パンセ(上) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361429

感想・レビュー・書評

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  • 257頁まで読み進めて突然「出た〜!」
    『人間は一本の葦にすぎない。自然のうちでもっともか弱いもの、しかしそれは考える葦だ。』からの続きが読める。

  • パスカルはフランスの哲学者であり、自然哲学者、物理学者、思想家、数学者、キリスト教神学者、発明家、実業家である。(Wikipediaより)

    すごい経歴。これが天才というものか。

    本書は、『パンセ』と称されるパスカルの遺稿集の全訳で、全三巻から成っている。

    構成としては、
    ●第一部 「写本」によって伝えられる〈パンセ〉

    上巻→目次によって配列されたファイルA1〜27

    中巻→目次によって配列されていないファイルB1〜35

    ●第二部「写本に収録されていない〈パンセ〉」

    下巻→オリジナル原稿が残されているパンセ、オリジナル原稿が残されていない〈パンセ〉

    となっている。(凡例より)


    上巻では、あの有名な「人間は一本の葦にすぎない。自然のうちで最もか弱いもの、しかし、それは考える葦だ。」(P257,287)という言葉が収録されている。

    この言葉を昔学校で聞いたことがある。

    当時はあまり意味が分からなかったが、実際に全文を目の当たりにすると、人間の弱さについてひしひしと伝わってくる。

    上巻のファイルA1〜10(前半)は、人間学的考察。A12〜27(後半)は、宗教的考察になっている。

    前半の人間学的考察は、誰が読んでもわかりやすい内容で、感心することが多かった。

    有名な言葉より、私の心に響いた言葉を少しだけ挙げてみようと思う。

    ファイルA2-21
    「若すぎるとよい判断ができない。年を取り過ぎても同様だ。考えが足りなくても、考えが過ぎても、頑固になり、固執する。」

    ファイルA2-28 弱さ
    「人々の関心事のすべては、財産を獲得するところにある。それなのに所有の正当性を示す証文を手に入れることができない。彼らが持っているのは、人々の想像による思いなしだけだからだ。彼らには、所有を確実なものとする力がない。学問についても同じことだ。所有を確実なものとする力がない。」

    ファイルA2-43
    「些細なことに苦しめられるからこそ、われわれは些細なことに慰められる。」

    ファイルA2-47
    「(略)われわれはほとんど現在のことを考えない。考えるとすれば、未来を思い通りにするための光明を現在から引き出すためだ。現在は決してわれわれの目標ではない。過去と現在はわれわれの手段である。ただ未来だけが目標なのだ。こうしてわれわれは決して生きていない。生きようと願っているだけだ。そしていつでも幸福になる準備ばかりしているものだから、いつになっても幸福になれるわけがない。」

    ファイルA3-63
    「賞賛は、子供のときから、すべてを台無しにする。(略)うらやみと誇りの気持ちを刺激されることがないので、無頓着になる。」

    ファイルA5-98
    「どうしてびっこに会っても腹を立てないのに、精神のびっこを相手にすると腹を立てるのか。びっこは、私たちがまっすぐ歩くのを認めるが、精神のびっこは、びっこを引くのは私たちの方だと言い張るからだ。そうでなければ、かわいそうに思いこそすれば、怒ったりはしないだろう。」

    ファイルA5-99-2
    「人間は、人ならおまえは愚かだと言われつづけると、自分でもそう思うように造られている。そして自分で自分にそう言いつづけると、自らそう信じ込む。」

    ファイルA7-124
    「人間は生まれながらに信じやすくて疑い深くら臆病で向こう見ずだ。」

    ファイルA8-132
    「もし人間が幸せならば、気を紛らわせることが少なければ少ないほど幸せになるはずだ。」

    以上は、私が引いたアンダーラインの一部だ。あまり自分が意識していない部分を文章に起こされたような気分で、はっとさせられる。哲人達の言葉を自分のものにしようとは思わないが、哲人達の視点や考え方を理解することで、より自分の頭で考えていく幅の広さや深さが生まれると思う。


    後半は、キリスト教神学者としてのパスカルを見ることが出来るが、宗教に疎い私は理解が追いつかない。

    世界的ベストセラーである聖書を読んでいないことが痛手になった。

    聖書を読んで、面白さかを感じたときに再び本書を手に取りたいと思った。

    パスカルの生きる時代でどれだけキリスト教という力が大きいかが伝わってくる。

    中巻も下巻もとりあえず目を通して見ようと思うが、宗教的な部分は流し読みになってしまうと思う。

  • 天才パスカルの書著。書著というよりもメモを集めたもの。
    後半はほとんどキリスト教礼賛。

    人間は考える葦という有名な言葉よりも、「どうしてびっこに会っても腹を立てないのに、精神のびっこに会うと腹を立てるのか(原著ママ)」とか「宇宙のこの片隅にあたかも迷い込んだかのように、誰によってここに置かれたのか、何をしにやってきたのか、死んだらどうなるかを知らず、要するに何も知ることができないでいるのを眺めると、私は身の毛もよだつ思いに襲われる」と言ったパスカルが考えが響いた。

  • ついにパンセが岩波文庫に。というわけでまずは上巻。
    短ければ一言、長くても数ページの断片の集まりなので、まとまりはない。それでも読み進めていくと、パスカルの思想がおぼろげながらに見えてくる。ようなそうでないような。
    面白いのは、形而上学的な神の存在証明を明確に拒否していること。そういうアプローチもあるのかと目からウロコ。

  • ■青614-2
    ■体裁=文庫判・並製
    ■定価(本体 1,140円 + 税)
    ■2015年8月18日
    ■ISBN 978-4-00-336142-9

    「人間は一本の葦にすぎない.自然のうちで最もか弱いもの,しかしそれは考える葦だ」綺羅星のようなフレーズがちりばめられたパスカル(1623―1662)の『パンセ』.早世した天才が書き残した草稿から成る遺稿集,モラリスト文学,キリスト教護教論…….謎に満ちた〈テクスト〉のありうべき姿を提示することを期した日本語版.(全3冊)

  • 中巻、下巻は買いません。( ー`дー´)キリッ

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著者プロフィール

一六二三―六二。フランスの数学者、物理学者、哲学者。幼少のころから数学に天分を発揮、16歳で『円錐曲線試論』を発表し世を驚嘆させる。「パスカルの原理」を発見するなど科学研究でも業績をあげる。後年は「プロヴァンシアル」の名で知られる書簡を通して、イエズス会の弛緩した道徳観を攻撃、一大センセーションをまきおこした。主力を注いだ著作『護教論』は完成を見ることなく、残されたその準備ノートが、死後『パンセ』として出版された。

「2018年 『パンセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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