人間不平等起原論 (岩波文庫)

  • 岩波書店
3.44
  • (12)
  • (29)
  • (70)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 543
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003362327

作品紹介・あらすじ

かつて人間は不平等のほとんど存在せぬ自然状態にあったが、歴史的な進歩という頽落の過程をへてついには「徳なき名誉、知恵なき理性、幸福なき快楽」だけをもつ存在に堕する。それが専制社会における人間の悲惨なのだ、とルソー(1712‐78)は論じ、同時代の社会と文化を痛烈に批判した。いまも現代人に根元的な思索をうながしてやまぬ書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 20190110
    『社会契約論』のルソーの著作。『エミール』も読んでみたい。今回はその2つの基礎となる人間の不平等について詩的かつ論理的に述べている作品。
    エッセンスとしては、粗野な平等感の原始社会が、技術や言語の発展によって、社会が生まれ、搾取が起こり、それを法律・政治で正当化するプロセスによって初めて不平等が起こるという要旨である。
    人間の理性が、平等感を腐敗させるという点をルソーが述べている点は今でも鮮やかな議論だろう。取引可能でないものですら市場化する現代社会では、公平感や価値観は腐敗してしまう。

    //MEMO//
    フランス革命の基礎となったルソーの著作。
    専制政治が不平等の温床となっているため、人間が意図しない市場主義が最も公平=平等な結果に落ち着くのか、という理論を古典で裏付けたい。

    根源的人間=平等

    王権=不平等

    国民が主権を持ち、国家を作る。国家は法治するのみ。
    国民が主権を持つ社会契約をイメージするためには、根源的人間の欲と義務を学ぶ必要がある。

    言葉の使用
    憐れみの情念

    ・社会の発生
    生存、自己保存の欲求
    社会の中で生きる

    家族、私有財産の発展
    ・食料=小麦
    ・生活=冶金

    社会の貧富の差、才能の差

    不平等感情
    ・嫉妬
    ・強欲
    ・支配

    法律、万民法

    権力の腐敗、政府の腐敗

    本来、政府は国民との契約のもと成り立つ

  • 社会契約論での一般意思の発想など、天才すぎてちょっとついていけない部分があるルソーだけど、本書では、石を丁寧に積み上げていくような、意外と地に足付いた議論だった。

    中国などの強権的社会を考えながら読んだ。

  •  本のタイトルは知っていましたが、42歳、やっと読むことができました。

     オリジナルはかなり古い文章なのに、翻訳のおかげで、思ったよりわかりやすく書かれていて、短時間で読むことができます。

     どうして人間に不平等が生まれてきたのか、私には本当のところ分かりません。ただ、一度生まれてしまった以上、もうなくなることはないのだろうなあとだけ漠然と思っています。

  • 彼は想像から言葉を紡いでおるので現代的な価値はその平等と民主主義への精神の方である。

  •  思っていた内容とは違うがなかなか興味深い。人間が不平等ではない状態にあったのはいつか?そして何により不平等となったかを思索する。ルソーがいうには未開人こそが自由で平等であるという。多分にロマンが含まれているが、たしかに平等である。そして賢く、豊かになるにつれて所有という概念、そしてそれを定める「法」がうまれたことによって不平等が発生したと展開する。少々強引であるが、ルソーの生きたヨーロッパは専制君主の時代であり、法を行使するものとそうでないものとに大きな差、つまり不平等が生じている事を念頭に置けば、この結論も意味を持つ。さて、ここで注意しなければならないのはルソーは法をなくそうとしているのではないことである。当然ながら無政府主義者でもない。ルソーが求めているのは人間が平等であった頃の自然の定め、つまり自然の裁定に従うことである。そこには人間の持つ本質的な道徳が存在し、そしてそれこそが不平等から抜け出せる鍵であるということを示唆している。短いが法の本来のあり方を問う鋭い問いかけである。

  • ルソーは概説書から入んないと無理

    書かれた時代もあるんだろうけどあちこち受け入れがたい上に、文体が読みにくくて苦戦。

    言語に関する考察とか未開人に関する考察とか恣意的かなぁと…時代柄ですかね。
    自然人というものに関する幻想が強い気がする。ヒトの一種のイデアとして「自然人」を設定してる感があるというか…

    憐れみが自然状態で法律に変わるものだという観点は面白ろかった

    p93
    いろいろな観念や感情がつぎつぎに起こり、精神と心情とが訓練されるにつれて、人類は次第に柔順になっていゆき、結合は広がろ、きずなは緊密になる。人々は小屋の前や大木のまわりに周回することになれた、恋愛と余暇の真の子供である歌謡と舞踊が、ヒマになって群れ集まった男女の楽しみ、というよりむしろ仕事となった、各人は他人に注目し、自分もまた注目されたいと思い始め、こうして公の尊敬を受けるt子緒が、一つの価値をもつようにあった。もっとも上手に歌い、または躍る者、もっとも美しいもの、もっとも強いもの、もっとも巧みなもの、あるいはもっとも雄弁なものが、もっとも重んじられるものとなった。そしてこれが不平等への、また同時に悪徳への第一歩であった。この刺し世の頼子の異から一方で、は虚栄と軽蔑とが、他方では恥辱と羨望が生まれた。そしてこうsたいあたらしい酵母によって旗鼓起こされた発酵が、ついには幸福と向くとにとって忌まわしい合成物をうみだしたのであった。

    p100
    人々の才能が行道であって、例えば鉄の使用と食料の背負う人が常に正確なつり合いを保っていたとしたら、事物はこの状態においていつまでのひょうどうなままにとどまりえたであろう。しかしこのつり合いはなにもののよっても保たれなかったから、まもなく破られてしまった、もっとも強いものは余地奥の仕事を師、もっとも起用あのものあ自分お仕事をより巧みに利用し、もっとも利口なものは労働を省く手段を発見したのであった。耕作者はさらに多くの鉄を必要とし、鍛冶屋はさらに多くの小麦を必要と舌。そしておなじように働きながら、ある門は実入りが多いのに、ほかの者はかろうじて生きていた。



    p155
    その同じ原理からl人は次のような規則を引く出すことができる。すなわち一般に技術はその紅葉せ引反比例して利益があり、もっとも必要なものが、かならず、もっとも顧みられなくなることである。

    成増図書館だったかな

  • 2012.5.10 読了

  •  200年以上前の人間から更に原始の頃まで考えを遡らせるために、傍観者的視点から、うんうんと頷く視点に行くのに時間が掛かる感じがした。
    ただ、何時の時代をもいい得ている考察などもたくさんあって、ここから、「今」に繋げていく作業をして初めて「読了」なのかなと思う。
     人間は未開人の状態からふとしたきっかけで社会を形成し、そこから、欲望、横暴、嫉妬などの状態が生まれてきたことを彼が指摘したとしても、ここにある社会を擲って、未開人に戻りたいなどとは言っていないことが、読んでいて、落ち着いていられたというか、救われるというか、じゃあこれから一緒に考えていくのだな、という風に思わせてくれていた。

  • エミール、社会契約論に先立つ一冊。

    この本を読むと、ルソーが近代に対して強い悲観を抱いていたことがよくわかる。
    人々がかかわり合わずに、肥沃な大地で命を享受しながら豊かに生きていけたら、という宮沢賢治的な理想を語りつつ、「社会」を形成してしまった人々が依存から堕落や無秩序、あらゆる悪徳を生みだしてしまったとする。

    その解決法として近代人の知の発展に賭けるということを示唆した一文もあり(69頁)、そのあたりの思想が社会契約論につながっていくとデュルケムなんかは読んでいる。僕も同感である。

    ルソーがもつ悲観的な視角は多くの人に共鳴されうるものであろう。しかし、その解決として理性を恃むことは、既に多くの人にとって絶望的な選択肢である。ではわれわれは、不平等の起源を断つために、どうすればいいのか。

  • 自然状態は平等だったのに、社会状態には不平等が溢れている。この主張を核とし、自己愛と憐れみの情を人間の本質と置きながら社会の不平等の起源を明らかにしようとする、ルソーの代表作である『社会契約論』への助走となる書物。なのだが、序文を読むと「もはや存在せず、恐らく存在したことがなく、多分これからも存在しそうにない一つの状態に対する正しい観念をもつことが、現状を十分に認識するのに必要なのだ」という記述が存在する。ルソーが本当に言いたかったのは、「自然に帰れ」ではなく「自然を目指せ」だったのではないかという疑惑が、どうしても拭えない。

全29件中 1 - 10件を表示

J.J.ルソーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
マックス ヴェー...
マックス ウェー...
キェルケゴール
マックス ヴェー...
エーリッヒ・フロ...
フランツ・カフカ
ドストエフスキー
ドストエフスキー
ミシェル・フーコ...
有効な右矢印 無効な右矢印

人間不平等起原論 (岩波文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×