- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003361139
感想・レビュー・書評
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「真の友人を見つめる者は、自分の似姿を見つめることになる...」
「さて、われわれが友情の中に求める不動の堅固さの基盤は、信義である。なぜなら、信頼できないものは不動ではないから。」
社会人になり始めると、人との出会いが増えたり、また今やネットで人と繋がれる時代なので、人間関係に関する悩みは尽きない。なので本当に信頼できる人との関係性はすごく大事だったりするし、なんとなく友達という風に処理してはダメな気がしてきた。
真の友情関係には、利害関係を持たずに、相手をリスペクトし、心から信頼できるという信義が必要。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「早まって愛し始めるな、値せぬ者を愛するな」
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『老年について』の姉妹編となるキケローの対話篇。小スキピオの親友であったラエリウスの口を借りながら、友情についての考察が展開される。
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キケローが直近の著名な人物に仮借し、その人物に語らせたタイプの著作のひとつ。
スピーキオーという友人を持ち、そしてその友を亡くしたラエリウスが、婿ふたりに対して友情というテーマについて語る。
ラエリウスは、友情に関して「正しい」事を述べるばかりでなく、誤った解釈が世間に広まっている事に苦言を述べ、あるいは人が陥りがちな過ちについて語る部分もたびたびある。
その内容は「友情とは実利に対する見返りがある時に与えられるべきだ」という説であるとか、「友情とは与えすぎてはならない、等価でなくてはならない」だとか、「いつか敵になりうるのであるから友情に重きを置いてはならない」という考えとかであるのだが、
当時流布した思想に関する知識として得るものもあるし、こうした考え方が現代でも一定の価値観として存在している事に思いを馳せるのも面白い。
一つのテーマについて、人間の考え方は相当に出尽くしているものだという事が理解出来る。