情念論 (岩波文庫)

著者 :
制作 : Ren´e Descartes  谷川 多佳子 
  • 岩波書店
3.52
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本棚登録 : 174
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361351

作品紹介・あらすじ

近代感情論の源泉とされる『情念論』(1649)は伝統のスコラ的見方や情念=悪という見方を否定し、理性の善悪の判断に従う限り、情念に最も動かされる人間が最も多くの喜びを享受すると主張した。心身関係の具体的な説明にみるオートマティズムや脳の知見は、優れて現代的な課題を含む。デカルト解釈の可能性を広げる一書。

感想・レビュー・書評

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  • 名文家だった仏文学者伊吹武彦訳(角川文庫S34年版)で読む。

    デカルトにデカルト主義を押し付けたのは時代の教会権力の罪であり、近代の責を押し付けたのは後世の罪である。

    歴史はどうも終わってはいず、オルタナティブは相変わらずオルタナティブのままだ。

    知識人がどんな洞察を加えようと動物でもアンドロイドでもなく、下界の人間臭は自己を肥大化させつつただ加齢してゆく。

  • デカルトが身体と精神のつながりを論じたもの、第一部はガレノスの生理学(動物精気)などが論じられている。第二部は6つの情念(精神の受動・身体の能動)が語られる。驚き・愛・憎しみ・欲望・喜び・悲しみなどである。第三部は合成された情念である。理性で善悪を判断し、情念をつかうことで幸福と不幸がわかれるという。

    『方法序説』や『省察』などの心身二元論はたしかに極端な感じがするが、かといって、身心が一体だといってすませられるわけではない。人間には内心というものがある。医学的な知識はもうふるいが、情念と身体をむすびつける観点はなかなか面白いもんだなと思う。

    レギウス(レッヒウス)などの唯物論者との差異などに興味がわいた。科学史としては面白い本だと思う。

  • デカルトが「情念」について論じるもの。脳や心臓、循環器の機能と意識の関係等は、現在の科学の水準からは誤りが多いですが、情動と、脳を含む肉体との関係に関する記述は、そのメカニズムの詳細はともかくとして、現代にも通じるように思います。第3部が特に面白い。

  • 2014/12/07
    P1-53

  • フランスの哲学者・数学者であるルネ・デカルトの著作。物心二元論を唱えた彼が、身体と精神の中継点を松果体としたことを書いたものとして知られる言わずとしれた古典。しかしながら、デカルトの考察や理論は過去の偉業として埋没せず、現代においても価値を持つ点で非常に優れた人物であることは疑いようがありません。
    デカルトは、心身の相関関係とメカニズムを踏まえたうえで、人間が必ず有する情念の発生原因とその効果を明晰に述べていきます。「精神が結合している身体以上に、わたしたちの精神に対して直接に作用する主体があるとは認められない。したがって、精神において「受動」であるものは、一般に身体において「能動」である、と考えねばならない。」と書いているように、デカルトは心身が相互に影響を及ぼし合うことを示し、それを土台に論理を展開していきます。
    この情念論の中でも、私が最も普遍的であると感じ、感銘を受けたのが特殊情念の考察です。全てを語ると長くなるので割愛しますが、152「どんな理由でひとは自分を重視できるか。」、170「不決断について。」は、個人的に本書の白眉であると考えています。最後にデカルトは、「情念に最も動かされる人間は、人生において最もよく心地よさを味わうことができる。」と言っています。
    私達が人間らしく生きるうえで必要な喜怒哀楽など感情について、ひいては人生の過ごし方等について、本書はこれらを深く考えるきっかけになることは間違いありません。

  • とにかく、
    読みにくい本です。
    その内容の色々なところに
    生きるヒントのようなものが眠っている気がします。

  • 一読しただけなのであてにしないでください。

    様々な身体と精神の両面からみた感情の現れ、変化をかくことによって、普段より深い視野でものを考えることができた。
    しかし、あまり臓器の話をされてもわからないし、本当かよって思ったところもいくつか。

    また善という概念が正義とは別のように語られていたが、定義がなく、たぶん感情をきめるなにかという感じだった気がする。

    スタンダールの恋愛論もこんな感じでかかれていた。影響をうけたんだろうか。

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