間では何が小事で何が大事か
     第二九章 不屈の精神について
     第三〇章 困難な状況にいかに対処すべきか

    第二巻
     第一章 大胆であることと用心することは矛盾しないこと
     第二章 心の平静について
     第三章 哲学者を推薦する人びとに対して
     第四章 かつて姦通罪で捕まったことのある人に対して
     第五章 いかにして高邁な心と細心さは両立するか
     第六章 善悪と無関係なこと
     第七章 どのように占うべきか
     第八章 善の本質について
     第九章 われわれは人間の務つとめをはたすことができないのに、哲学者の務めを引き受けていること
     第一〇章 いかにしていろいろな呼称から義務を見出すことができるか
     第一一章 哲学の始めは何であるか
     第一二章 問答することについて
     第一三章 不安を抱くことについて
     第一四章 ナソに対して
     第一五章 決めたことを頑固に守り通そうとする人びとに対して
     第一六章 われわれは善悪に関する教説を実行する練習をしていないこと
     第一七章 どのように先取観念を個々の場合に適合させるべきか
     第一八章 いかにして心像と戦うべきか
     第一九章 哲学者たちの教説をただ言葉だけで取り上げる人びとに対して
     第二〇章 エピクロス派とアカデメイア派に対して
     第二一章 首尾一貫しないことについて
     第二二章 友愛について
     第二三章 語る能力について
     第二四章 エピクテトスに評価してもらえなかった人に対して
     第二五章 論理学はどうして必要か
     第二六章 過失に固有なことは何か

    訳 注
    解説 エピクテトスの生涯と著作


    【下巻目次】

    凡 例

    『語 録』(承前)

    第三巻
     第一章 おしゃれについて
     第二章 進歩しようとする人は何について訓練しなければならないか、および、われわれは最も大事なことをおろそかにしていること
     第三章 優れた人の対象となるものは何であり、とりわけ何を目的として訓練せねばならないのか
     第四章 劇場で見苦しいほど逆上(のぼ)せあがった人に対して
     第五章 病気のために学校を去る人に対して
     第六章 雑 録
     第七章 エピクロス派であった自由人都市の総督に対して
     第八章 心像に対してはどのように訓練をするのか
     第九章 裁判のためにローマへ行こうとするある弁論家に対して
     第一〇章 どのように病気に耐えるべきか
     第一一章 雑 録
     第一二章 訓練について
     第一三章 孤独とは何か、どのような人が孤独なのか
     第一四章 雑 録
     第一五章 なにごとも慎重におこなうべきこと
     第一六章 交際は慎重にせねばならないこと
     第一七章 摂理について
     第一八章 知らせによって混乱してはならないこと
     第一九章 一般の人の態度と哲学者の態度はどのようなものか
     第二〇章 すべての外的なものから利益を得ることができること
     第二一章 軽率に哲学の講義を始めようとする人びとに対して
     第二二章 キュニコス派の思想について
     第二三章 演示するために読書したり議論したりする人びとに対して
     第二四章 われわれの力が及ばないものに執着してはならないことについて
     第二五章 計画したことを達成できなかった人びとに対して
     第二六章 困窮を恐れる人びとに対して

    第四巻
     第一章 自由について
     第二章 交際について
     第三章 何と何を交換すべきか
     第四章 平静に暮らすことに熱心になっている人びとに対して
     第五章 けんか好きで野獣のような性格の人たちに対して
     第六章 同情されることを苦にする人びとに対して
     第七章 恐れを抱かないことについて
     第八章 急いで哲学者の体裁をよそおう人びとに対して
     第九章 心変わりして恥知らずになった人びとに対して
     第一〇章 何を軽蔑すべきか、何において優れているべきか
     第一一章 清潔について
     第一二章 注意することについて
     第一三章 自分のことを軽々しく話す人びとに対して
     
    断 片

    『要 録』

    訳 注
    解説 エピクテトスの思想
    参考文献
    索引(人名/事項)

  • ストア派の最も重要な哲学書の新訳。

    アントニヌス帝の自省録やヒルティの幸福論
    他様々な本で引用されている重要な図書であり、
    絶版の古い訳しかなかったが待望の新訳が出た。
    分かりやすい訳で文字も大きく読みやすい。

    ストア派の目的はソクラテスのように善く生きること。
    すなわち理不尽な運命にも正々堂々と立ち向かい、
    泣き言を言わず結果を受け入れられるようになること。
    外的なものに惑わされず意志をコントロールすること。
    そのために自分の行動によって徳を磨くこと。
    神に全てをゆだねることが大事ということが分かった。

    エピクテトスは元奴隷であり、不自由を知っている。
    「外物」ではなく「意志」が大事という言葉には、
    とても説得力と重みがある。現代に奴隷は居ないが、
    ローマ皇帝ですらバックボーンとした思想であり、
    その思想は今日でも全く色あせてはいない。

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著者プロフィール

1952年生まれ、大阪在住。専門は古代ギリシア哲学。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士(京都大学)。主な著訳書に『プラトンのミュートス』(京都大学学術出版会)、『ギリシア・ローマの智恵』(未知谷)、『プラトンを学ぶ人のために』(共著、世界思想社)、『新プラトン主義を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)、『哲学の歴史2』(共著、中央公論新社)、『エピクテトス』(鹿野治助訳、解説、中央公論新社)など。『アリストテレス全集19』(共訳、岩波書店)、『ソクラテス以前哲学者断片集I~III』(共訳、岩波書店)、『プラトン哲学入門』(共訳、西洋古典叢書、京都大学学術出版会)など。論文は「コスモポリタニズムの起源」(『西洋古典学研究』LVII、岩波書店)など。

「2019年 『ストア派の哲人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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