学問の進歩 (岩波文庫 青 617-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003361719

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  • 第一部で「学問は空しい」など、現代でもよく言われる批判に反駁しつつ学問を擁護している。第二部では、1605年の発表当時の学問体系に、備わっている部門と欠けている部門を論じている。これは、著者の言葉では「知識の世界の小さな地球儀」を作ることであり、「音楽をより甘美にするために楽器を調律する」ことであった。基本的な素材は『聖書』(ソロモンの「箴言」、「福音書」など)であり、また、カエサルやキケロなどローマ古典の引用も多い。近世ではマキャベリの著作にも言及がある。同時代のイエズス会の教育にも価値を認めている。プラトン・アリストテレス・ストア派・スコラ哲学については批判もするが、例えばスコラ哲学には物事を細かく場合わけして論ずる綿密さがあるとして価値も認めている。第一部の終わりには、「知恵はその生み出すはたらきによって正しいと証明された」という「マタイの福音書」を引用している。基本的に16世紀はルネッサンスの時代で、17世紀には「科学革命」が起こるが、この革命の根底には功利主義的な思想の転換がある。この転換も『聖書』に基づいているのだなと思った。第二部では、学問の場所・書物・学者について論じ、実験設備の不十分、王侯の視察の不足、大学間に交流がないことなどが論じられている。また、学問の区分では人間の知力によるものと、神の啓示によるものにわける。後者(神学)は十分備わっているとし、20頁くらいで終えている。前者は歴史・詩・哲学にわけている。歴史は、自然の歴史(自然物・驚異・技術)、社会の歴史(遺文・年代記・日記など)、教会の歴史(予言や摂理)とわけている。詩については叙事詩や劇や諷刺について10頁ほどの扱いである。哲学については、第一哲学、自然神学、「自然に関する哲学」に分類し、「自然に関する哲学」には理論(形而上学・存在の学、自然学、数学)と実践にわける。後者はまず全体考察(観相術・精神と身体の相互作用の学)をあげ、「個人的人間の学」では身体の学(医術、美容、感覚的快楽の学)、精神の学(発見・判断・記憶・伝達・意志の学)にわける。知識論にはネットワーク的な観点もあり、現代的観点もみられる。また、「発見の術」は情報探索技術や知識発見工学とも関わるものであろう。ただ、あくまでも「設計図」であるのは否定できない。

  • 人類への奉仕の手段としての探究の道を選び、学問のあるべき姿を構想した「近代学問の父」フランシス・ベーコンの主要著作。英語で書かれた最初の哲学書と言われている。
    最初に学問の尊厳と価値を説き、続いてその進歩のために何が必要であるかを明らかにする。
    (※本書の要旨を一部引用)

  • 時間がある時に読みたい。

  • デカルトよりベーコンのほうが遥かに凄いんでは?

    デカルトは、数学とかの功績は素晴らしいものの、哲学においては、コギトよりも心身二元論という矛盾を提起したというのが実際に担ってきた役割と思う。

    人は、ずっと、地図の果てを知らずに生きてきた。西洋人は、アジアについて、アメリカについて、と、常に地図に白紙をもっていた

    ベーコンこそは、ここで、人の知性における白紙部分を明確に定義した
    素晴らしい

  • 新書文庫

  • それまでの学問についての批判的研究。

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