死に至る病 (岩波文庫)

制作 : 斎藤 信治 
  • 岩波書店 (1957年1月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003363539

作品紹介

「死に至る病」とは絶望のことである。憂愁孤独の哲学者キェルケゴール(1813‐55)は、絶望におちいった人間の心理を奥ふかいひだにまで分けいって考察する。読者はここに人間精神の柔軟な探索者、無類の人間通の手を感じるであろう。後にくる実存哲学への道をひらいた歴史的著作でもある。

死に至る病 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。あまりにも有名なこのタイトルと「死に至る病とは絶望のことである」というフレーズ。正直、もうこの一行、というか「第一編 死に至る病とは絶望のことである。」という前半部分のこのタイトル、これだけですべて説明終わっていいんじゃないかと思う。

    Q「死に至る病?それって何?」
    A「それは絶望です!」

    ・・・というだけでも十分世界中の中2が共感、そして感嘆させられると思う。「死に至る病とは絶望のことである」という一言に集約された意味を、人はそれぞれ勝手に想像し解釈し、それで答えは出てしまうしそれで正解だと思うので、それ以降の文章は蛇足だとすら・・・。

    なんて言ったら怒られそうだけど、まあそれでも第一編のほうはまだ理解できるし、なるほどと思う部分もたくさんありました。

    ただ「第二編 絶望は罪である。」になるともう、全然わからない。そもそもサブタイトルが「教化と覚醒とを目的とする一つのキリスト教的=心理学的論述」云々となっており、つまりすべてキリスト教徒前提でのお話。信仰心のない人間にはちょっと当てはまらない事例が多すぎてどうもこうも。

    キリストより先に生まれたソクラテスの意見のほうが、無神論者にはずっと理解しやすい。結果、最終的にこの本は哲学というより「キリスト教入信のすすめ」みたいになっちゃうのでちょっと微妙な気持ちに。

  • 死に至る病=絶望として、
    キリスト教の観点から徹底して絶望を見つめる。
    絶望が罪であるということ、
    その罪がキリスト教にある原罪と関係があることなど、
    深い考察が行き渡っている。
    僕らが口にする絶望という言葉が、
    どれだけ多面性を帯びているか、
    それを知るだけで、暗闇に目が慣れていくように、
    絶望を冷静に見渡せるようになれるとも思う。

  • 現代人にも通じるものがあるし、自分自身に通じるものがあって面白かった。(第一章までは辛うじて理解できた)
    筆者は人より頭が良かった分きっと生きづらかっただろうなと思う。

  •  人間とは精神である。精神とは何であるか?精神とは自己である。自己とは何であるか?自己とは自己自身に関係するところの関係である、すなわち関係ということには関係が自己自身に関係するものなることが含まれている。(p.20)

     絶望はまた別の意味で一層明確に死に至る病である。この病では人は断じて死ぬことはない(人が普通に死ぬと呼んでいる意味では)、ー換言すればこの病は肉体的な死をもっては終わらないのである。反対に、絶望の苦悩は死ぬことはできないというまさにその点に存するのである。絶望は死病にとりつかれている者に似ている、ーこの者はそこに横たわりつつ死にひんしているのではあるが、死ぬことができないのである。(p.28)

     さて絶望して彼自身であろうと欲するところのかかる苦悩者のうちに、意識がより多く存在すればする程、それだけまた絶望の度も強くなってそれはついに悪魔的なる者にまで至る。悪魔的なる者の根源は普通次のようなものである。絶望して自己自身であろうと欲するところの自己は、いかにしても自分の具体的自己から除き去ることも切り離すこともできない何等かの苦悩のために呻吟する。(pp.118-119)

     (解説)死に至る病というのは、それでは決して死ねない病、死ぬに死ねない病の謂いなのである。絶望とはちょうどそのようなものである。死んでないしは自殺して墓場に安住できるというようなのであれば、キェルケゴールに言わせれば、それは未だ絶望の極致とはいいえない。死ぬに死ねないこと、たえず死に面し死に至りながら死ぬこともできないということ、いな永遠に死を死ななければならないということ、これが絶望者のないしは最も不幸なるものの真実の姿なのである。最も不幸なるものの墓は空であろう、と彼はいっている。(p.234)

  • 冒頭の「自己」の定義からしてよく飲み込めないまま、無理やり読了。内向的クリスチャンを自認する者としては、いつかこれをきちんと理解できるようになりたい。

  • ■読書メモ

    ・自己=肉と霊の間の関係のこと

    ・パラドクス。自己から離れること=絶望、自己が自己でいようとする作用。
    ・ゆえに、絶望から抜け出ることも食いつくす事もできぬ。絶望は過去のものではなく、常に現存する。

    キリスト教において
    ・絶望≠肉体の死
    ・絶望=精神の死 

    絶望のヒエラルキー
    ・死が希望であり、現実の死が不可能の状態>現実の死が可能である状態>生が希望となる状態

  • 浪人生のときに買って読みかけて止めたもの
    読み切ったら何かが終わってしまう気がして
    どうしようかな

    キリスト者ではない私に彼と同じ救われ方は用意されていないわけだから

  • 死に至る病とは絶望であるとキルケゴールは言う。

    しかも、絶望しない人間はいないとも言う。

    世間一般に言われる、願いが叶ったとか、よい人生だったとかの幸福を彼はことごとく否定する。

    その追い詰められた状態から、何が幸福かを見いだせるのか。

    その答えは、読み取ることができなかった。

    ただ、自分の欲望を満たしたり、世間の言う幸福に追従したのでは、真の幸福に巡りあえないばかりか、絶望から抜け出すことすらできないということを理解した。

    資本主義、契約社会の中では、一つの失敗が自らの人生を破滅に追い込む。

    だから、いつも転落の恐怖に晒されながら、おそるおそる生きている自分がいる。

    その姿は、幸福ではないという確信を持つに至った。

  • はっきり言ってものすごく難解。
    これ研究してる人は骨が折れるだろうな・・・。
    新約聖書の”ラザロの死”について冒頭で触れ、人間の3種類の絶望とその変容、神の前における在り方を説く。
    どことなく心理学っぽい側面もあったり。

  • 引用のされ方によるかもしれないけど、その姿勢や感覚は好印象。読み通すのは大変だけど読み通してよかったと思える。前提に対する共感がある程度必要かなと思う。そうでない人には響かないかもしれない。しかし、やはり名のある哲学者だけあり感じたことは有意義だった。

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