方法序説 (岩波文庫)

著者 :
制作 : Ren´e Descartes  谷川 多佳子 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 3701
レビュー : 299
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361313

作品紹介・あらすじ

すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト(1596‐1650)。「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が、ここに示される。

感想・レビュー・書評

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  • 人類史上最大の知性(の一人)、ルネ・デカルトが自分の論文集の序文として一般向けに書いた本。
    「我思う、ゆえに我あり」の一節はあまりにも有名。
    読み心地は哲学書というより、科学者のエッセイといった感じ。

    広範な学問を修め尽くしたデカルトは、「学問の基礎(哲学)なんて、いろんな人がいろんなことを言ってて、全然確固たる基盤がないじゃないか。土台があやふやなままだと科学も真理に迫れやしない」と考えた。
    それで、とりあえず根拠のあやふやものはすべて疑ってみた。
    ただ、世の中のものすべてが疑わしいと考えたわけではなく、あくまで真理に迫る手段として疑ってみた。(「方法的」懐疑)

    その結果、あらゆる思考の出発点として「物事を考えている私は確かに存在している、ひとまずそれを真理と認めましょう」という結論に至った。(「我思う、ゆえに我あり」=「コギト・エルゴ・スム」)

    それから、数学はとにかく正しい、直感的に考えて「2+2」の解は4以外にありえないし、三角形の内角の和が180度なのはたやすく証明できる。そういうものだけを真理と認めよう。(「明晰かつ判明」)

    ちなみに、中学や高校の数学で習う関数のグラフの書き方とか、微分・積分の理論とか、変数はx・y・zで表し、定数はa・b・cで表すっていうルールとか、「2乗・3乗」の2や3は右上に書くっていう記法とかを考えたのがデカルト(豆知識)。

    「コギト」の真理は一応見出したけど、デカルトはそこから推論を一つ一つ丁寧に重ねていくわけではない。そこはスピノザと違う。
    本書の中でデカルトは、神の存在証明をちょちょいとやってのけているけど、その出発点となる「実体」の定義や、「完全者が存在する」「人間は完全ではない」という前提もほんとにそれでいいの?と思ってしまう。
    「いろんな哲学者がいろんなことを言うから哲学は根拠があやふやだ」っていうなら、神の存在なんて一番最初に斥けられるのが筋じゃないのか。

    「コギト」以降のデカルトの論の展開の仕方はむしろ若干乱暴な感じがする。
    事実、デカルトが主張していた天文学や人体に関する数々の学説は、後世の科学者たちによって誤りであったことが指摘されていたりする。
    (世界は目に見えない謎の物質で満たされていて、潮の干満は月がエーテルを押したり引いたりすることによるという、いわゆる「エーテル論」をニュートンの万有引力が完全否定しさったことは有名。ただ、よく言われる「ニュートンの万有引力によってデカルトの物心二元論は崩れ去った」という言説には微妙に納得いかない。機械論的説明が否定されただけで物心二元論が否定されたわけじゃない……よね?)

    それはさておき、デカルトが自分に課した「3つの格率(自分ルール)」が面白い。俺ルールにも採用したい。

    ・第一格率:疑ってばかりではなく、とりあえず自国の法律と慣習には従っとけ。
    ・第二格率:自分がこれと決めた意見は、たとえ途中で疑わしくなっても最後まで投げ出すな。何が正しいか判断できないときは「より正しいっぽい」意見にしとけ。
    ・第三格率:「私の力」が及ぶ範囲はどうせ「私の思考」に限られているので、世界を変えようとするよりは自分が変われ。

  • とてつもないおもしろさ。デカルトを祖とする近代哲学、ここでデカルトの語る近代的な主体なるものがいかに崩されたかということを、私は哲学・思想の変遷を辿るいくつかの書物によって予め知っていました。しかしそのような前知識は、本書を読みながら感じた知的興奮をいささかも妨げるものではなかった。哲学といえば抽象的で難解、というイメージは持たれがちだし、私自身そういうイメージを抱いていたけれども、「方法序説」は小難しい哲学書というより人生訓を含んだエッセイのようなかんじ。アカデミズムは現実と乖離しているように見えるし、実際乖離しているとしか思えない部分もある。でも「方法序説」を読んでいると、思考が実生活/学問などという区別に限らず生きるうえで須く行う切迫した行為であること、その行為の切実さは専門性/非専門性といった枠を越境して重要さを知らしめるものであること、つまり、本当の意味で考えるとは、何らの乖離をもたらすことでもないのだとわかります。人生のあらゆる場面にあって自分がいかに生きるべきか、そもそも自分とは何なのか、自分が今生きているこの世界とは何なのか、という根本的な問題に対して真正面から闘いを挑んだデカルトは尊敬に値する。そしてデカルトのユーモア、その強靭な意志、賢さ、バランス感覚、権威に迎合することなく「世間という大きな書物」に向かっていったその姿勢。興味深すぎる。大学で学んで、アカデミズムの権威を否定して放浪して、っていうデカルトの人生語りは、とてもじゃないけど400年も昔の人間の話とは思えません。ガリレオの断罪と同時代…?信じられない。優れた書物は時を超えた普遍性を持つ、とも言えるかもしれないが、そういうことよりも、「近代」のなかでわたしは本当に生きているんだなあと。何はともあれ学問に向かう姿勢、その根本的な意味を考えるために非常に有益な書物でした。

  • ただ前例と慣習だけで納得してきたことを、全て払拭し自分自身が真に納得したものだけを信ずる。

    その土台の上に物事の思考を展開していく。
    それは人間が本来もつ生まれながらの光である理性を働かせることだ。

    古典を読むことは過去の一流の人々と語り合うようなものであり、旅をするようなものだが、
    それも今現在からより発展させた未来へのバトンを渡すことで、古典は活きてくる。

  • 思考の過程が論理的に順序立てて書かれているので突飛なこともなくわかりやすい。〈ワレ惟ウ〜〉のフレーズはあまりにも有名だが、それに至るまでの考えも比較的明瞭に知れるし、心身二元論についても、あ〜これが!という感じで、とにかく概要だけ習っていたのを改めて確認するといった感じだった。

  •  真理の探求のための基本則として、
     
     ①明証的に真といえるものだけを真と受け入れること
     ②問題は小部分に分割して検討すること
     ③単純なものから順番に思考を進めて複雑な認識へと至ること
     ④全てにおいて一つの見落としもないことを確認すること。

    この4つを掲げた上で、もっともらしく見える異なった主張が論争される哲学において、確かに堅固であるといえる第一原理として「我思う、故に我在り」を唱える。

     感覚も、推論も、思考さえも、自分の精神のなかの観念すべてを偽であると仮定しようとするところが、本当に画期的だったのではないかと思う。

     しかし、
    ・わたしたちがきわめて明晰かつ判明に捉えることはすべて真である
    ・わたしの存在よりも完全な存在の観念については、それを無から得るのは明らかに不可能
    など、「そうかな?」と思う論証もけっこうあって、しばらく考え込んでしまった。

  • 真理を見つけるために、真に確かなことを見つけるためにどのような方法を取れば良いか。
    明晰かつ判明なことを導き出すにはどうすればいいか。
    それを代表する言葉として、我思う故に我あり、という言葉が出てくる。
    ここで言う、理性って何だろうとも思うけど。

  • 少々難しいです。
    立ち止まって、もう一度読み返し、理解して進んでいくような読み方でした。しかし、書いていること自体が面白く読破することができました。

    この時代に書かれた本としては、かなり先を捉え、グローバルな見方を持った人だと驚きました。それに勉強量がすごいです。到底普通の人じゃ辿り着けないところにまで学習し、一度それらを捨てて、自らの哲学を編み出しています。

    心に残った部分があるので引用します。
    *わたしは、真らしく見えるにすぎないものは、いちおう虚偽とみなした。

    *すべて良書を読むことは、著者である過去の世紀の一流の人びとと親しく語り合うようなもので、しかもその会話は、彼らの思想の最上のものだけを見せてくれる、入念な準備のされたものだ。

  • 今やほとんど覚えてないけど、有名な一節にきて、あ、そーゆーことねと妙な納得をしたのは覚えてる。当たり前のものを証明することは難しいということ。

  • 書かれている言葉や説明がなんかいだったものの、内容は近代科学そのものという印象。
    つまり、正しさを追求しようとする姿勢とは…を丸ごと説明しているというものだと。

    さらにこの本は、「地動説」を唱えたコペルニクスのように前近代の既得権益者の圧力の下で、真理を追求しようとする姿勢の必要を説いている、という点がとても素晴らしい。
    デカルトかっこいいなあ

  • デカルトまじイケメンって思った本。
    大学の授業で先生の解説付きでやっと何となく読めた本だが、内容と言うよりは、言葉の使い方や言い回しがとても好きで、デカルト好きになりました。

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