老年について (岩波文庫)

著者 :
制作 : 中務 哲郎 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 145
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361122

感想・レビュー・書評

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  • スキーピオとラエリウスよ、老年を守るに最もふさわしい武器は、諸々の徳を身につけ実践することだ。生涯にわたって徳が滋養されたなら、長く深く生きた暁に、驚くべき果実をもたらしてくれる。徳は、その人の末期においてさえ、その人を捨てて去ることはないばかりか―それが徳の最も重要な意義ではある―人生を善く生きたという意識と、多くのことをもって行ったという思いでほど喜ばしいことはないのだから。(p.16)

    一見取るに足らぬ当たり前のようなこと、挨拶されること、探し求められること、道を譲られること、起立してもらうこと、公の場に送り迎えされること、相談をうけること、こういったことこそ尊敬の証となるのだ。これはわれわれのところでも他の国でも、風儀が良ければ良いほど篤実に守られている。(p.61)

    果物でも、未熟だと力づくできから捥ぎ離されるが、よく熟れていれば自ら落ちるように、命もまた、青年からは力づくで奪われ、老人からは成熟の結果として取り去られるのだ。この成熟ということこそはこよなく喜ばしいので、死に近づけば近づくほど、いわば陸地を認めて、長い航海の果てについに港に入ろうとするかのように思われるのだ。(p.66)

  • 年代それぞれに自然に与えられる恵みを活用し謳歌すれば、それは生きることを活かすことになる。 ないものを求めればそれが手に入ったとしてもまたないものを求めるが、今あるものの中で最大限活用して日々を生きれば、老年は重荷ではない。

  • 2012.12.8 読了

  • 「人生の折り返し地点」という言葉も在るが、キケローはカトーにこう語らせる。「自然の道は一本で、しかも折り返しがない。そして人生の各部分にはそれぞれその時にふさわしい性質が与えられている」、と。
    この作品では「老い」は十分に耐えうる価値あるものとして扱われる。私はカトーの語る考え方を気に入った。古代ローマには在ったかどうか知らないが、老いを退化に見立てる考え方を耳にしたことがある。人は、赤ん坊で生まれ、成長し、二十年ほどで人に成り、人生を全うするにせよしないにせよ、末期には心身共に衰えて目も耳も感じる力を失い、最低の状態に戻ってゆき死ぬ、その様が赤子に戻ってゆくようである、と言うのだ。寂しい発想ではあるが、これには言い当てているところが在るように感じる。人生の最高のときと聞いて、私には幼年も老年も早一番即座には想起されない。キケローの生きた当時も、老年を扱った作品にはその発想同様、老年を暗く捉えたものが多かったそうだ。人間の最大の関心ごとのひとつは死であり、老いには常に死の影が付きまとうのだから、老いを人が気がかりにするのは当然だ。青年の死と老年の死の対比でカトーは老年の死をある種の善いものと捉えた。その〈71〉の下りも大変気に入った。

    論理展開も整っていて、読みやすかった。

    訳者による解説も読み応え在った。アッティクスの死に様をおもう。

  • お前たちの言うよきものを、
    ある間は使えばよいが、無い時には求めないことだ。

    人生の各部分にはそれぞれその時にふさわしい性質が与えられている。 p36

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  • ブックオフ池袋、¥300.

  • 古代ローマの時代に書かれたエッセイであるが、たいへんに読みやすい。
    キケローも、老いては農事を事とするよう勧めていた。自然に近いところで生きていくことは、人間にとって大切なことなのだと思う。

  • 2013 11/7読了。神田の古書店街で購入。
    岩波文庫を読もうシリーズ。
    そういえば、キケロをちゃんと読んだのは初。
    大カトーと小スピキオらの対話篇の形式をとった、老年期に関する訓示・・・というか、老いってのはそんなに悪いもんじゃない、というかむしろ老いてこそなんだ、という話。
    まず巻末のキケロの生涯や執筆時期の解説から読んで、その後本編を読むと味わい深い。

    キケロの書簡集を研究していた友達のことを思い出す。
    もっと読んでみよう。

  • 2000年前からあんまり人って変わっていないんだな・・・とつくづく思った。セネカの方が読みやすかったな。内容的な感動というか、納得感もセネカの方があったような・・・訳の問題なのか??それとも、キケローとセネカの違い?

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