プラグマティズム (岩波文庫)

制作 : W. James  桝田 啓三郎 
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003364017

作品紹介・あらすじ

プラグマティズムは、もっともアメリカ的なものの考え方であり、今日のアメリカ資本主義社会とその文化を築き上げてきた基調である。本書は、このような考え方を初めて体系づけ、ヨーロッパの伝統的な思考方法を打破した点で不朽の功績をもつ。アメリカ的なものの見かたの核心は、じつにこの一冊に圧縮されている。

感想・レビュー・書評

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  • ヨーロッパの思想史を貫く合理論と経験論の両立を目指すプラグマティズムは全くもってアメリカ的だ。原理原則ではなく事実や結果を重要視する姿勢は真理すらも到達点ではなく仮定のものであるとし、同時に有効であり善であるものを真理だとする考えが日本人には不可解に見える科学的態度と信仰心の両立を可能としている。一見いいとこ取りに見えるプラグマティズムだが、価値の判断基準を常識に置くその姿勢には、近代経済学が「完全に自由で合理的な個人」を前提とする様な嘘臭さを感じてしまうのだ。「常識」とは時に、簡単に「世間」に堕胎する。

  • お父さんはシャーロック・ホームズのモデルの一人、自身も偉大な最高裁判事Great Dissenterのオリバー・ウェンデル・ホームズの考え方とされているプラグマティズムをきちんと理解したいと思い、読んでみた。まさに教条主義と判例主義の違いのような、大陸法系のどちらかというと正しい法があるというイデア的な考え方とそれって違いがどこになるの?考える意味あるの?的な徹底した経験主義の違いと理解した。考え方としては、最初の第二講までで大体理解できる。あとは現実の問題への適用、例題、あてはめといった講義になる。回を追う毎に、アメリカで開拓時代を生き抜いていく上で重要な考え方だったのだろうなと想像できた。
    大人になった自分はたぶんプラグマティズムだけでは解決できない、説明しにくい問題もあるだろうなということもわかってきたけれど、分析の手法として、プラグマティズムを用いて突き詰めていくのは悪いことではないと思う。それにプラグマティズムは、違いを認める考え方であるので、相手にも変化にも寛容であるところがとても好ましく、また使いやすいと思った。

  •  非常にスッキリして分かりやすいです。これで連続講演なんだよな。凄い。思わず,ノートとか作りたくなってしまいました。
     多元主義という世界観は非常に現代的なのではなかろうか。いや,そういう目で読むからそう思えるというところは多分にあるのだろうけれども。
     この流れがどこに行ったのか追いかけたいですね。ウィルバーも受け継いでると思うのは誤読だろうか?
     

  • こくいちで高校倫理を勉強していて気になった一冊。自分の考えに近そうだな、と思って。哲学書は普段全く読まなかったので読むのに時間はかかったが、今日やっと読了できた。

    プラグマティズムとは、実際主義とも訳されるもので、
    私なりの解釈では、「その命題が有益かどうか、実際の世界で役に立つかどうかで考える物の考え方」という感じ。

    経験論とか合理論とかは、表面的にすら知らないけど、両者のいいとこどりをしたのがプラグマティズムである。という私なりの解釈。

    筆者のWilliam Jamesは、最初は生理学をやってたらしいけど途中で哲学に傾倒していったという人らしい。
    それを知って、生命科学をやりながら経済や思想にも興味のある自分とどっか似てるから共鳴するんかもなあ、とおこがましくも思いました。


    難しい理論とかを聞いてよく
    「…で、結局、どうなん?」
    と思ったりする人は読んでみて損はない。

  • 生活に実用性を持つ哲学でなければ、その論争に何らの意味も持たない。
    合理論者と経験論者の論議、一神教と多神教、それらはそれらでそれぞれ真に違いなく、また偽でもある。それら一方を取ることになんの意味があるのか?なるほど、そういった論争に勝利することで得られる優越感などの意味においてであるなら、まさにそういった論争もプラグマティックでありうるだろう。
    宗教を信じないものは、信じないという心情において無神論は真であり、有用である。しかし、それを絶対視できるのは、自分の内心のみにおいてであり、信者にとってみれば、いかなる宗教も偽ではありえなく、それが信者の糧となる限り、その意味において、宗教は限りなく有用で、それらが正当性を言い争うことはまったくもって無意味というほかない。現実とは、様様な真の集合体であり、それら一つ一つの真から、たの真を見たとき、偽に見えるというだけの話である。
    人間は、無駄な知識を欲するのであれば、トリビアは、知識欲を満たす意味において、決して無駄ではないのだ。
    とてもとてもポジティブな考え方。
    プラグマティズムがどんな仕組みかを知りたいのであれば、前半だけで事足りると思う。

  •  哲学として扱われているが、その語源、化学の手法を哲学に持ち込んだものであるという経緯をみれば方法や手法と捉えたほうが分かり易い。哲学は何の役に立つのか?という問の答えを導く手段であるとの主張にしたがい、実際にそれを示すのに多くの紙面を使っている。残念ならが答えが導かれたようには思えないが、掴みどころのないものを実体のあるものとして扱うという点においては一定の成功を収めているようには思える。そして、”それは現実にどのような影響をもたらすのか?”というプラグマティズムが発する問いかけは哲学のみならず普遍的なものであり、多くの人に影響を与えたのも納得できる。

  • W.ジェイムズ。桝田啓三郎訳、岩波文庫、1957年。
    中野にて購入。卒論の先行研究調査として。

    カール・バルトの聖書解釈にプラグマティックな側面があることに気づいて、そのあたりの言及がないか検索。
    パースよりもより道具的?この解釈で合っているのかは要確認。道具主義的だとしたら私の目的にはよりかなっている。
    宗教についての記述も多めで助かった。
    私は原始教会がプラグマティックであるということを言いたかったのだなとはじめて自覚した。なので、プラグマティックに聖書講読をする方向性に切り替えることができそう。有用。

    世間一般的に了解可能性が低い内在論理であると思われる。プラグマティックであるからこそ聖書解釈も煩雑になるのだと思う。どうやって証明するのか?

    以下引用

    もし神学上の諸観念が具体的生命にとって価値を有することが事実において明らかであるならば、それらの観念は、そのかぎりにおいて善である。そしてかかる意味で、プラグマティズムにとって真であるであろう。なぜなら、その観念がそれ以上にどれだけ真であるかということは、ひとしく承認されねばならない他のもろもろの真理との関係にもっぱら依存するであろうから。
    (p59)

  • 解説の影響をすごく受けた適当な感想だけど、抽象的なものを形作っていく哲学のスタイルがプラグマティズムだとすれば、そこには何か引っかかる感覚があって、ハマりそう雰囲気を感じるなぁ・・・。そして岩波のハードカバー触り心地良い!

  •  基本的な哲学に関連する知識を得るのによい本だと思います。  

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