パンセ(中) (岩波文庫)

  • 岩波書店
4.00
  • (1)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 156
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361436

作品紹介・あらすじ

「神あり」に賭けることの合理性を確率論を用いて論証する「賭」の断章。だが、神を知ることと愛することとの隔たりは果てしなく大きい。理性で知るのではなく、心で神を感じること。キリスト教護教論から真の信仰へ。有名な「クレオパトラの鼻」、「幾何学の精神と繊細の精神の相違」等の断章も本巻に収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『パンセ』は、モンテーニュの『エセー』全巻を先に読んでから読めば、二倍楽しめると思う。

  • 上巻は、目次によって配列されたファイルA1〜27。

    本書である中巻は、目次によって配列されていないファイルB1〜35である。

    上・中と読んで、パスカルのキリスト教に対する深い信仰が窺える。

    私は宗教を信仰していないため、理解に苦しむ内容もあった。

    宗教を信仰していなくても、キリスト教について、知っておいても良いかもしれないと思わされた。

    知識不足が悔やまれる。

    そんな宗教の色が強い『パンセ』からも人間として生きていく上で、大切な考えが数多く載っている。

    本書(中巻)から、私が印象に残った言葉を以下に書き記しておく。

    ・ファイルB1-386
    「徒の事の魅惑」「情欲に邪魔されないように、余命1週間しかないかのように振る舞おう。 」

    ・ファイルB1-412
    「私たちは人間の魂を極めて高く評価しているので、その魂から軽蔑され、その尊敬を受けないことに我慢できない。そして人々の幸福はひたすらこの尊敬のうちにある。」

    ・ファイルB1-414
    「みじめさのうちにある私たちを慰めてくれる唯一のもの、それは気晴らしである。しかしながら、それこそ私たちの最大のみじめさだ。(以下略)」

    ・ファイルB2-422
    「自分の欠点を知らせてくれる人々には、多くの恩義がある。なぜなら彼らは屈辱を与えてくれるからだ。彼らは、自分が軽蔑されていたことを教えてくれる。(以下略)」

    ・ファイルB3-427
    「私はやがて死ななければならない。これが、私の知識のすべてである。しかし私が避けることのできない死、これこそ私の無知の最たるものだ。」

    ・ファイルB24-606
    「人の心はさまざまな欲求でいっぱいで、それらすべて満たすことが出来る相手しか愛さない。(以下略)」

    ・ファイルB24-620
    「人間は明らかに考えるために造られている。人間の尊厳、人間の取柄のすべてはそこにある。人間の務めのすべては、しかるべき考え方をすることにある。(以下略)」

    ・ファイルB24-622
    「情熱も仕事も気晴らしも熱中もなしに、完全な休息のうちにあることほど、人間にとって耐え難いことはない。(以下略)」

    ・ファイルB24-636
    「人間は小事に敏感、大事に鈍感だ。」

    ・ファイルB25-701
    「実りある注意を与え、相手が間違っていることを示すには、相手がどの側面から事柄を見ているかを観察しなければならない。(以下略)」

    ・ファイルB26-757
    「自分の所有しているものはすべて移ろっていく。そう感じると、身の毛がよだつ。」

    ・ファイルB26-759
    「考え(パンセ)が人間の偉大さを作り出す。」

    他にも多くのアンダーラインを引いたが、引用はこのくらいにしておく。

    人間の本質を突くような言葉が多い。

    パスカルの考えの深さ、奥行きが感じられる内容であった。

    そういえば、ファイルB34-887に「デカルト、無用にして不確実。」と書かれており、急な批判で笑ってしまった。パスカルとデカルトはどのような関係なのか。考え方の違いが大きいような印象を受ける。

    デカルトの著書も読んでみたくなった。

    下巻は語録も載っているので楽しみ。

    宗教的な部分また流し読みになってしまうかもしれない。

  • 【書誌情報】
    「神あり」に賭けることの合理性を,確率論を用いて論証する「賭」の断章.だが,神を知ることと愛することとの隔たりは果てしなく大きい.理性で知るのではなく心で神を感じること.キリスト教護教論から真の信仰へ.他に,有名な「クレオパトラの鼻」,「幾何学の精神と繊細の精神の相違」等の断章を収録.(全三冊)
    http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/1/3361430.html

    ■青614-3
    ■体裁=文庫判・並製・672頁
    ■定価(本体 1,440円 + 税)
    ■2015年10月16日
    ■ISBN978-4-00-336143-6

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

一六二三―六二。フランスの数学者、物理学者、哲学者。幼少のころから数学に天分を発揮、16歳で『円錐曲線試論』を発表し世を驚嘆させる。「パスカルの原理」を発見するなど科学研究でも業績をあげる。後年は「プロヴァンシアル」の名で知られる書簡を通して、イエズス会の弛緩した道徳観を攻撃、一大センセーションをまきおこした。主力を注いだ著作『護教論』は完成を見ることなく、残されたその準備ノートが、死後『パンセ』として出版された。

「2018年 『パンセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パスカルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×