ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

著者 :
制作 : Friedrich Nietzsche  氷上 英廣 
  • 岩波書店
3.57
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本棚登録 : 2018
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003363928

作品紹介・あらすじ

晩年のニーチェ(1844‐1900)がその根本思想を体系的に展開した第一歩というべき著作。有名な「神は死んだ」という言葉で表わされたニヒリズムの確認からはじめて、さらにニーチェは神による価値づけ・目的づけを剥ぎとられた在るがままの人間存在はその意味を何によって見出すべきかと問い、それに答えようとする。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、『道徳の系譜』やらニーチェ解説本やらを読んでいたときは、個人的に「魂の救済」をテーマに読書をしていたので、やたらキリスト教を否定するニーチェの良さがよくわかっていなかった。ニーチェの思想で弱者を救えるかよ、と。

    本書を読んでわかったことは、ニーチェの思想は決して「強者の論理」というわけではない、ということ。
    むしろニーチェは弱い人間が強くなるための思考法を提示しているのであって、「超人」思想を説く主人公のツァラトゥストラでさえ、理想的な強い人間(=超人)には完全にはなりきれていないと思わせる箇所があった。
    「俺のように強い人間になれ」というよりも「俺と一緒に強い人間になろう」と言われているような気がした。

    ニーチェの超人思想を社会論的に発展させたのがオルテガの大衆批判だと思っている。
    ニーチェの超人思想には「他者とのかかわり」という視点が無視ないし軽視されている点がいかにも玉に瑕という観もなくはない。
    が、やはり「超人になろうとする意志」は個人の心の中に留めておくのが無難な気がする。
    「私はいまや超人であるぞ」と認定できるのは自分自身のほかにない。
    加えて、大衆批判は「自己言及のパラドクス」の危険を常に孕んでいる。

    「そしてわたし自身も仮想してあなたがたのなかに坐っていよう。――そしておたがいに姿を見せないでおこう。これがすなわち、わたしの最期の処世の術である」(p252)

    冒頭に「だれにも読めるが、だれにも読めない書物」とあるとおり、文章自体は平易だが書かれている内容は難解極まりない。
    半分も理解できたかわからないが、読むたびに違った発見がありそうな気がする。
    時間をおいて再読するのが楽しみな本、ということで!

    下巻に続く

  • ニーチェ 「 ツァラトゥストラ はこう言った 」上巻は キリスト教世界の価値観を批判し、超人という新しい価値観を創造。

    時間概念も少し入ってきて永遠回帰につながる感じ。面白い。岩波文庫なのに 注釈が なくても読める。比喩の意味に迷う時もあるが、何となく 意味は理解できる

    女性や戦争については 現代感覚とズレはある



    蛇=永遠回帰の知恵の象徴
    鷲=知恵を身につけた超人の象徴
    太陽=超人〜人間は他人の幸福を妬むが 太陽は妬みを克服

    「人間は克服されなければならない或物である」

    ツァラトゥストラ「人間は 動物から超人へ わたる一本の網」
    *この網は 超人へいたる希望の橋
    *そこそこの幸福、理性、道徳に自分を軽蔑すること
    *末人=軽蔑すべき おしまいの人間〜教養に満足している人間
    *ツァラトゥストラ=永遠回帰を教える人

    人間の精神の変化〜駱駝→獅子→幼な子
    *駱駝=高みを目指す修行者〜駱駝は楽→駱駝は自己を無にして他者の命令に従う
    *獅子=他人に従う自分を嫌がり、命令する竜(キリスト教の神)に飛びかかる→獅子の否定力は 自由を切り拓く
    *幼な子=創造には 幼な子のような 無垢の肯定力が必要→獅子が幼な子に変身して初めて 人は自分の意志を意志する

    人は戦いの備えがあって初めて 平和が可能になる

    永遠回帰=運命を味方にする
    *人間を過去の復讐心から解放するため
    *自分の不幸を他人のせいにしないため
    *いつか誰かが救ってくれる他人任せにならないため

    永遠回帰のステップ
    1.私はこれまでの人生を何度も繰り返し生きる(永遠回帰)と考える→この現実からの逃げ道は どこにもないことになる
    2.永遠回帰を 喜んで欲する→永遠回帰を消化し 超人になる

    永遠回帰=無神論的宗教
    *世界は同一の状態を永遠に反復している
    *世界は始まりも終わりもなく、目的も意味もない。ただ存在しているだけ

  • ニーチェの鋭さの中に少しの狂気も感じる。


    人生生きることは、悩むことに過ぎないとある者は言うが、それなら人生をたんに悩むだけになるように用いたらどうだ!

    死の説教者が、他人の人生をおのれの贈物の鎖でもってますます束縛するとは何事か!

    そうした連中は、人生からの脱出を説教するとともに、自らも立ち去ってくれることを私は望む!と。




    女は謎、だが謎を解く鍵は一つ、それは妊娠。
    女にとって男は一つの手段である。目的は常に子供。「わたしは超人を生みたい」ということでありなさい!と。

    男性は危険と遊戯を求める。だから、女性をもっとも危険な玩具として求める。

    男性は戦いのために教育され、女性は戦士である男性の休養のために教育されなければならない。それ以外一切は、愚劣。

    男性の幸福は「われは欲する」
    女性の幸福は「かれが欲する」

    女性は服従することによって、みずからの表面に対する深みを見出さなければならない。

    と。

  • 本書では、著者ニーチェの哲学や根本思想が散りばめている。著者の作品を読むのは初めてであり、注釈も全くなかったため難解であった。神は死んだという象徴的な言葉を残した著者であるが、本書ではその思想について物語形式で詳しく書かれている。しかし、正直なところ本書のほとんどを理解できなかった。比喩的な表現が多いため、イマジネーション能力が必要とされる。巻末にある解説を読んで初めて、本書の面白さを感じたといっても過言ではない。しかし、本書を通して哲学は興味深いと再確認したので、これから簡単な入門書を読んで哲学を学んでいきたいと思う。

  • 2017.8.9
    既成の奴隷的価値判断をぶち壊せ。神は死んだ。蠅のように群れるんじゃない。自分の感受性から、自分を肯定できる価値を、自ら作っていけ、という超人思想。定期的に読み直したいなと思う一冊。難しくてよくはわからないけと、なんか、エベルギーを、自由への強さというか、そういうエネルギーを感じる。ただこの本からはそういう、力強く自らの感受性を肯定できるような姿勢をこそ学びたいとは思ったが、それ以外の人間を否定したりする部分は共感しない。自らを肯定するために他者を否定する必要はない。しかし一方で、他者を肯定する(承認を求める)あまり、自らを殺していたきらいはあるので、それは改めないと。力への意志は、他者を下げることで得られるものではなく、より深く自分の感受性と、エロスを求め、味わう、感じることで、大きくしていきたい。そしてそのためには、他者や世界を否定しても仕方ない。

  • 興味深いのは、第1部の最初で山を下りて「神は死んだ」や「超人」という教えを広めたツァラトゥストラが、上巻の最後(第2部の最後)で再び弟子と分かれて山に戻ることである。

    10日間で書かれたという第1部に、ニーチェは満足がいかなかったのだろう。

    そして第3部で、再び教えを説く際に新たに現れるのが「永遠回帰」という概念である。
    何度も繰り返される「私はあなたを愛するからだ、おお、永遠よ」が、本来の最終部であったはずの第3部のラストを飾っている。

    第4部はもともとは自費出版で40部程度が配られただけとあって、明らかに趣が違う。

  • 1997 読了

  • 2度目のトライ。自分には難しすぎて、またもや挫折。最初から何が何だか分からなくて…今度は違う訳でトライするつもり。

  • 人間とは一本の吊橋であり、片方は超人、もう一方は畜群である。どちらになるかは自分次第である。歯車にならず、モーターとなれ、価値を受容するだけでなく、自らが価値を生み出せ。他人指向型の大衆社会に一喝を入れる力強い言葉が多くある。

  • 最近になって読んだ本の中に、
    「若いときに読んでいたらよかった」という
    ものは、いくつもありますが、
    これもその一つです。

    神を否定した実存主義、キルケゴールは神に向かう実存主義。
    19世紀の実存主義は、20世紀のそれに比べ、
    社会性がない。
    などの知識はあり、書名もインパクトがあり、
    若い頃から知っていましたが、
    初めて読んでみると、
    たいへん感銘を受けました。

    まず、全体を流れる、ニヒリズム。
    ニヒリズムとは、辞書によると、
    「既存の価値体系や権威をすべて否定する思想や態度」
    だそうですが、
    19世紀にニヒリズムを全うするニーチェの強さを実感するとともに、
    現代に生きる人間にとってこそ、
    こういった思想を読み、
    いちど、通過点にすることは、
    意味あることに思えました。

    本当に、自分が善と思っていることがらなど、
    ツァラトゥストラにかかれば、
    何の意味がありましょう?

    それと、「超人」、「力への意志」が主なテーマですが、
    ニヒリズムだけに終始せず、
    この2つを掲げているおかげで、
    僕は、生へのやる気がみなぎって来るのを感じました。

    それに、訳が分かりやすい。
    解説にもあるように、
    注釈をつけない訳し方が、
    僕は好きです。

    絶対にオススメな非常に優れた著作ですが、
    僕なりのニーチェへの批判を。
    それは、徹底的なニヒリズムを超えて、
    社会的道徳の必要性。
    難しいけれど、
    そういったものが表れるのではないかと。

    ああ、それにしても、この本は、若い頃に読むべきでした。
    今回ほど理解できたかどうかは別として。

    それとも、生まれ変わっても、やっぱり、
    この歳になって読む運命なんでしょうか?

    僕の脳年齢は、19世紀かもしれません。(笑)

    (下)が楽しみです。

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著者プロフィール

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche)
1844年10月15日 - 1900年8月25日
ドイツの哲学者、古典文献学者。近代がはらむ問題を一新に受け止め、古代以来の哲学との対決に挑み、実存主義の先駆者、生の哲学の哲学者として知られる。その思想は20世紀に続く様々な思想に衝撃と影響を与えた。
代表作に『悲劇の誕生』『道徳の系譜』『ツァラトゥストラはこう言った』『善悪の彼岸』など。

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